丹波哲郎、誰でも分け隔てない態度で接し喜劇も演じた国際派俳優

丹波哲郎(たんばてつろう、1922年7月17日~2006年9月24日)の命日です。シリアスな話で権力者など上層部の人物役が多かった印象がありますが、ギャラや予算や役の大小で仕事の選り好みはせず、新東宝出身だけにとくに喜劇好きで、『釣りバカ日誌13』では存分に喜劇キャラを演じました。

丹波哲郎。
改めてご紹介するまでもなく、たくさんのテレビドラマや映画の実績を残しました。

DVDジャケットより

DVDジャケットより
昨年も、『家政婦は見た!』に出演したことをご紹介しています。

『家政婦は見た!華麗な一族の妖しい秘密 財テクゲームの危険な落とし穴』より
国際派俳優の先駆け、ともいわれています。
丹波哲郎の数々のエピソードから見えることは……
1.撮影所は遅れてくるし台詞も覚えないが、他の俳優が同じことをしても咎めない
2.態度が大きく見えるが、スターだろうがエキストラだろうが誰にでも分け隔てなく同じ態度で接した
3.役作りはしないが、自分のこだわりを持ち込んで監督と喧嘩もしない
4.売り込みはしないが、来た仕事はギャラや予算や役の大小で区別しない
「が」より前の部分だけなら、とっくに芸能界から消えていたでしょう。
後ろの部分があるからこそ、長くやってこれたのだとおもいます。
でも、処世術として、「が」より後ろの部分があるというよりも、細かいことは気にしなさんな、という達観した気持ちが根本にはあるようにおもえます。
要するに、悪気を知らない人なのでしょう。
丹波哲郎は、旧制高校を頑張っても2度も受からなかったのに、人脈で大学に入れたり、軍隊時代はいくら一生懸命やっても上官の川上哲治(元巨人監督)からリンチを受けていたのに、戦争が終わったら「あのときは仕方なかった」と頭を下げて廻る巧みな処世術の川上哲治を見たりなど、多感な時期に「理不尽」に人生を翻弄されたよう。
世の中まじめに努力すればいい、という単純なものではないと悟ったのかもしれません。
そんな丹波哲郎は、イメージとしては権力者など上層部の人物役が多く、当然シリアスな話が中心となります。
が、本人は、池波正太郎作品の真田昌幸役を演じたがっていたなど、自身を喜劇向きのキャラクターとおもっていたエピソードもあります。
それはおそらく、俳優としてのスタートが新東宝であり、かつ、金語楼劇団でも演じていたからではないでしょうか。
8月16日の記事で新東宝についてご紹介しましたが、新東宝の柱はエロと笑い、その「笑い」の方に出演した作品は、たとえばそのときもチラッとご紹介した『脱線三銃士』(1958年、新東宝)があります。(画像は劇中より)

タクシー運転手(八波むと志)、サンドウィッチマン(南利明)、ペンキ職人(由利徹)は、みな食堂の娘・咲(観崎きよ子)に入れあげています

3人はそれぞれの事情で仕事をクビになり、いったんは食堂の店員として雇ってもらいますが、咲の「自衛隊の隊長さんが好き」という話を聞いて、抜け駆けしたつもりで3人とも自衛隊に入隊します。
しかし、咲が話したのは「理想」ではなく「現実」で、実はもう隊長(丹波哲郎)と付き合っていた、というオチです。

3人に見せびらかしてドヤ顔の丹波哲郎とがっくり3人組
他愛ない話ですが、44分という短い尺なのであっという間に最後まで鑑賞できます。
『釣りバカ日誌』にも出演
そして、喜劇の出おさめになったのは、『釣りバカ日誌13ハマちゃん危機一髪!』(2002年)です。(画像は劇中より)

ハマちゃん(西田敏行)が釣り仲間繋がりでとってきた美術館建設の契約は、トンデモないデザインで発注されたため、社長のスーさん(三國連太郎)の命令で、設計部の課長(鈴木京香)と話し合いに富山へ。
その発注者が丹波哲郎です。

