学歴・競争・人生、キミの選択に後悔はないか?
『学歴・競争・人生』(日本図書センター)という話題の書籍があります。「10代のいま知っておくべきこと」というサブタイトルがついているので、大学生、浪人生、高校生ぐらいがターゲットということでしょうか。
ただ、学歴ってなんだろう、人生をどう生きたらいいのか、ということを考えるよすがとして、そうした年代の子供を持つ親、もしくは仕事や人生に行き詰まりを感じている人にも、社会と学歴のあり方について知識を整理できるためにご一読をお勧めしたい読み物です。先日、新小学1年生が「なりたい」職業&親が「就かせたい」職業というアンケート結果が発表されていました。ランドセル素材の「クラリーノ」が、この春小学校に入学する子ども男女各2,000人とその親に、「将来就きたい職業」「就かせたい職業」を調査したものです。
現実社会の受け皿は、子どもたちの夢の比率に合わせて用意されるわけではないのですから、多くの子どもたちがそうした大きな夢をあきらめることになるのは、避けがたい。そのために「実現可能性の少ない未来予想図を握りしめて、大人の入り口まで来てしまった若者がいれば、その先の世界を正しく見渡すことができるように、視野を広げることも大人たちの責務」という意図で上梓された書籍が、『学歴・競争・人生』です。

著者は吉川徹氏と中村高康氏。ともに社会学者です。
同書はまず、学歴社会は、能力や業績で人間を評価する近代社会の必然的な判定基準であること。それゆえ、多くの日本人が、自覚のあるなしにかかわらず学歴取得競争や学歴による人間評価といった価値観にとらわれている現実を指摘しています。
そして後半では、人生が学歴により水路づけられる現実を示しながらも、その学歴を冷徹に見つめ、名門(銘柄)大学志向の無意味さや、現実には大卒が必ずしも自分の人生にとって絶対に有利とはいえないことなどを解説しています。
たとえば、著者は大卒を「高学歴」ではなく「重学歴」と表現。「重」には、つぶしがきかない、(少なくとも4年)時間のロスがある、大学の学費もかかることなどが含まれています。
大学を卒業して社会に出ても、すでにはたらいてキャリアをつんでいる同期の高卒の人に待遇や地位などで勝つには何年もかかる。同書はとくに、腰掛でちょっとだけ働いて結婚してしまう四大卒女性のわざわざ大学に入る意味を問うています。
学歴主義ではなく、アンチ学歴ともいえない同書は、学歴と社会・人生というものを社会学者らしく是々非々に分析。大卒であるかないか、それぞれの選択でどうなるかの人生シュミレーションができるような解説書であると思います。
みなさんは、現在の職業や出身の学校について、どういった経緯で選ばれましたか。
私たちは子供のころ、進路というと親の方針がまずあって、その影響を受けた選択であることが多いのではないでしょうか。
たとえば、教育熱心な家ならたいていは進学を重視。まれにその反動で義務教育を終わったら社会に出てしまうなんてことがあるかもしれません。どちらにしても、「教育熱心」の影響を受けているわけです。
私もそういう影響を受けた一人で、挫折の繰り返しで25歳で大学に入りなおすなど、人生仕切り直しと回り道を繰り返しています。
もし私が10代でこの書籍と出会っていれば今頃はもっとまともな人生を……、なんてボヤきも出てしまいました。
同書は、自分の進路を自覚的に選んだのだろうか、ということを改めて考えさせてくれます。
ただ、同書にひとつ注文を付けると、大事なことが抜け落ちています。
それは、大学のメリット、デメリットについて語る際、「モラトリアム」の価値が重きを置いて語られていないことです。
趣味に、アルバイトに、サークル活動に、恋愛に熱中する大学生活。
高校を出てすぐ働いている人に比べれば、なんて無駄な「遊びの時間」と思われるでしょう。高い学費を払って4年も遊びやがって、と思われても仕方ないのが大学生活です。
しかし、それは決して無駄ではないのです。
その人の価値観の豊かさを育てる、金銭や数字には換算しにくいけれど、経験が確実にその人のその後の人生を豊かにできるのが「キャンパスライフ」です。
