「女性とデートできる」というメールの“騙し”ー『だまされる人の共通点』から
「女性とデートできる」という趣旨のメールが、見ず知らずの名前とメールアドレスで1日に何度も来ます。みなさんのところにもそんなメール、きませんか。
しかも、デートするだけではなく、デートしてくれたらお金も用意しますと書かれています。むしろ、そんなことを書くことでインチキくさくなるだろうと突っ込みたいところですが、実はそれが騙せる決め手になるらしい。騙すテクニックと騙される心理というのはわからないものです。『だまされる人の共通点』(主婦の友インフォス情報社)という書籍があります。弁護士として『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に出演して広く知られるようになり、政界入りした丸山和也参議院議員(自由民主党)が著者です。

このブログでは、物理学者の池内了氏、平和学・放射線防護学者の安斎育郎氏、心理学者の菊池聡氏など、「騙されないようにする」ためにどうすべきかを学者が提言した書籍をご紹介してきました。
今回の著者は弁護士です。「三百代言」などといわれることもあるように、裁判官をいかにして信じさせるか、依頼人の交渉相手をいかに“言いくるめる”か、という、言葉は悪いですが弁護士は「詐術」も職能の一つです。
その弁護士の立場から見て、どうすれば人は騙されるのか。指摘は興味深いと思いました。
丸山和也氏によると、「騙される人」は、まず「信じやすい人」。
これはまあ、わかります。ただ、それとは逆に、疑い深い人も危ないのだそうです。
オウム真理教で、理系の高学歴者がオカルトにコロッと引っかかる現象を思い起こします。人間は間違いうるものです。どんな分野であれ、「専門家」を自負する人は驕らず気をつけなければいけません。
そして、冒頭の「女性とデートできる」という騙し。
『だまされる人の共通点』はまず、2006年の事件にさかのぼります。
「全国のリッチな高級婦人とのデートがお仕事です。デートするだけで数万円が稼げます」という嘘の広告で、1人につき数万円の現金を振り込ませるという詐欺事件がありました。被害者は全国に1万人以上にのぼるといわれ、被害総額は3億円以上。
こんな事件があったにもかかわらず、冒頭に書いたように、いまだに「デートしてくれたらお金を差し上げます」なんていうメールがいろいろなところから入ってきます。これは、理屈で「あり得ない」ことを明かすだけでは解決しない問題ということなのでしょう。
ここが、面白いところですよね。実際にデートができないかもしれなくても、「多少のことはバカになってみよう」という気持ちで突っ込んでしまう。デートできなくても、デートできるかもしれないというときのはかない快感にひたりたい。
「騙される」という行為には、そうした面もあるでしょう。
悪徳商法にしろ、疑似科学にしろ、「騙されるやつがバカだ」と紋切り型の批判をする人がいます。
が、「バカになる」ことで得られる快感が、さかしらにそう評論する人の視点から抜け落ちているのかもしれません。それでは、人間を理解したことになりません。
そもそも、頭ごなしに「バカ」であることを指摘したところで、騙された人を得心させることはできないでしょう。
丸山和也氏は、同書の「はじめに」冒頭で、「『騙すやつが悪く、騙された人はかわいそう……』なんてくだらないことを伝えたくて、本にした訳ではない。騙すも騙されるも、それは人間の生き様のひとコマである。それがない人間の生活も社会も存在しない」と断っています。
もちろん、騙す行為が法律に触れていればそれは当然罰せられるべきものですが、それ以外の価値観については、是非という視点だけに固執せずに、「人間とはなんだろう」という見方から考えてみることも必要かもしれません。
しかも、デートするだけではなく、デートしてくれたらお金も用意しますと書かれています。むしろ、そんなことを書くことでインチキくさくなるだろうと突っ込みたいところですが、実はそれが騙せる決め手になるらしい。騙すテクニックと騙される心理というのはわからないものです。『だまされる人の共通点』(主婦の友インフォス情報社)という書籍があります。弁護士として『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に出演して広く知られるようになり、政界入りした丸山和也参議院議員(自由民主党)が著者です。

このブログでは、物理学者の池内了氏、平和学・放射線防護学者の安斎育郎氏、心理学者の菊池聡氏など、「騙されないようにする」ためにどうすべきかを学者が提言した書籍をご紹介してきました。
