ジャニーズ事務所近代化に貢献したキムタク

10日、『ジャニーズの歴史 完全保存版』(鹿砦社)が発売された。

タイトル通り、ジャニーズ事務所創業以来45年間における同事務所関連の出来事をまとめて記した書籍である。

同社が出版関係者にリリースする「出版ニュース」には、同書の説明がこう書かれている。

「我が国芸能界に跳梁する怪物=ジャニーズ…それは1960年代初め、草野球チームから始まった!黎明期から現在までの歴史を、光の部分も影の部分も、これまでになく詳細に記述し、怪物の正体を解剖する!」

ジャニー喜多川が、中谷良、あおい輝彦、飯野おさみ、真家ひろみらが参加する草野球チームを指導。彼ら4人に「ウエストサイド・ストーリー」を鑑賞させて芸能界へ誘ったという話は、これまでにもジャニーズ関連書籍でしばしば紹介されてきたが、ではそこからどのような過程を経て現在の隆盛にたどり着いたかを解説した書籍はなかった。それを初めて明らかにしたのが同書である。

目次をご紹介すると、現在までを以下の6つの段階(章)に分けている。

第1章 黎明期(1962年?1968年)……ジャニーズのヒットからフォーリーブス台頭まで
第2章 試行錯誤(1969年?1974年)……フォーリーブス隆盛の一方で、「フォーリーブスの弟分」のプロモーションがうまくいかなかった時期
第3章 試練(1975年?1979年)……郷ひろみ離脱やアイドルロック全盛でスターが育たなかった頃
第4章 起死回生(1980年?1992年)……たのきんトリオのブレイクで原点に返り、少年隊、シブがき隊、男闘呼組、光GENJIなどをヒットさせた時期
第5章 発展期(1993年?1999年)……木村拓哉のブレイクから大化けしたSMAPを機に、同事務所のタレントマネジメント観が大きく変わった時期
第6章 近代化(2000年?2008年)……ホモセクハラ、薄給などが社会的に公然とし、木村拓哉・SMAPの独立闘争などもあり、少なくとも所属タレントの待遇がアップ。しかし、後継者やマスコミ対策など新たな課題は未解決

同書は、ジャニーズ事務所と裁判をたたかった鹿砦社の出版物であるが、叩き一方の批判書ではない。もちろん、芸能マスコミにありがちなヨイショ記事でもない。「光も影も45年」という副題が付いているように、各出来事を是々非々でとらえ、それを時系列で俯瞰して同事務所の進化の過程を解き明かしている。

たとえば、木村拓哉に関する記述はそれがわかりやすい。映画賞ボイコットや、ドラマ撮影中に女性にケガをさせた事件などはきちんと批判する一方で、彼のブレイクがきっかけで、同事務所のタレントマネジメントが変わったことや、彼の独立闘争が、以降の所属タレントの待遇をよくしたことなどは、「SMAP、とりわけ木村拓哉が果たした事務所近代化への貢献は大きい」と評価している。

ファンというのは、少なくとも事務所にとってはありがたいもので、ヨイショ記事はより善意に受け止め、批判記事はとにかく頭から否定する。

しかし、タレントだって人間なのだ。間違いや理解できないことをする場合だってある。彼らにとっては仕事だから、事務所の意向を受けて戦略的にふるまうことだってありうる。そうした事実は受け止めた上で応援する態度こそが、真のファンのあり方ではないだろうか。いいことだけ受け入れて、都合の悪い事実はそれと向き合うことすら拒否していたら、そのタレントを理解することはできないだろう。

その意味で、同書の著者こそ、実はもっとも彼らを理解したジャニーズファンといえるのかもしれない。

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