この点を無視して、大学生活の真のメリットを語ることはできないと思います。
ですから、女性が四大を出て25歳で結婚したからと言って、それを損であるようにしか解釈できないような啓蒙は違うんじゃないかなあと私は思います。
もっとも、では誰でも大学さえ行けば「モラトリアム」を経験して心が豊かになってその後の人生がバラ色かと言えば、もちろんそんなことはありません。
額面通り「モラトリアム」で、何も考えないまま社会に出て、不完全燃焼のまま気が付いたら「負け組」になってしまうことだってあります。私もそういう感じなのですが……(汗)
まあ、当たり前すぎる結論ですが、結局はその人次第ということでしょう。

ただ、学歴ってなんだろう、人生をどう生きたらいいのか、ということを考えるよすがとして、そうした年代の子供を持つ親、もしくは仕事や人生に行き詰まりを感じている人にも、社会と学歴のあり方について知識を整理できるためにご一読をお勧めしたい読み物です。先日、新小学1年生が「なりたい」職業&親が「就かせたい」職業というアンケート結果が発表されていました。ランドセル素材の「クラリーノ」が、この春小学校に入学する子ども男女各2,000人とその親に、「将来就きたい職業」「就かせたい職業」を調査したものです。
調査結果によると、今年の男子の第1位は「スポーツ選手」(27.2%)で、同社が調査を始めた1999年から15年連続の1位となった。以下、「警察官」(9.6%)、「TV・アニメキャラクター」(7.0%)、「運転士・運転手」(6.2%)、「消防士」(4.9%)とつづいた。子供のころはいろいろ夢があっていいですよね。でも、スポーツ選手や芸能人・タレント・歌手というのは、華やかだけれどもごく一握りの人しか到達できません。子供のころ純粋に描いた姿を実現することは、本人の能力や社会の仕組みなどいろいろな事情によって困難さを極めるのです。
一方女子の第1位は「パン・ケーキ・お菓子屋」(33.9%)で、こちらも調査開始以来の首位をキープする結果であった。以下、「芸能人・タレント・歌手」(9.7%)、「保育士」(9.6%)、「花屋」(8.7%)、「看護師」(4.0%)とつづいた。
例年と比べての顕著な変化はなかったものの、男女ともに「教員」の人気が下落傾向であったという。
一方、親が子どもに「将来就いてほしい職業」は、男子が第1位「公務員」(19.8%)、第2位「スポーツ選手」(12.0%)、第3位「医師」(10.0%)の順で、調査開始以来、不動のトップ3を堅持した。また女子は第1位「看護師」(15.9%)、第2位「薬剤師」(10.6%)、第3位「公務員」(10.2%)となり、なかでも「薬剤師」は年々上昇傾向にあるという。
http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/mamapicks/2013/04/1.html
現実社会の受け皿は、子どもたちの夢の比率に合わせて用意されるわけではないのですから、多くの子どもたちがそうした大きな夢をあきらめることになるのは、避けがたい。そのために「実現可能性の少ない未来予想図を握りしめて、大人の入り口まで来てしまった若者がいれば、その先の世界を正しく見渡すことができるように、視野を広げることも大人たちの責務」という意図で上梓された書籍が、『学歴・競争・人生』です。

著者は吉川徹氏と中村高康氏。ともに社会学者です。
同書はまず、学歴社会は、能力や業績で人間を評価する近代社会の必然的な判定基準であること。それゆえ、多くの日本人が、自覚のあるなしにかかわらず学歴取得競争や学歴による人間評価といった価値観にとらわれている現実を指摘しています。
そして後半では、人生が学歴により水路づけられる現実を示しながらも、その学歴を冷徹に見つめ、名門(銘柄)大学志向の無意味さや、現実には大卒が必ずしも自分の人生にとって絶対に有利とはいえないことなどを解説しています。
