貴乃花親方がまた勝訴、しかし腑に落ちない点も

貴乃花親方がまた勝訴、しかし納得いかないね
貴乃花親方がまた勝訴。兄・花田勝との確執を報じた写真誌『フライデー』(〇五年六月二四日号)などの記事で名誉を傷つけられたとして、同年一二月に貴乃花親方夫妻が東京地裁に、発行元の講談社や野間佐和子社長らに三七五〇万円の賠償などを求めて提訴したことを以前書いたが、三月十三日にその判決が出た。同地裁の松井英隆裁判長は、四四〇万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じ、野間社長への賠償請求は退けた。

この裁判のポイントは三点。

まず、貴乃花があれだけ「勝氏」なる呼び方を流行させた兄批判をしておきながら、今さら訴訟を起こしたこと。

次に謝罪広告の掲載を求め、判決ではそれが命じられたこと。さらに出版社社長への責任を求めたことなどである。

貴乃花は週刊誌やテレビで、実兄のことをここまで言えるのかと呆れるほど「勝氏」批判を繰り返した。

にもかかわらず、裁判では「覚えていません」と回答。

確執を取り沙汰された勝との関係は、「嫌いではないですけど」「ちゃんこ屋さんに七、八回は行った」などと、兄弟の不仲そのものを否定した。

そして遺産の相続については、「(病床の)親方から筆談で、部屋と弟子を頼むぞと言われた。目と目で分かり合える関係だった。(記事は)全くの虚偽だと思います。(親方の葬儀について)喪主争いはなかった。兄が喪主をやりたいと言ったので譲りました」と言い張り、同誌の記事を、「なぜ、ここまでいわれなければいけないのか」と糾弾して自分は報道の被害者という立場を強調した。

松井裁判長はそれを受ける形で、「記事は親方らが私利私欲のために行動し、父の命を軽んじる人物との印象を抱かせたが、裏付けがなく、真実と認められない」とした。そして、謝罪広告の掲載を命じたことで、名誉毀損が争う余地なく悪質であることを認定したことになる。

この裁判の背景には、日本相撲協会が講談社を訴えた八百長問題があることは誰の目にも明らかだ。

協会の人間としてマスコミを牽制する貴乃花の一本気な姿はある意味当然だが、過去の言動の自己否定につながるような「ひたむきさ」は、独善的なオポチュニストとしてのそしりも覚悟しなければなるまい。

名誉棄損訴訟での出版社社長の責任については、やはり貴乃花関連の八百長疑惑を指摘した記事で、新潮社社長に対して二月に賠償を命じている。

だが、今回は「フライデー編集部ではデスクが取材と記事作成を仕切り、編集長などが原稿を三回チェックしており、求められる水準に達していた」と判断された。

プライバシー重視の傾向から、貴乃花の勝訴は予想できなくもなかったが、それにしても「謝罪広告の掲載」までさせるというのは驚いた。名誉毀損裁判では原告側からその要求もあることはあるが、たいていは却下されている。

この親方は、同様に例の「兄弟喧嘩」の報道では『週刊現代』や『週刊新潮』なども訴えたが、だったらあの騒ぎは何だったのかといいたくなる。

たとえば、2005年6月16日の「スーパーモーニング」では、貴乃花が花田に勝ち(優勝)を譲ったことを「ご本人の判断」でほのめかしたと話題になったが、あれはどうなのだろうか。

 やくみつる「ちょっとハタメに見て力の入ってない一番に見えたんですが」/貴「(小声で笑う)」/やく「あそこに原点をもとめるというのは、その見方はまちがっていますか」 /貴「それはまちがいじゃないですね」(中略)渡辺宜嗣「それ以上は」/やく「相撲観の決定的な差異を感じるに至ったと」/二宮清純「それを確認しますけど、はっきりと明言しても大丈夫なんですか」/貴乃花「いや、あの(と笑いながら首をかしげる)」/二宮「あの、ご本人の判断で……」/貴「そーですね」/渡辺「やっぱり納得いかなかった?」/貴「うん。あのお……、(しばし沈黙)私の至らなさだと思ってますけどね」

『週刊ポスト』(2005年6月17日号)では、こんな口汚い糾弾もあった。

「彼のことを見ていると、“人の為”と書いて“偽”という字になるという意味がよくわかる。あいつが親父を“親父”と呼ぶのはカネを借りに来た時以来なんだよ」

「嫌いではない」実兄を、不特定多数が目にするマスコミ報道でここまで言えるのだろうか。それともこの記事もウソだというのか。なら、この記事も訴えなければ辻褄が合わない。

何より、『週刊文春』では、勝が年寄株の山響をいくらで買うか問うたという「年寄名跡事件」も独白されている。

大相撲「八百長」の研究

大相撲「八百長」の研究

  • 作者: 田端 良彦
  • 出版社/メーカー: 日本文芸社
  • 発売日: 2011/04/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

コメント

タイトルとURLをコピーしました