70年代アイドル、トップを飾ったスタ誕3人娘
70年代アイドルの当時の写真を集めた「愛しの70年代アイドル26人秘蔵写真」という特集が、今週売りの『週刊大衆』(3月11日号)のカラーページに出ています。新聞の広告を見て、どうせたいした記事ではないのだろうけど、と思いながらも、「70年代」という文字につられて、つい買ってしまいました。扉ページにはスタ誕3人娘(森昌子、桜田淳子、山口百恵)が、次の見開きにはキャンディーズ、ピンク・レディーと、その前の3人娘といわれた天地真理、小柳ルミ子、南沙織が、さらに次の見開きには岩崎宏美、片平なぎさ、石野真子らのスタ誕組、清水由貴子さんを加えて3人娘といわれていた高田みずえと榊原郁恵、浅田美代子、水着姿の浅野ゆう子やアグネス・ラムらが出ています。

ただし、どれも当時の写真だけで本人の取材はなし。酒井政利さんによるさしさわりのない当時のエピソードが添えられているだけです。ありあわせの素材でページを埋めましたね。
まあ、こういう特集はネタがないときに使うものだということは承知していたのですが、もしかしたら何か面白い秘話でもあるんじゃないのかって期待してしまいます。
ただ、生涯セールスの順ならトップはピンク・レディー、ビジュアルならアグネス・ラムであろうところを、スタ誕3人娘をトップにもってきた編集者のセンスには共鳴できます。
70年代というのは、個々のアイドルすべてがその出身ではなくても、「スター誕生!」(スタ誕)というスカウト番組によって、アイドルの質や芸能界の仕組みが変わっていった時期です。
「スター誕生!」をご存じない方はこの記事をご覧いただければと思います。
【関連記事】
・『スター誕生!』と桜田淳子の40年
・山口百恵と桜田淳子、萩本欽一が40年ぶりに激白
「スター誕生!」でどう変わったのか。関係者が厳しい証言をしているのですが、まずそちらから。
当時、番組制作に関わった放送作家の河村シゲル氏は、「スタ誕の罪」として、番組が排出した歌手のほとんどが「大人が楽しむ歌」ではなく「所詮、振り付けだの衣装だので見せるしかなかった」10代、それも中学生、高校生のため、音楽番組がレベルダウンしたと嘆いています。
中村泰士氏もそれが理由で審査員を降板したとし、番組の生みの親とまでいわれている阿久悠氏までもが亡くなる間際に、番組で求めてきた「ヘタでも今まで見たことのない新しい歌手」というコンセプトは間違いだったかもしれないと呟いたそうです(『テレビ作家たちの50年』)。
関係者が、「スター誕生!」のためにヘタな歌手が歌謡界を席巻して音楽番組の質を変えてしまったと自己批判しているわけです。これは当時のファンとしてはショッキングでしょう。
ただ、当時は一視聴者の子供でしかなかった私ですが、関係者の自己否定には懐疑的です。
科学哲学者のカール・ポパーはこう言っています。歴史は科学実験のようにコントロール群を設定した反証実験はできないと。
つまり、もし、「スタ誕」さえなかったら「大人が楽しむ歌」による音楽番組がその後も発展的に継続した、という説もまた合理的に立証はできません。簡単にいえば、音楽番組がレベルダウンしたのがスタ誕のせいとはいえないということです。
歴史は偶然と必然によって新しいページがめくられます。「大人が楽しむ歌」が真理なら幾多の行きつ戻りつを繰り返しながらも、やがてそこへ回帰していくはずですが、21世紀のこんにちを見ると、「大人が楽しむ歌」どころか、歌番組そのものがなくなり、話題になるのはAKB商法です。
つまり、「大人が楽しむ歌」とは正反対にますますマニア化しているのです。
時は移ろい業界も生き物です。善し悪しの問題ではなく、歌謡界の新しい時代の流れを「スタ誕」が作ったということではないかと思います。
話を戻すと、次の見開きには関連として、現在の林寛子、あべ静江、大場久美子の「スペシャル・ライブ」取材とインタビューページになっていますが、あべ静江のあまりの変わり様を見てしまうと、いくら本人インタビューが入っていてもこれでは……という感じ。見出しは、「昔と変わらぬ歌声にファンが大熱狂!」と書かれていますが、人間は声量だってトシを取ると思うんですけどね。

ただし、どれも当時の写真だけで本人の取材はなし。酒井政利さんによるさしさわりのない当時のエピソードが添えられているだけです。ありあわせの素材でページを埋めましたね。
まあ、こういう特集はネタがないときに使うものだということは承知していたのですが、もしかしたら何か面白い秘話でもあるんじゃないのかって期待してしまいます。
ただ、生涯セールスの順ならトップはピンク・レディー、ビジュアルならアグネス・ラムであろうところを、スタ誕3人娘をトップにもってきた編集者のセンスには共鳴できます。
70年代というのは、個々のアイドルすべてがその出身ではなくても、「スター誕生!」(スタ誕)というスカウト番組によって、アイドルの質や芸能界の仕組みが変わっていった時期です。
「スター誕生!」をご存じない方はこの記事をご覧いただければと思います。