たとえば、著者は大卒を「高学歴」ではなく「重学歴」と表現。「重」には、つぶしがきかない、(少なくとも4年)時間のロスがある、大学の学費もかかることなどが含まれています。
大学を卒業して社会に出ても、すでにはたらいてキャリアをつんでいる同期の高卒の人に待遇や地位などで勝つには何年もかかる。同書はとくに、腰掛でちょっとだけ働いて結婚してしまう四大卒女性のわざわざ大学に入る意味を問うています。
学歴主義ではなく、アンチ学歴ともいえない同書は、学歴と社会・人生というものを社会学者らしく是々非々に分析。大卒であるかないか、それぞれの選択でどうなるかの人生シュミレーションができるような解説書であると思います。
みなさんは、現在の職業や出身の学校について、どういった経緯で選ばれましたか。
私たちは子供のころ、進路というと親の方針がまずあって、その影響を受けた選択であることが多いのではないでしょうか。
たとえば、教育熱心な家ならたいていは進学を重視。まれにその反動で義務教育を終わったら社会に出てしまうなんてことがあるかもしれません。どちらにしても、「教育熱心」の影響を受けているわけです。
私もそういう影響を受けた一人で、挫折の繰り返しで25歳で大学に入りなおすなど、人生仕切り直しと回り道を繰り返しています。
もし私が10代でこの書籍と出会っていれば今頃はもっとまともな人生を……、なんてボヤきも出てしまいました。
同書は、自分の進路を自覚的に選んだのだろうか、ということを改めて考えさせてくれます。
ただ、同書にひとつ注文を付けると、大事なことが抜け落ちています。
それは、大学のメリット、デメリットについて語る際、「モラトリアム」の価値が重きを置いて語られていないことです。
趣味に、アルバイトに、サークル活動に、恋愛に熱中する大学生活。
高校を出てすぐ働いている人に比べれば、なんて無駄な「遊びの時間」と思われるでしょう。高い学費を払って4年も遊びやがって、と思われても仕方ないのが大学生活です。
しかし、それは決して無駄ではないのです。
その人の価値観の豊かさを育てる、金銭や数字には換算しにくいけれど、経験が確実にその人のその後の人生を豊かにできるのが「キャンパスライフ」です。
この点を無視して、大学生活の真のメリットを語ることはできないと思います。
ですから、女性が四大を出て25歳で結婚したからと言って、それを損であるようにしか解釈できないような啓蒙は違うんじゃないかなあと私は思います。
もっとも、では誰でも大学さえ行けば「モラトリアム」を経験して心が豊かになってその後の人生がバラ色かと言えば、もちろんそんなことはありません。
額面通り「モラトリアム」で、何も考えないまま社会に出て、不完全燃焼のまま気が付いたら「負け組」になってしまうことだってあります。私もそういう感じなのですが……(汗)
まあ、当たり前すぎる結論ですが、結局はその人次第ということでしょう。

学歴・競争・人生: 10代のいま知っておくべきこと (どう考える?ニッポンの教育問題シリーズ)
- 作者: 吉川 徹
- 出版社/メーカー: 日本図書センター
- 発売日: 2012/11/09
- メディア: 単行本
この記事へのコメント
コミュニケーション能力がとても尊重されます。
小さい頃から実社会に出て何が必要で
大事かを教える教育があってほしいです。
真剣に考えた上で、その進路に必要な勉強をしに
大学に行くのが理想なんでしょうけど。
ちなみに私は家の事情もありましたが、
高校の頃部活ばかりで、勉強できなかった(しなかった)ので
大学行っていません。
19で不動産業界に入り、仕事しながらの勉強でした。
子供が就きたい職業や目指す方向が、もう少し早く
見つけられるような環境にしたいですね。
尚、子供に就いて欲しい職業は無いですね~
そんな欲望自体無いので、気持ちが想像できないかも^^;
どんな自分になってたのだろう?と、
年取ってから、考えること多いです…。(^_^;)
人生の難問に立ち向かう根性を養うトレーニングに
なったのかな?と…。
運良く、目標の学部に入れたのですが。
まあ、それぞれ、自分の責任で進路を決めていけば、良いのではないでしょうか?