話し合いはまるくおさまるのですが、条件として、丹波哲郎が鈴木京香を息子の結婚相手にと縁談を申し出てきました。

しかし、鈴木京香には彫刻家の恋人(小澤征悦)がいたのです。
この頃は、だいぶ老けたなあという印象がありました。
丹波哲郎さんは、どんな作品が印象に残っていますか。
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釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!
この記事へのコメント
監督さんに自由に操ってもらおうと
思ったのかもしれませんね。
そしてテレビドラマであれば、『Gメン'75』。このドラマはしょっちゅう観ていたわけではないのですが、あの出演者が横並びでこちらへ向かって歩いてくるシーンはほとんどトラウマのように(笑)忘れることができません。人間があれだけ横並びで歩いている光景を、わたしは『Gメン'75』以外で見たことありません(笑)。
そしてですね、『スーパーポリス』という三浦友和主演の刑事ドラマがありまして、テレビスポットで丹波哲郎が、確か「5秒に1度のアクションよ」と言うんです。(おいおい、そりゃ嘘だろ!)と、いまだに思い出すたびにツッコミを入れております(笑)。三浦友和は今でこそ名優となっておりますが、当時はまだ「百恵の相手役」のイメージがあまりに強く、それがやたらと強い「アウトローな刑事」なんかやるのだから、観ていて恥ずかしくなったんです。結局1話しかみませんでしたが。そして丹波の指令がまた大雑把で(笑)、友和に、「~組をお前一人で潰せ!」とか言うんです。「お前一人で潰せ」って・・・(笑)。
丹波哲郎は映画だけでも300本以上出演しておりますし、例の「霊界」関係の件も含めてお話は尽きませんが、若い頃はめちゃめちゃカッコいいですよね。惚れ惚れするような男っぷりです。『脱線三銃士』もとてもおもしろそうです。40分くらいの映画とか、いいですよね。淀川長治さんの著作によく書かれておりますが、彼が子どもの頃は一回分の尺が短い連続活劇映画やコメディ映画が大人気だったといいます。
『ロイ・ビーン』は適度なセンチメタリズムとノスタルジーを意図して作られた映画で、だから少々ロマンティックな結論を持ってきたのだと思います。いっぷく様のシナリオ案も非常に魅力的で、ややアメリカン・ニューシネマ的ですね。そちらの『ロイ・ビーン』も観たくなってしまいます。
日本の時代劇と同様に、米国でも近年は滅多に西部劇が制作されなくなっているだけに、たまに古い作品を観るととても新鮮です。それと作品中のロイ・ビーンは、いわば騎士道精神をラングトリーに対して適用している感があり、騎士道精神など近代が生み出した幻想であるとか、それも一種の女性蔑視であるとか、いろいろ説はありますけれど、わたしは一定以上の魅力ある「精神」と思っておりまして、その一端が『ロイ・ビーン』の中に描かれていたので嬉しくなりました。確かにわたしの場合はロイ・ビーンの「愛の形」にばかり神経が行き過ぎて、彼が多くの罪人(?)を裁判なしで縛り首にしてきた事実はかなり見逃し気味ですが(笑)。
わたしも子どもの頃には、「関根恵子」って、どこか「禁断の果実」(笑)のようなイメージでした。関根恵子に関する具体的かつ詳しい情報など何もありませんでしたので、年齢は若いけれど「大人の世界」の人という感じで、「子どもがファンを名乗ったりする人ではない」という感覚ですよね。そんな火傷しそうな(笑)女優って、今はいませんね。あ、『ユリゴコロ』の吉高由里子は久々にちょっとよかったです。
>「リサイクルなんとかですが引き取れるものありますか」
これ、最近ありました。思えば固定電話はかけること自体、明らかに高齢者狙いですよね。わたしが電話に出た時点で、がっかりした雰囲気が伝わってきます。自動音声はがっかりしませんが(笑)。
>登録記者の電話番号やメールアドレス情報を売り飛ばして
酷いことしますね~。わたし自身は個人情報保護に対して過度に神経質ではありませんが、それでもネット関係では、「100%」信頼できる関係にしか、個人情報は入力しないようにしています。 RUKO
それよか川上ってそんな奴だったんですか!嫌な奴じゃん(^_^;)
丹波さんを初めて見たのは”三匹の侍”だったかな?
格好いいサムライでしたね。
千葉真一や野際陽子はよく覚えてるんですが
丹波哲郎が出てたのはあまり覚えてないんですよね。
憎めないキャラでしたね。
「007シリーズ」の出演も知識としてだけ、実際には観ていません。
来た仕事は拒まずに引き受ける俳優としてのスタイルは、イギリスの名優マイケル・ケインと共通するものを感じました。
彼の場合階級社会イギリスで底辺の家に生まれ、戦時中も苦労を重ねて、その後映画界入りをした訳ながら。
おバカ映画から、クールで紳士的な役柄までその演技の幅は広く、出演本数の数もずば抜けて多いのです。
丹波哲郎の息子さんが、つまらない旅番組に出ているのは感心しませんね。彼に限らず二世タレント全般に言える事ながら。
丹波さんといえばGメン75です
私にとって
全員集合の後は大人の時間だよ
と言われているみたいでした
これも、食卓で家族揃って視ていました。
販売の仕事をしていた時
上司によく言われたのが
「真面目にやればいいってもんじゃない」でした(笑)
「が」の後につづく何かが足りなかったんでしょう・・・
今 思えばですが(^^ゞ
という印象でした。こういうタイプ
の役者さんはもう現われないような
気がします。