暴力団排除条例は機能しているのか - 芸能資料館

暴力団排除条例は機能しているのか


島田紳助の引退騒動以来、芸能マスコミは、まるで暴力団排除条例のPR誌になったかのように暴力団の「密接交際者」に言及する報道に明け暮れた。

だが、そもそも、今回の暴力団排除条例施行については、暴力団や警察に詳しい識者は批判的、もしくは懐疑的である。

たとえば溝口敦氏は、連載「斬り込み時評」(『日刊ゲンダイ』十月四日付)で、「都民にとって物騒極まりない代物」「お粗末きわまりない条例」と厳しく批判している。「天下り先の確保を含む警察権益拡大に向けた警察官僚の思惑」(『週刊現代』10月29日号で青木理)を指摘する者もいる。

この条例が総じていえる問題点のひとつは、「暴力団を孤立させ、資金供給を断つ」というスローガンのもと、国民にその判断や対応を求めていることである。

「暴力団を孤立させ、資金供給を断つ」のは、国民の生活を守るために警察が行う仕事ではないのか。一番大変なとこを国民にマル投げしてどうするといいたい。また、条例の言う「密接交際者」の定義もあいまいである。

あいまいということは、取り締まる側の判断でいかようにも適用を広げられるということだ。溝口敦氏は具体的にこんな例を出して憤る。

「たとえば父親が組員のため銀行口座を開けない。そのため授業料の自動引き落としができず、子供は現金で納入する。早晩、同級生に組員の子と知れ、いじめに遭う。子供は『暴力団関係者』だから、いじめられて当然なのか。逆に同級生が組員の子の家に遊びに行けば『密接交際者』になるのか」

今回の暴力団排除条例が目指しているのは、暴力団の「追放」や「撲滅」ではなく「弱体化」に過ぎず、それも実際にどこまで奏功するかわからないといわれる。

それを見透かしているのか、今回の暴力団排除条例に対して、司忍組長は産経新聞のインタビューでこう答えている。

「山口組というのは窮地に立てば立つほどさらに進化してきた。昭和39年のときもわれわれの業界は終わりだといわれていた。ところがそれから1万人、2万人と増えた。弾圧といえば語弊があるが、厳しい取り締まりになればなるほど、裏に潜っていき、進化していく方法を知っている」

だからこそ、条例のあいまいさが批判されているし警察の本気度も試されている。同様にマスコミの本気度も問われているのだ。

暴力団 (新潮新書)

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  • 作者: 溝口敦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/09/16
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