勉強をしなかった後悔だけが付き纏ってきます ^^;
自分の好きなように進みました(^_^;)
ももっちです。お初です。
ブロク訪問ありがとうございます。
今後とも宜しくお願いします。
私が思うに
大学まで進学する、しない云々というより
世間の”わが子が順調な人生を歩むことが良し”と思う押し付けが一番いけないと思いますね。
そりゃあ人生穏やかであることが望ましいですが
こんだけ人間が溢れかえっているんだもの
いろんな人間、出来事、事件事故に遭遇したって
不思議じゃあありません。
順調に高校、大学と卒業、大企業に就職、それが果たして
幸せなんでしょうかね。
ただ1つはっきり言える事は自分の使える時間なんてたいしてないんで1日1日大事に使うことですね。
卒業後のことは考えずに勉強したい学部に進み、
何とか就職できた身の上なので、学歴と就職の
関係については、何ともいえませんが、最後は
人間関係をどう円滑に保つか、情報収集を如何に
効率よく行うかにかかってくるのかなあ、と思います。
夢があるから未来がありますね~(*^◯^*)
そのとおりですね。
でも、親心としては、やはりいい大学に入れたいと思う気持ちに縛られてしまいますね。
お金といっしょで、あれば幸せになれるとは限らないけど、あったほうがいいと考えちゃいます。
色々楽しめましたしね
通って勉強した事は殆ど役に立ってませんけど
それは、実生活というよりもやはり友達だったり思考だったり。
結局はその人の潜在能力とそれを引き出せているかどうかで
学歴が全てではないことは実社会に出れば一目瞭然だと
思います。(高学歴者が全て仕事が出来るとは限らないし、
頭の回転の早い人も多いことも事実じゃなかろうかと)
会社員生活44年。
入社しても、
特別の幸運が訪れなければ
学歴格差は、ずっとついて回ります。
ブランドもさることながら
実力の違いを見せつけられます。
その状況下で、
とにかく頑張ってみるしかありません。
そして、自分を認めること。
タラレバばかり考えていても好転しない。
とにかく悔いのないよう取り組むことを
自分自身で身につけたいものです。
それはずっと後悔でしかなかった
学力ではなくお金の問題だったから
いっそう後悔が強いのだと思います
子どもにはその後悔をさせたくなくて
大学進学を勧めました
今でもあの頃に誰でも利用できるような
奨学金制度があれば進学したのにと思わずにいられません
僕の親もそのことはずっと後悔しているようです
大学生活を楽しんでいる友人を羨みながら
社会人として仕事をしていました
今からでもあの頃を取り戻したいと思います
最低でも4年間あるから、人間関係を築くことを
学ぶ場としては、授業優先でも学業優先でも
実りのある場だと思います。
それらのことに後悔も何もないですし、これからより一層前をみて向いて行きたいな、と思っています。
ただ、そのステージステージでの環境、周りの人間関係、に恵まれてきたのは事実かな、って思います。自分をたくさん成長させてくれる人たちに囲まれた環境に感謝の日々です。
成長に伴い、環境や大変さなどが分かると変わってくるんでしょうが、子供のやりたいことや学びたいこと、夢には反対せず応援できたらいいなと思っています。
今はそうなんですか?
私が働いてた頃はそんなことなかったですけどね
厳しい時代ですよね
大卒の人がいくらでも余ってるので
もう高卒はとらないよという話も聞きますし
ホントにどうしたらいいかわかりませんね
楽しんでるみたいです。
多いでしょうね。
成果主義のところもあるようです。
どちらが良いかは?でしょうね。
中学から同志社で大学まででたあとに
働きながら専門学校行きました。
職業柄、学歴だけじゃ無理ですが
大企業ほどやっぱり男性とか
社長とか上のほうになると
学閥は存在しますね。
☆
教員の人気が下落しているのはちょっと悲しいなあ。