貴乃花親方の名誉棄損訴訟で新潮社長の過失認定

東京地裁(松本光一郎裁判長)は4日、『週刊新潮』の5本の記事で名誉を傷つけられたとして、大相撲の貴乃花親方夫妻が、新潮社と同社社長、同誌編集長などを相手取って計3750万円の損害賠償と謝罪広告掲載を求めた事件で、貴乃花夫妻の訴えを認めたうえで「出版社の代表取締役には名誉棄損の権利侵害を防止する体制を作っておく義務や責任がある」として社長の過失も認定。計375万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じた。

「内容が真実であるとする証拠はない」「名誉棄損の権利侵害を防止するための体制を整備する義務は、『編集権の独立』と必ずしも対立しない」(松本裁判長)

『週刊新潮』は、
・貴乃花夫妻が二子山親方の相続財産を独占しようとした
・若貴兄弟対決となった平成7年の優勝決定戦で二子山親方から八百長相撲をするよう示唆された
などの5本の記事を掲載した。

プライバシー重視の傾向から親方の勝訴は予想できなくもなかったが、それにしても「謝罪広告の掲載」までさせるというのは驚いた。名誉毀損裁判では原告側からその要求もあることはあるが、たいていは却下されている。

この親方は、同様に例の「兄弟喧嘩」の報道では『週刊現代』や『フライデー』なども訴えているが、だったらあの騒ぎは何だったのかといいたくなる。

2005年6月16日の「スーパーモーニング」では、貴乃花が花田に勝ち(優勝)を譲ったことを「ご本人の判断」でほのめかしたと話題になったが、あれはいったいどうなのだろうか。

 やくみつる「ちょっとハタメに見て力の入ってない一番に見えたんですが」/貴「(小声で笑う)」/やく「あそこに原点をもとめるというのは、その見方はまちがっていますか」 /貴「それはまちがいじゃないですね」(中略)渡辺宜嗣「それ以上は」/やく「相撲観の決定的な差異を感じるに至ったと」/二宮清純「それを確認しますけど、はっきりと明言しても大丈夫なんですか」/貴乃花「いや、あの(と笑いながら首をかしげる)」/二宮「あの、ご本人の判断で……」/貴「そーですね」/渡辺「やっぱり納得いかなかった?」/貴「うん。あのお……、(しばし沈黙)私の至らなさだと思ってますけどね」

それだけではない。『フライデー』(2005年6月24日号)の記事に対して損害賠償を求めて提訴した貴乃花は、尋問で自分自身が出廷。兄・勝との間で遺産の相続で争いがあったなどと報じた記事を、「まったくの虚偽。病床の親方から部屋、弟子のことを頼むぞと筆談でいわれた。遺産争いはありません」などと主張。同誌の記事に対して、「なぜ、ここまでいわれなければいけないのか」と、自分は報道の被害者という立場を強調した。

その一方で、自らが熱中した週刊誌やテレビでの勝批判については、「覚えていません」と回答。確執を取り沙汰された勝との関係は、「嫌いではないですけど」「ちゃんこ屋さんに七、八回は行った」などと、兄弟の不仲そのものを否定した。

「勝氏」などと、実の兄に他人の敬称を連発する言い方でマスコミを賑わせておきながら、それはないだろう。

「彼のことを見ていると、”人の為”と書いて”偽”という字になるという意味がよくわかる。あいつが親父を”親父”と呼ぶのはカネを借りに来た時以来なんだよ」(『週刊ポスト』2005年6月17日号)などという口汚い糾弾も忘れたのか。「嫌いではない」実兄をマスコミでここまで言えるのか。それともこの記事もウソだというのか。なら、この記事も訴えなければおかしいのではないか。

何より、『週刊文春』では、勝が年寄株の山響をいくらで買うか問うたという「年寄名跡事件」も独白されているではないか。

この独善的な一本気親方の発言に対する矛盾点は『紙の爆弾』(2008年09月号)の「芸能裁判を読む」の中で、各メディアに出た記事などを根拠に追及している。

貴乃花一家を含めた有名人の芸能人やスポーツ選手の裁判については、『平成の芸能裁判大全』(鹿砦社)に背景や裁判の様子が詳しく書かれている。


芸能裁判研究班[編著]
鹿砦社刊
A5判/200頁/並製
定価1,500円+税

なぜか軽んじられる芸能裁判??本書は平成に入ってからの主な芸能裁判と採り上げ、詳細に解説を加えた初の試み。A級の史料的価値!! 岡留安則『噂の真相』編集長、文藝春秋法務部、日弁連「人権と報道に関する調査研究委員会」へのインタビュー収録。大衆ジャーナリズムの反映としての芸能裁判の持つ意味を究明!!大衆ジャーナリズムの反映としての芸能裁判の意味を本格的に解明する初の試み!!

【同書の内容】
■第一章 
人権(名誉棄損、肖像権など)
ジャニーズ事務所/デヴィ夫人/稲垣吾郎/花田勝/川崎麻世/大原麗子/藤田憲子/尾崎豊夫人/芳村真理/野村沙知代/和泉元彌/貴乃花親方

■第二章
金銭トラブル
ライジングプロダクション/野村沙知代/織田無道/佐久間良子/石川さゆり/島田楊子/泉ピン子/美川憲一/大西結花/松方弘樹/坂田利夫

■第三章
薬物事件
江木俊夫/槇原敬之/いしだ壱成/中島らも  ほか

■第四章
再犯・再々犯
克美しげる/豊川誕/田代まさし/翔(元横浜銀蝿)/西川隆宏(元ドリームス・カム・トルゥー)/藤井モウ(元大川興業)/岡崎聡子

■第五章
その他
梅宮辰夫/加勢大周/沢田亜矢子・松野行秀/鈴木亜美/千堂あきほ/萩原聖人/横山ノック/飯島直子/久保純子/清水国明/清水ひとみ/鈴木保奈美/せんだ光雄/そのまんま東/名高達男/原仁美/坂東玉三郎/堀ちえみ/松田聖子/奈美悦子

■第六章
表現の自由と人権について インタビュー
眞田範行(日弁連「人権と報道に関する調査研究委員会」委員)
岡留安則(『噂の真相』編集長)
文藝春秋社長室 法務・広報部

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