PM2.5関東「上陸」のウソ・ホント
PM2.5(2.5マイクロメートル未満の微小粒子状物質)といえば、今年の流行語大賞になりそうな話題の言葉です。メディアが薄暗い北京の映像を交えて報じることで、“尖閣にちょっかいを出す中国産の大気汚染”というイメージがありますが、本当に中国産なのか、と国内のPM2.5事情を明らかにしているのが『日刊ゲンダイ』(4月5日付)の「純国産PM2.5が危ないエリア」という記事です。メディアは「PM2.5が関東上陸か」という報じ方をします。しかし、そのような報じ方では、PM2.5はもっぱら中国から来るものであって、本来日本にはなく、これまでもそんな心配はなかったという解釈もできてしまいます。
ほんとうにそうなのか。同紙では、先月、基準値超えを記録した神奈川県に取材しています。

神奈川県では、川崎区池上新田公園前のほか、川崎区役所大師分室、宮前平小学校前などの測定値で基準値超えを記録しています。
川崎区池上新田公園。軟式野球場、遊戯広場などがある公園です。すぐ近くに産業道路(上が首都高横羽線)があり、周りは工場です。
そういえば、産業道路の歩道橋には、煤が固まったコールタールのようなものがべったり分厚く貼りついているのですが、こんなものを吸っていたらたまんないなあ、などと思ったものです。
川崎区役所大師分室。川崎大師にある大師公園のすぐ近くです。大師公園には長い、いわゆるコロコロ滑り台があり、親子連れがたくさん来ています。

神奈川の3月の最高値52.6マイクログラムを記録したのは伊勢原市谷戸岡公園。ここも国道246号と東名高速に挟まれたエリアです。
同紙は都内82カ所の測定場所においても、「先月28日は一般局だけでも1日平均の基準値35マイクログラムを超えた場所が、神田司町、晴海、港区台場、品川区豊町、大田区東糀谷、渋谷区宇田川町、板橋区本町、練馬区練馬の8カ所もあった」ことを指摘。
要するに「上陸」しようがしまいが、とっくに基準値超えで存在していたのです。
以前、このブログで「PM2.5問題、緊急性とリスクは?」という記事を書きましたが、中国産であることを強調する報道に「今、なぜ?」という問いかけを私はしました。
それに対して、「これでPM2.5が知られるようになったのだからその点ではよしとすべき」という意見もありました。たしかにそれも言えないことはありません。
ただ、それ以上に、マスコミの報じ方で国民の認識や価値観が振り回される、ということに私たちはもっと懐疑や憤りの気持ちを持ってもいいのではないかと私は思うのです。
もし、日中関係や国民感情が今と違っていたら、PM2.5は少なくともこれほどセンセーショナルには報じられなかったのではないでしょうか。むしろ純然たる公害(大気汚染)としてだったら、報道は抑えられたかもしれません。
PM2.5を、「大気汚染の問題」ではなく「『ナショナリズム』の問題」にすり替えてしまうことについて、私たちは何の疑問も抱かなくていいのでしょうか、ということです。
少なくとも、純国産のPM2.5をまき散らしている原因と責任から国民の目を逸らすことにつながっているからです。
アスベストにしてもBSEにしてもそうですが、様々な事情から、あるときまではずっと伏せておき、いったん報じたら今度はセンセーショナリズムで国民を右往左往させる。今回もそれと同じパターンではないかなと私は思うのです。
ほんとうにそうなのか。同紙では、先月、基準値超えを記録した神奈川県に取材しています。

「神奈川県では、3月7日に県内5カ所、8日に3カ所、そして9日には17カ所で、PM2.5が環境基準を超えました。ただ、このくらいのことは珍しくありません。平成23年度からPM2.5の観測を続けていて、大体1年間に10日くらいはあります」(同県環境農政局環境保全部大気水質課)とにかく、PM2.5問題は以前からあり、かつ基準値を超えることもあった。もし今問題にするのなら以前から問題にしてもおかしくはなかったということです。
中国のPM2.5が注目されたのは最近なのに、2年前から10日間は基準超え? ということは、国内にももともとPM2.5は存在してきたということか。
「PM2.5が中国由来か、日本のものかはよく分かりません。ただし、たとえば3日連続で環境基準を超えた測定局3つのうちのひとつ、(川崎区池上新田公園前)は臨海部の工場地域に近く、高速道路が通っていて、工場の噴煙や車の排ガスの影響を受けやすい。この測定局は国内の影響が強いといえるでしょう。測定値は40マイクログラム前後でした」(同課)
神奈川県では、川崎区池上新田公園前のほか、川崎区役所大師分室、宮前平小学校前などの測定値で基準値超えを記録しています。
川崎区池上新田公園。軟式野球場、遊戯広場などがある公園です。すぐ近くに産業道路(上が首都高横羽線)があり、周りは工場です。
そういえば、産業道路の歩道橋には、煤が固まったコールタールのようなものがべったり分厚く貼りついているのですが、こんなものを吸っていたらたまんないなあ、などと思ったものです。
川崎区役所大師分室。川崎大師にある大師公園のすぐ近くです。大師公園には長い、いわゆるコロコロ滑り台があり、親子連れがたくさん来ています。

