カエル入り牛丼事件、思いだして改めて考える飲食物クレーム

カエル入り牛丼事件の記事。ご存知ですか。もしくは、覚えていらっしゃいますか。数日前、「値下げ合戦再燃?」という牛丼のニュースが出たとき、ふと14年前に話題になったその事件を久しぶりに思い出しました。時分時のアップですが、これからご飯という人はごめんなさい。
記事はある消費者の体験に基づいたもので、当時はブログは普及していなかったので無料スペースに開設された普通のサイトに経過が更新されていきました。同じころ、東芝クレーマー事件というものもあり、これまでなら表に出てこなかったトラブルであっても、消費者は泣き寝入りするとは限らない、という時代の“トレンド”を当初は感じました。
あれからだいぶ時間がたちましたが、どうなったかな、と思い、久しぶりにそのサイトをのぞいてみました。
すると、トップページにその読み物のタイトルは残るものの、該当ページへのリンクが外されていました。
そして、サイトには、先方の業者から、「名誉毀損、公益目的の不存在、営業妨害、2000万円の損失、虚偽の風説の流布で裁判所で調停」を求められたこと、そして「紀藤正樹弁護士のホームページを拝見させて頂きましたが自分が正しいと思っているのであれは刑務所に入ることとなっても主張するべきだ。との一文がありましたが」サイト主にはその覚悟は出来ていなかったため、結局サイトのコンテンツとしての公開をやめることになったと説明が記されていました。
現在の法律下において、純然たる言論問題で収監された人は、ただの一人もいません。いくら司法が国策捜査に協力的なアンフェアな判決を出すことがあっても、さすがに何の前科もない人が飲食店のトラブルの事実を世に出したぐらいで実刑判決を出すとは考えにくい。
ただ、サイト主は、調停や裁判の手間暇やコスト、ストレスなどを考えて、そういう争い自体を回避したということだと思います。
しかし、全国展開をしている飲食店の食品衛生管理に関するトラブルは、ケースにもよるかもしれませんが、そのお店が主張したとされる「公益目的の不存在」とまではいえないはずです。
少なくとも私個人は、事態をネットで問う「言論の自由」をアタマから否定する立場に対しては批判的にならざるをえません。
いずれにしても、ではその「カエル入り牛丼事件」とはどのようなものだったのか。例によって前置きが長くなってしまいましたが、改めて簡単に振り返ってみます。
・テイクアウトで購入したいわゆる牛丼に、カエルの上半身とおぼしきものが入っていた。当時は私も若かったので、サイト主に同情的でしたが、今考えると、サイト主にもやりすぎや対応の間違いなどがあるのではないかと思います。
・店に行って文句を言い、店長からかかってきた携帯電話は「上と相談しなくては分らないですが。一筆は必ず入れさせて頂きます。上の物と相談します」との回答があった。
・撮影したフィルムはサイト主から店側に渡した。
・返金と1万円のお食事券の「お詫び」があったが、サイト主は知人らと相談して200万円ほしかったので「えっ!!100万.200万は無理なの?」といったら店側が「5万円」と言ってきた。そこでサイト主は50万円でどうかといった。
・店側は写真は「返金がすんだから」と返してもらえず、保健所でもどこでも行ってくれと一転強気に出てきた。
まず、500円するかしないかの中食に「お詫び料」で200万だの50万だのを取ろうというサイト主の了見が桁外れに非常識だと思います。
反社会的勢力だってさすがにそんな額は求めないでしょう。それで先方からは「ゆすり、たかりのたぐいだ」と思われてしまったのではないでしょうか。
サイト主の周囲も、もっと適切な助言をできなかったのかな、という気がします。
もちろん、カエルというのは本来入っていてはならないもので、それに対して大きなショックを受けたのはわかります。が、「異物被害」としての許容度には意見が分かれるのではないでしょうか。
葉物の青虫とか、カレーの寸胴鍋に入ったゴキブリとか、知ったら食べたくないし、あってはならないけれども、でも絶対にゼロにするのもむずかしい性質のものがあります。カエルはより許しがたいレアケースではあっても、その範疇と考えられないこともありません。
つまり、カエルが当たり前のように紛れ込む原材料や厨房が、度重なる苦情にも耳を傾けず、というわけでもなく、ハプニングとしてそうなってしまったと思われる場合に、はたして200万円という慰謝料が妥当なのか、という話です。