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・山口百恵と桜田淳子、萩本欽一が40年ぶりに激白
「スター誕生!」でどう変わったのか。関係者が厳しい証言をしているのですが、まずそちらから。
当時、番組制作に関わった放送作家の河村シゲル氏は、「スタ誕の罪」として、番組が排出した歌手のほとんどが「大人が楽しむ歌」ではなく「所詮、振り付けだの衣装だので見せるしかなかった」10代、それも中学生、高校生のため、音楽番組がレベルダウンしたと嘆いています。
中村泰士氏もそれが理由で審査員を降板したとし、番組の生みの親とまでいわれている阿久悠氏までもが亡くなる間際に、番組で求めてきた「ヘタでも今まで見たことのない新しい歌手」というコンセプトは間違いだったかもしれないと呟いたそうです(『テレビ作家たちの50年』)。
関係者が、「スター誕生!」のためにヘタな歌手が歌謡界を席巻して音楽番組の質を変えてしまったと自己批判しているわけです。これは当時のファンとしてはショッキングでしょう。
ただ、当時は一視聴者の子供でしかなかった私ですが、関係者の自己否定には懐疑的です。
科学哲学者のカール・ポパーはこう言っています。歴史は科学実験のようにコントロール群を設定した反証実験はできないと。
つまり、もし、「スタ誕」さえなかったら「大人が楽しむ歌」による音楽番組がその後も発展的に継続した、という説もまた合理的に立証はできません。簡単にいえば、音楽番組がレベルダウンしたのがスタ誕のせいとはいえないということです。
歴史は偶然と必然によって新しいページがめくられます。「大人が楽しむ歌」が真理なら幾多の行きつ戻りつを繰り返しながらも、やがてそこへ回帰していくはずですが、21世紀のこんにちを見ると、「大人が楽しむ歌」どころか、歌番組そのものがなくなり、話題になるのはAKB商法です。
つまり、「大人が楽しむ歌」とは正反対にますますマニア化しているのです。
時は移ろい業界も生き物です。善し悪しの問題ではなく、歌謡界の新しい時代の流れを「スタ誕」が作ったということではないかと思います。
話を戻すと、次の見開きには関連として、現在の林寛子、あべ静江、大場久美子の「スペシャル・ライブ」取材とインタビューページになっていますが、あべ静江のあまりの変わり様を見てしまうと、いくら本人インタビューが入っていてもこれでは……という感じ。見出しは、「昔と変わらぬ歌声にファンが大熱狂!」と書かれていますが、人間は声量だってトシを取ると思うんですけどね。
この記事へのコメント
みなさん共通だと思います。
今の40歳前後のタレントさんだって整○とかして
昔を維持するのは大変そうですね。
凄いと思ってしまいます
(^_0)ノ
カラオケでピンクレディーを上手に歌うおじさまがいらっしゃいます。
スタ誕にはワクワクしましたが、功罪を今当時の関係者が
とやかく言っても、それでもうけてきたあなたたちは?
という感も否めませんね~。、
多く素人に歌手への扉を開いたことは認められても良いと思います。
魅力のある人・実力のある人は残っているのではないでしょうか。
欽ちゃんの哀しげな「バンザイ無しよ!」は強烈に印象に残ってます。
今の時代からすれば、スター誕生出身の歌手の方々は十分上手かったと思います。。。過去形は失礼ですかね(笑)
引退直前に再逆転してそのまま70年代アイドルの中で独走してますね
健気に一生懸命やってるのは素敵ですけど。。
70年代。わくわくしますね。
山口百恵さんはきっぱりとやめてその後も出てこない
のはさすがだと思います。カムバックするよりも思い出は
そのままそっとが好きです。けっこうがっかりすることも
ありますから。
スター誕生見てました(^^)/
自分は「スター誕生」を見た世代ではないですが、この当時の曲はよく聴いていますよ。いろいろな感じ方・考え方のあるところだと思いますが、70年台のアイドルたちの曲の中には、自分のようにその時代を知らない世代でも知っている曲が数多く存在しているのも事実だと思います。それにくらべて、AKBとか、最近の曲は...、あと30~40年後にどれだけ生き残っているかということで、本当の評価が決まるのではないでしょうか。
と言っても、70年代初盤からしか知らないのですが・・・^^;
歌唱力だけであればそうかもしれませんが、
表現力やタレント性などの総合力では魅力ある人が
多く輩出されているようにも思います^^
最近では、森昌子さんが良くテレビに出ているなって思います^^
芸能人の人は若い頃とあんまり代わらないなと思いつつ、天地真理さんの変わり様にはちょっと絶句でしたけど・・・
アイドルは、その時代でアイドルなのだから山口百恵さんのような潔さはやっぱり永遠に残りますよね^^
benyさん
私も黛ジュンいいと思いますよ。
すっきいなのんにぃ、あのひとーはいんなーいー
つい口ずさんじゃいますね
みなさんのブログにお邪魔した際にまた書かせていただきます。