今回の著者は弁護士です。「三百代言」などといわれることもあるように、裁判官をいかにして信じさせるか、依頼人の交渉相手をいかに“言いくるめる”か、という、言葉は悪いですが弁護士は「詐術」も職能の一つです。
その弁護士の立場から見て、どうすれば人は騙されるのか。指摘は興味深いと思いました。
丸山和也氏によると、「騙される人」は、まず「信じやすい人」。
これはまあ、わかります。ただ、それとは逆に、疑い深い人も危ないのだそうです。
じつは、「疑い深い人」も意外と騙されやすい。「疑い深い人」は、人の言葉を疑ってかかるから、簡単に騙されない印象があるが、違う。自分の持っている疑いさえクリアすれば、ほかのことは抵抗なく信用するのだから。ある意味、「信じやすい人」と 「疑い深い人」とは裏表のようなものである。もうひとつ、「自分がその道のプロだと思っている人が騙される」という指摘も面白い。
また、「頭がいい人」も危険である。「頭がいい」というより、「自分で頭がいいと思っている人」といったほうが正しいかもしれない。そういう人は、自分に自信を持っている。いろいろなデータを示されて、論理的に説得されると納得して騙されてしまうのだ。投資商品がらみの詐欺などに騙される人は、このタイプが多いのではないだろうか。
オウム真理教で、理系の高学歴者がオカルトにコロッと引っかかる現象を思い起こします。人間は間違いうるものです。どんな分野であれ、「専門家」を自負する人は驕らず気をつけなければいけません。
そして、冒頭の「女性とデートできる」という騙し。
『だまされる人の共通点』はまず、2006年の事件にさかのぼります。
「全国のリッチな高級婦人とのデートがお仕事です。デートするだけで数万円が稼げます」という嘘の広告で、1人につき数万円の現金を振り込ませるという詐欺事件がありました。被害者は全国に1万人以上にのぼるといわれ、被害総額は3億円以上。
こんな事件があったにもかかわらず、冒頭に書いたように、いまだに「デートしてくれたらお金を差し上げます」なんていうメールがいろいろなところから入ってきます。これは、理屈で「あり得ない」ことを明かすだけでは解決しない問題ということなのでしょう。
「あなたは選ばれました! 私たちは社長夫人と資産家の未亡人のグループです。1回デートをしてくれれば20万円を差し上げます。場合によっては、もう少し上乗せすることができます。私は時間とお金があるので、私にとっては負担ではありません」「こんなうまい話はありえない」と理屈ではわかっていても、性的な好奇心を突かれると、男性はどこかで刺激的に感じる生きものなのだろう。「数万円程度で女性とデートできるなら」と思い、自分でもバカだと思いながら、「多少のことはバカになってみよう」という気持ちがあるのだ、と丸山和也氏自戒を込めて(?)述べています。
要するに、「ヒマでお金があり、家庭的に恵まれない女性を癒してやってください」という話である。女性とデートしてお金がもらえるという誘いであり、ほんとうなら非常にいい話である。「そんなの変ではないか」と思うものの、いまの世の中「こういう話もあるかもしれない」と思わせるところがあり、その意味では話としてはよくできている。弁護士の私もうなるくらいである。
文章に若干の違いはあれど、このような話にはだいたい決まったパターンがある。共通する特徴は、全部、最初はただでこちらが金をもらえるように書いてあることだ。実際、最初のメールでは 「登録料などはいっさい要りません」と書いてある。
つまり、「お金がかからず遊べて、しかもこちらが金をもらえる話」なのだ。しかし、途中からなんらかの理由がついて 「こちらが金を払う話」へと変わる。本筋の話はつないでいるが、途中から「相手を紹介する紹介料が必要」などとさまざまな理由をつけて、何かをするためにこちらに金を払わせる話へ転換するのだ。
この話がうまいのは、男性が持つ 「女性がほしい」という性的欲望をうまく突いている点だ。さらに「金がもらえる」というのなら、このうえもなくいい話である。
ここが、面白いところですよね。実際にデートができないかもしれなくても、「多少のことはバカになってみよう」という気持ちで突っ込んでしまう。デートできなくても、デートできるかもしれないというときのはかない快感にひたりたい。
「騙される」という行為には、そうした面もあるでしょう。
悪徳商法にしろ、疑似科学にしろ、「騙されるやつがバカだ」と紋切り型の批判をする人がいます。
が、「バカになる」ことで得られる快感が、さかしらにそう評論する人の視点から抜け落ちているのかもしれません。それでは、人間を理解したことになりません。