家庭の料理だって知ったら食べたくなくなる異物が入ることはありえます。もとより、人間のすることに絶対はありません。まして、仕入れ原材料もわからず厨房まで監視しているわけではない外食・中食・デリバリ業者の料理に、何らかのトラブルのリスクを全く考えずに食べることはできません。
あとは、撮影したフイルムを先方に渡したというのも間違いです。事件そのものをなかったことにされてしまうもしれません。
店側にも動揺は感じられますが、私は、断罪されなければならないほど不誠実な対応だったとは思いません。サイト主は、カエル入りに対する自分のショックを少し重くとらえていたのかもしれません。
もし、サイト主が返金と1万円のお詫びで気が済まないのなら、けしかけるだけの無責任な周囲の知人ではなく、弁護士に相談すべきだったと思います。
サイトに書かれている内容は、相手の店の対応を終始コバカにしたものになっていましたし、たぶん、最初に店に怒鳴り込んだ時もかなり感情的になっていのではないかと思われます。
そうすると相手も人間ですから、自分に非があっても身構えてしまうものです。その上にべらぼうな慰謝料請求とくれば、逆ギレされることもあるのではないでしょうか。
さて、つい先日の私の話です。某弁当業者から買った肉野菜炒めが、コゲがひどかったのでお店に電話したところ、改めて店長から電話がかかってきて、モノも証拠写真も要求されず、領収書を持っていけば「返金」といわれました。

買い物をして、腐ったバナナや中身のスカスカだったスイカ、このブログでもご紹介した内出血マグロなど、品物のトラブルはしばしばありますが、その都度「返金」で事は済んでいます。
もちろん、カエルとそれらでは比較にならないでしょう。私も人間ですから、自分が牛丼を食べているときにカエルの目玉とにらめっこ、なんてことになったら、怒りとショックで、このサイト主どころの騒ぎではなく迷走するかもしれません。
ただまあ、できる限りそうならないように、私がいかなるトラブルでも守りたいと思っているのは、次のようなことです。
1.苦情を言うときは感情的にならないこと(品物の落ち度による客のクレームなら客が強いもの。そこをあえてかさにかかって攻めたてると相手も感情的になり交渉に支障をきたす)
2.事が大きくなりそうなときは、携帯電話で交渉しない(メモを取るなり、ときには録音するなりといった対応に備えるため)
3.被害に対する返金以上の賠償を求めるときは、弁護士に相談して、法的にも社会通念上も根拠ある適切な金額を要求すること(多すぎても少なすぎても結局自分が損をする)
あと、店側が法的にどうこうという場合、必ずしも勝てるからではなく、そういえばこちらがおとなしくなるだろう、という恫喝の意味もありますから、そこであまりひるむこともありません。そういうことも含めて、弁護士に相談したらいいでしょう。
でも、たかが数百円のことで、そんなトラブルはできれば避けたいものです。
【関連記事】
⇒ガスト宅配弁当カエル混入事件で思い出す「カエル牛丼事件」

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この記事へのコメント
内容に関しての記憶は薄れていますが、
私もそのサイトを見て驚いたことは覚えています。
その時は「これ本当かなぁ」とは思いましたが、
何年もそこの牛丼チェーンのは食べられませんでした(´-∀-`;)
東芝クレーマー事件も、当時音声がアップされてましたね。
料理を作られた方(...料理人はコゲをご存知)と
お店の良心を 疑いたくなります~!!
自分が同じ体験をしたら、
ショックだろうと思います。
カエルは大嫌いなもので・・・。
ただのクレーマーにならずに、ちゃんと伝えるってのは、どちらにしてもかなりのエネルギーを要するものと思います。
思うのですが、逆の立場でも苦労しているので、
に文句を言う気がさらになくなります(-_-;)
ただ、正直何を考えて、そこまでのそのような話をしたのかわかりませんが・・・。
私も過去にチェーン店でサラダを注文したら、元気そうな青虫ちゃんつきのことがありました。
その時はお店がちゃんと誠意ある態度を示してくれました。
いっぷくさんがおっしゃるとおり、どこかでまっとうなところを超えて、感情的な部分が入ってきてしまったのでしょうね・・・。
もちろん販売業者にも責任を取る必要
はあるわけですが
弱みに付け込んで法外な金額を
要求するのは犯罪ですね(*^◯^*)
我が家も時々食料品のトラブルで、クレーム交換して貰いますよ。
カエルはちょっと嫌ですねぇ。確かにショックですけど、私は新しいものに交換してもらえればいいかなとは思います。
米国だったら・・・消費者が勝っていた?
