香取慎吾の「座頭市」は「武士の一分」になるか

「日刊スポーツ」や「デイリースポーツ」などでは、座頭市・最後の映像化を香取慎吾で撮ることが報じられている。


故・勝新太郎さんの当たり役で、日本を代表するキャラクターである「座頭市」。その大役を香取慎吾が演じることになった。「勝新太郎さんが演じられた偉大な役に挑戦できるという喜びが大きいです」。

 「座頭市」が初めて映画化されたのは62年。それ以降、勝さん主演で映画が26本、ドラマが100本制作された。その後もビートたけし(62)、綾瀬はるか(23)も演じ、海外でも主人公・市をモチーフにした作品が制作されてきた。

 今回、新たに映画化するにあたり、作品を企画した中沢敏明プロデューサーは、市を原作に忠実な大柄でユーモアと男の色気にあふれたイメージに設定。勝版とは違い、妻とのラブストーリーや喜怒哀楽を見せる人間的なシーンもあることから、すべてにぴったりハマる香取に白羽の矢を立てた。

 まさかの大役に、最初は驚きを隠せなかった香取だが、昨年6月から殺陣のけいこを始め、阪本順治監督と、入念な打ち合わせを繰り返すなど万全な態勢を敷いてきた。15日に山形県・庄内のオープンセットでクランクイン後も、前向きに役にぶつかっている。

 今作は、剣を置き、妻・タネのために平穏な暮らしをすることを決意した主人公・市が、故郷の村のために悪人たちとの戦いに臨む物語。市の人生の最後も描かれる。原作者・子母澤寛さんの遺族から映像化権を任されている中沢プロデューサーは「この先いかなるメディアでも『座頭市』を映像化することはしない」と断言しており、文字通りこれがラスト。香取も撮影が進むにつれ「最後を締めくくれる気がしてきました」と、自信を持って演じている。(「デイリースポーツ」2009年3月17日更新)


香取慎吾は、『黒部の太陽』に続いて大役を仰せつかった訳だ。昨日も書いたが、舞台や映画にシフトするジャニーズ事務所の慧眼を感じる。

ただし、こちらは時代劇。「ファッショナブルな要素を盛り込み、若者の注目を集める作品」(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=1117&f=national_1117_001.shtml)という『西遊記』などで期待されたモチーフはどこまで通用するだろうか。以前からの時代劇ファンというよりも、新しくファンを開拓するという気持ちがなければ成功しないだろう。

もっとも、制作サイドが、ジャニーズ事務所の意向にとらわれる可能性はある。中沢敏明が、山田洋次のように自分が描いたものを貫徹できるかどうかも成功の鍵を握るはずだ。

『芸能スキャンダルという快楽』(鹿砦社)の中に、「テレビをダメにしたジャニーズ事務所」という読み物がある。木村拓哉が「武士の一分」という山田洋次監督の時代劇に出たときの話が書かれている。

映画『武士の一分』での出来事だった。この映画を撮ったのは『男はつらいよ』を撮り続けた山田洋次監督である。その山田監督からのお声がかかったキムタクこと木村拓哉は映画初出演でもあった。
 山田監督とキムタク。山田監督は日本を代表する監督だとすれば、キムタクはさながら日本を代表するスーパースターということになろう。かつて映画『影武者』撮影では、黒薄明監督と日本一のB級スターの勝新太郎がぶつかったことがある。お互いに譲らない気骨のある監督と俳優だけに、案の上、激突して勝新が映画を降りることになった。
 果たして山田監督とキムタクはぶつかったのか…。実はぶつかっていた。まずキムタクのスケジュールのために山形ロケをできなかったりするなど山田監督は譲りに譲った。俳優のスケジュールに合わせてスケジュールを調整することなど、かつて山田監督には全くなかった。だが監督はキムタクのスケジュールに合わせたのだ。
 そしてキムタクは、現場では、山田監督にアイデアを出した。例えば剣の先にトンボが留まるシーンなど次々とアイデアを出し、山田監督も撮影に応じた。山田監督は柔軟である。人と喧嘩をしたという話を聞いたことがない。キムタクのアイデアを全て取り入れて撮影をした。
 映画は完成した。だが、キムタクのアイデアのシーンは全く使われていない。山田監督はキムタクのアイデアを一切無視した。この映画は、山田監督の作品でありキムタクの作品ではない。キムタクは俳優という素材にしかすぎないのだ。
 キムタクは文句ひとつ言えなかった。そして山田監督も黙して語らずだが、今後キムタクを使うことはない、というのが映画関係者の一致した見方でもある。山田監督の完勝だった。

その稿はさらに、「今、テレビ局に山田監督のような真似をできるだろうか」と書かれている。巨匠・山田洋次と、替えがいくらでもいるテレビ局のスタッフでは比べるべきものではないかもしれないが、テレビに「長いものには巻かれよ」という発想があることは間違いない。

ジャニーズ事務所について関心のある方なら、『芸能スキャンダルという快楽』(鹿砦社)は一読の価値がある。なお、木村のテレビや映画出演を巡るトラブルや裏話などは、『ジャニーズスキャンダル調書』(鹿砦社)に詳しい。

【同書の目次】
第1章 黎明期(1962年?1968年)
第2章 試行錯誤(1969年?1974年)
第3章 試練(1975年?1979年)
第4章 起死回生(1980年?1992年)
第5章 発展期(1993年?1999年)
第6章 近代化(2000年?2008年)

【本書に登場するジャニーズタレント(OB含む)】
中谷良、あおい輝彦、真家ひろみ、飯野おさみ、北公次、江木俊夫、青山孝、おりも政夫、小谷純、やなせかおる、行田和彦、岡典雄、郷ひろみ、豊川誕、井上純一、川崎麻世、田原俊彦、近藤真彦、野村義男、内海光司、大沢樹生、諸星和己、佐藤寛之、山本淳一、佐藤敦啓、田代秀高、赤坂晃、東山紀之、錦織一清、植草克秀、平本淳也、米花剛史、森且行、中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾、城島茂、山口達也、国分太一、松岡昌宏、長瀬哲也、堂本光一、堂本剛、坂本昌行、長野博、井ノ原快彦、森田剛、三宅健、岡田准一、大野智、櫻井翔、相葉雅紀、二宮和也、松本潤、滝沢秀明、今井翼、亀梨和也、赤西仁、田口淳之介、田中聖、上田竜也、中丸雄一、澁谷すばる、錦戸亮、丸山隆平、安田章大、大倉忠義、村上信五、横山裕、山下智久、小山慶一郎、加藤成亮、増田貴久、手越祐也、森内貴寛、内博貴、草野博紀、中島裕翔、風間俊介、中丸雄一、有岡大貴、山田涼介ほか

【参考図書】

『ジャニーズスキャンダル調書』(鹿砦社)

『ジャニーズ恋愛相関図』(鹿砦社)

『ジャニーズイミダス』(鹿砦社)

『ジャニーズの歴史 完全保存版』(鹿砦社)

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