そもそも、頭ごなしに「バカ」であることを指摘したところで、騙された人を得心させることはできないでしょう。
丸山和也氏は、同書の「はじめに」冒頭で、「『騙すやつが悪く、騙された人はかわいそう……』なんてくだらないことを伝えたくて、本にした訳ではない。騙すも騙されるも、それは人間の生き様のひとコマである。それがない人間の生活も社会も存在しない」と断っています。
もちろん、騙す行為が法律に触れていればそれは当然罰せられるべきものですが、それ以外の価値観については、是非という視点だけに固執せずに、「人間とはなんだろう」という見方から考えてみることも必要かもしれません。
この記事へのコメント
誰しも、いきなり、見ず知らずのアドレスからのメールを信じることはないと思います。
お金儲けがらみは物欲に訴え、色じかけのものは性欲に訴えて、繰り返しメールを送りつけることで、1回ぐらい応答してみるか、という、いわゆる、魔が差す、という状態に陥ることを狙ったものと考えています。
繰り返し人間の欲望に訴える、という行為が、思考回路の警戒FUSEを飛ばしてしまうカラクリではないかと考えています。
催眠術の一種ではないでしょうか。
相手のためを思って、という気持ちが大切なんだろうな・・・って。
職場の独身男性職員で、その殺された人くらいの年齢の人に「いくらなんでも美人でもなんでもない、そう言っちゃ悪いけどデブなのに、どうして騙されるのよ?」って聞いたことあります。
そしたら、
「これが黒木瞳似のスタイルの良い美人だったりすると、むしろ騙されてるって思うんだな。その容疑者くらいだと変に納得できる」と言うんです!
信じられな~い!!
まして男と女の関係なら騙される側に、騙されてみようかな、て思う事もあるのでは?
いっぷく さんは数々の文献を消化されていますね。
自分の言葉で毎回語られる事に尊敬しています。
きちんと消化されているからこそ、誰にでもわかる表現で
伝えられるのだと感心させられています。
シチュエーション、あの感覚なんでしょうね。
小遣い程度で結果騙されたのなら勉強料で済むのでしょうが
生活に支障をきたす程つっこむ人もいるから
自制・バランス感覚、大事ですね。
件名が多いです。ここから騙されているんでしょうね。
使えない印象です。(^^;;
まだ『コンゴからの手紙』の方が、バリエーション
豊かだよなあ……。
昨年後半は、家出中の娘が泊めてっていうパターン
が多かったですね。
だあほ。野宿しなはれ。(^m^)
詐欺師もその才能を
もっといい方で活かせばいいのに
と、いつも思ってしまいます。
まぁ、誰が騙されるのかと思うようなメール、来ますよねぇ。
それが人の性なのか
しかし騙す側ってゲームみたいな感覚なんでしょうか
コイツにはこうやってこうやれば引っかかるみたいな
クワバラクワバラです
誰も騙されないでしょ!と思ってたんですが
いっぷくさんの話とmotosoftさんのコメントを読んで
納得しました~
やっぱり騙される人がいるから
あんなにメールがくるんですね
(^_0)ノ
デンキプランはカクテルです。飲んだことがないです・・・
うっし君は体重も増えていますよ~
「こんなのに引っかかる人がいるのかなぁ」と
思ってたのですが
いるから日に何十通と送られてくるのですね
もっとあからさまに性的なお仕事内容を
書いてあることもあります。家出少女を泊めて
あげてくださいってのと同じくらい、誰が引っかかるのかなと
思いながら、半笑いで視ています^^;
もっとドキドキ妄想モード全開くらいに書かなきゃ。
「いかにも」という感じがするので中身を見ずに削除します。
だまされる心理もあるのですね。
投資の話や、デートできるなんて事に乗る人は助兵衛根性が有るからだと思って居ます。
この世の中働かないでお金が貰えるなんて信じる人が居る事が考えられない。
振り込め詐欺だって、私にはそんな振り込むお金がないから騙されません。 と言いながら一番騙されやすいかも。
いや、騙されませんよ!!
それだけに気をつけねばと思います。
そうですね。このてのメールは一日に何件も着ますものね。
自分の場合、疑いとか何だとかより、
興味がないので消してるからだけなんですけど、
自分も騙される可能性がない訳ではないので
気をつけないと。
その手のメール、私にも今日も来ましたよ(笑)
内容見て、笑っちゃいました。。
何人の人が、クリックしているんだろう?
と、心配しちゃいましたけど。
このほかに。投資のメールもありましたよ。
私を信用して下さい。。。なんて。
笑っちゃいます。
このメール一日に8通くらい来ました。