どちらにしてもこの人は適切な手段を間違えてしましたね。
5万といってきて50万でどうか?なんて稚拙な(笑
大手チェーンでたまに髪の毛が入っていたり
ドンブリに七味唐辛子がついていたりします。
その部分以外食べて、最後に店員に注意し
それで終えてますが、慰謝料なんて請求する人が
いるもんなんですね。
普段から見えない所で何されてるかわからない食品を
口にしているというのに(笑
本当に間違いなく蛙だったんでしょうか?
私にはわかりませんが。
確かに蛙だったとしてもこの対応は不適切でしょうね。
たとえ原因が100%相手側にあったとしても、
対応次第では自分が不利益を被りかねませんもんね。
冷静に適正な対応をしていきたいと思います。
「牛丼屋の鍋にカエルを入れたやつはエライ」
そんな状況を想像しますが…
夏の高原の喫茶店で
カレーライスにアブが入っていました
店の人に苦情を言ったら
「お取替えします」
と言われたのですが
よく考えたら同じ鍋です
「いえ、このままで結構です、次、気を付けてください」
と答えたら、友人たちにブーイングくらいました
「替えてもらいなよ!」
私の考えはおかしいそうです
何が欲しいのかが伝わらないと残念なことになります。
どこぞやの店は不良品の苦情を葉書で送ったら
「これに懲りずに今後もご贔屓を」てな返事が来た。
まずは不良品の代品を送ってから、そういう返事を寄越せ、です。
大手のテイクアウト店はマニュアル完備です。
不良品の電話すると、当日のレジデータとこちらの申告を確認の上、後日来店した時に名前を言えば返金されるよう、帳簿に記載されていました。
クレームそのものは正当ですが、さすがに100万200万の要求は驚きです。
かといって「50万円ではどうか」というのはいただけませんが…
知らなかったです。
花も可愛いです~~。
アメリカの何処かでマクドナルドのコーヒーを
自分でこぼして火傷してそれを訴えて1億円だかを
勝ち取ったというニュースがあったのは
そんな感覚だったのでしょうか?
でもこの場合本当にカエルが入っていたのであれば
店の責任だけど、200万は欲張り過ぎですよ
でもコレに限らず、最近のクレームは企業の責任と言うより自己責任的なものも多いのではないかな?と思ってます。
牛丼は食べないので、カエル丼のことも知りませんでした。
たかが数百円と言っても、こちらはお客様なのですから、食べられなかったり、使えない物は売らないのが当たり前でしょう。
先日、デコポンを買ったら、スカスカで食べられませんでした。
そのお店に再度行った時、文句を言おうとしましたが、パートのおばさんが必死でレジを打っているので言えませんでした。
でも、それを「よし」としたらダメだと思いますよ。
考えにくいけど、カエルか・・・
今の日本じゃ考えられないですね。
自分がその立場だったらどうなんだろう。。
しっかり冷静に考えないと駄目ですね。
のは難しいでは・・・・。過失というよりも故意に
近いかもしれませんね。
今日に至っては一部で雪も...
寒いです(^^;)
先日、草大福のあんこ(粒あん・笑)に噛み切れないものがあり、見ると小さなビニールっぽいものでした。
1日迷って製造元(大手パン会社)に電話すると、思ったよりも丁寧な対応で安心しました。
最近は企業もマニュアル対応しかせず、お金を返せば良いのだろう的で思い遣りのなさを感じます。
ま、そもそも互いに思い遣りがあればトラブルにならないのでしょうね。
みなさんのブログにお邪魔した際にまた書かせていただきます。
記事では書きませんでしたが、
サイトのトップページからのリンクこそ外れているものの、
「カエル入り牛丼事件」で検索すると
「事件」の経緯を書いたページは出てきます。
いろいろな人が論評してますね。
お店で食事している時に厚手のチキンを頼んだら
中が生だったのでもう少し焼いてくださいと頼んだところ
それを下げて新しいお肉を焼いてきてくれましたが
すごく遅くって新しいのじゃなくて元のを
もう少しだけ焼いてくれたらもっと早く済むんじゃないかなぁ
と思ってとても腹が立ちました
他の人は食べ終わっちゃって待たせることになるし
少しは考えてほしいです
クレームを入れるのは難しいです
いろんな面からとらえると難しい部分もありますね。
悲しいのは人の非を揚げ足取ったかのように攻めてくる人達がここ数年増えてきてることです。