神奈川の3月の最高値52.6マイクログラムを記録したのは伊勢原市谷戸岡公園。ここも国道246号と東名高速に挟まれたエリアです。
同紙は都内82カ所の測定場所においても、「先月28日は一般局だけでも1日平均の基準値35マイクログラムを超えた場所が、神田司町、晴海、港区台場、品川区豊町、大田区東糀谷、渋谷区宇田川町、板橋区本町、練馬区練馬の8カ所もあった」ことを指摘。
要するに「上陸」しようがしまいが、とっくに基準値超えで存在していたのです。
以前、このブログで「PM2.5問題、緊急性とリスクは?」という記事を書きましたが、中国産であることを強調する報道に「今、なぜ?」という問いかけを私はしました。
それに対して、「これでPM2.5が知られるようになったのだからその点ではよしとすべき」という意見もありました。たしかにそれも言えないことはありません。
ただ、それ以上に、マスコミの報じ方で国民の認識や価値観が振り回される、ということに私たちはもっと懐疑や憤りの気持ちを持ってもいいのではないかと私は思うのです。
もし、日中関係や国民感情が今と違っていたら、PM2.5は少なくともこれほどセンセーショナルには報じられなかったのではないでしょうか。むしろ純然たる公害(大気汚染)としてだったら、報道は抑えられたかもしれません。
PM2.5を、「大気汚染の問題」ではなく「『ナショナリズム』の問題」にすり替えてしまうことについて、私たちは何の疑問も抱かなくていいのでしょうか、ということです。
少なくとも、純国産のPM2.5をまき散らしている原因と責任から国民の目を逸らすことにつながっているからです。
アスベストにしてもBSEにしてもそうですが、様々な事情から、あるときまではずっと伏せておき、いったん報じたら今度はセンセーショナリズムで国民を右往左往させる。今回もそれと同じパターンではないかなと私は思うのです。
この記事へのコメント
いきなり湧いて出た物質ではなく
以前から存在している物質。
情報弱者である一般国民を操作するのは
たやすいことでしたが、ネット時代の到来により
簡単ではなくなってきましたよね~
情報リテラシーを高める必要がありますね。
情報操作が行われているのかもしれませんし、偶然なのかもしれません。
We have PM 2.5.
むしろ今まで語られてこなかったということはもともとリスクが小さいのか、それとも、隠したかったことなのか…
疑念が出てきてしまいますね。
たまたま読んだ、先月に発売されたNewtonにもPM2.5のことが載っていましたので、少し知識入れてです(笑)
>あるときまではずっと伏せておき、いったん報じたら今度はセンセーショナリズムで国民を右往左往させる
鳥インフルエンザの死者〇名、と公表した時点で、中国のことだから〇名×10とかそれ以上だろうって言ってる人もいて、まったくだ!と思ってましたが、日本も同じですかぁ( ̄。 ̄ )ボソ...
なんか心配ごとが増えるようです。
飛散物を何とかしないとね~。
いっぷくさんのブログのような発信がとても大切に思えます。
以前からあったとは・・・
情報を公開した?のかな???
中国のがなければ、ダンマリ??作戦。
害のある問題は公表して欲しいですね。
いけませんのいけませんです(凹)
思わせられてしまうような報道でしたねー
踊らされないようにしなくては
ニュースだけを鵜呑みにしていたら
いつかひどい目にあいそうです
国内産よりも中国産の方が
攻撃しやすいってのがあるもかも・・・
すでに2年前から基準値越えしていたとは驚きです^^;
http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
こちらは、それほどではなくて良かったです。
これから雨が降る予報ですけど・・・。
以前からあったのなら
マスコミはナショナリズムに踊らされず
真実を報道して欲しいですね。
自分で情報を集めなければいけない時代になりましたね。
マスクをつける人たちが急増。世論操作は成功したようですね。