藤田淑子さん訃報で『キテレツ大百科』を思い出す

藤田淑子さんの訃報で持ち切りです。古くは『遊星少年パピイ』や『一休さん』など主に声優として活躍されましたが、私が一番印象に残っているのは『キテレツ大百科』(1988年3月27日~1996年6月9日、フジテレビ)です。8年3ヶ月にわたって声をあてられていました。(画像上段はGoogle検索画面より、それ以外は劇中より)

私は、藤子・F・不二雄原作のアニメ番組のキャラクターの好き嫌いで言うと
モジャ公>キテレツ大百科>エスパー魔美>ドラえもん
なのですが
ただ、放送期間が『モジャ公』は2年だったのに比べ、『キテレツ大百科』は足掛け9年と長かったことや、『ドラえもん』があまりにも原作と異なる綺麗事になってしまい見るのをやめていたことから、番組としては『キテレツ大百科』はもっとも印象に残っているといっていいかもしれません。

『キテレツ大百科』と『ドラえもん』の違い
キテレツ大百科は、発明好きの小学生・木手英一(通称キテレツ、藤田淑子)が、江戸時代の発明家であった先祖のキテレツ斎の残した書物『奇天烈大百科』に書かれている発明道具を作って、人助けをする話です。

発明品というのは、『ドラえもん』とは似ているものもありますが、時の移動に決定的な違いがあります。
航時機(タイムマシーン)や回古鏡(『ドラえもん』でいうとタイムカメラ)などがそうですが、時の移動において、『ドラえもん』が未来も過去もアクセスできるのに比べて、『キテレツ大百科』は過去のみです。
たとえば、自分の両親の結婚のいきさつや、自分が赤ん坊の時の両親の看病などを見て、両親に対する思いを改める、というような使い方です。
のび太のように、調子に乗って悪用して混乱を起こすようなパターンはありません。
藤子・F・不二雄の、宇宙や未来から生物がやってくるSFコメディのパターンは、まず主人公が一人っ子の小学生と異世界のキャラクター。
ガキ大将(ブタゴリラ)と、母親が「ざます」と話す金持ちの息子(トンガリ)と、主人公が密かに思う女の子(ミヨちゃん)が登場するのは、毎度おなじみのパターンです。

ただ、『キテレツ大百科』の場合は、途中から路線が変わっています、
最初は、『ドラえもん』のジャイアンとスネ夫のように、トンガリとブタゴリラがつるんで、キテレツの敵だったのですが、次第にブタゴリラは勉強が苦手だけど気のいい少年になり、ただし、金持ちで気の弱いトンガリに対しては、友人関係を前提としながらもいじめっ子といじめられっ子の関係になります。
そして、トンガリは、金持ちで成績が優秀ですが、たとえば『ドラえもん』のスネ夫のような“鼻持ちならない”ヤツではなく、キテレツとは持ちつ持たれつで仲良くやっています。

つまり、『キテレツ大百科』の主人公・英一は、ドジないじめられっ子ではないのです。
昭和の“毒”が抜けてつまらなくなった『ドラえもん』
この関係の違いは、主人公のキャラクターの違いにあるのだと思います。
英一のような発明家は、周囲の者からすると“役に立つ”ので、いじめられっこにはならず、のび太のような、気が弱くて取り柄がなく、依頼心の強い子どもはいじめられるのです。
世の中の厳しさ、不条理さや臆面もない実利主義が描かれていて興味深かったのですが、どうも最近の『ドラえもん』のとくに映画などは、のび太とジャイアンたちが仲良くしているので、「いじめっ子といじめられっ子」の関係の描き方が原作に比べてぬるすぎて、つまらないなとおもっています。
たぶん、見ている子どもたちに悪影響を与えるから、ということなんでしょうね。
我が家は『キテレツ大百科』はDVDもほぼ揃っているので、改めてじっくり鑑賞したいとおもいます。
藤田淑子さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

キテレツ大百科 DVD BOX 1
この記事へのコメント
子供が小学生くらいの頃に良く見てたから、再放送だったのかな!?
コロ助もかわいかったですよね。
わたし、『モジャ公』って知らなかったのですが、『ドラえもん』に関してはまったくの同感でして、とりわけ甘ったるいテーマソングを付けた『STAND BY ME ドラえもん』とか、予告編観ただけで気持ち悪くてやってられません。まってくもって、(なんでこうなっちゃうんだろう・・・)の世界でして、しかもそれが大ヒットするのだから情けない気分になります。
私が好きだった藤子不二雄の作品は、アニメ化されたかどうかまでははっきり覚えておりませんが、『オバケのQ太郎』、『21エモン』、『ウメ星デンカ』、『フータくん』、『怪物くん』、『魔太郎がくる!!』『少年時代』などです。わたしは基本的には、アニメより漫画が好きなようです。アニメ『北斗の拳』のように完璧にギャグになってしまえば、笑って観てられるのですが、最近好きな漫画『ゴールデンカムイ』のアニメ版を観てげっしょり・・・1話で観るの止めました。漫画の方がひょうげんの自由度が高いことが多い気がします。それとよくアニメファンが実写化を毛嫌いしたりしますけれど、こうした狭量さもいただけません。実写で作る難しさを知らなすぎますし、そもそも「生身の人間の魅力」を分かってないアニメファンがけっこういます。
「一つの試合が語られ続ける」という意味では、ひょっとしたら「力道山VS木村政彦」が史上最高かもしれませんね。これほどまでに刺激的な試合はなく、もちろん「アリVS猪木」や「馬場VSキニスキー」など語り続けられる試合は幾多ありますが、「力道山VS木村政彦」はその白眉でしょうね。なにせ二人とも日本の人口に膾炙したスターだったですし、「映像が残っている」という事実も大きいです。プロレスに限らず「写真だけの方はよかった」という場合もありますが、この試合の映像は迫力も満点。一触即発の世界の凄みが伝わってきます。わたしなどの感覚では、「こんな試合があるからこそプロレスは凄いのだ」となるのですが、まず「プロレスは凄い」なんてこと絶対認めたくない人たちがいるのですよね。もちろんまるで関心のない人たちが最も多いのでしょうが、かつてのメジャーなプロレスは、「関心のない人たち」がいろいろ口出してきました。Yahooのコメント欄もそんな臭いがプンプンしますよね。 RUKO
今年もいっぷくさんの毎日のブログを楽しみに朝を過ごしていました^ ^
よいお年をお迎えくださいね!
ちなみに俺はエスパー魔美が好き♪
ご冥福をお祈りします。
ご冥福をお祈りします。
私も「ドラえもん」と「キテレツ大百科」の違いには気付いていましたが、いっぷくさんのように深く考えたことはありませんでした。
「ドラえもん」でいじめっ子といじめられっ子の関係がなくなってしまったのは、今のご時世だからだと思いますね。
>我が家は『キテレツ大百科』はDVDもほぼ揃っているので、改めてじっくり鑑賞したいとおもいます。
DVDがほぼ揃っていらっしゃるとはスゴイですね!
私はアニマックスさんにて、ときどき放送されているのを観るしか観ることができないのですが、家族で安心して観ることのできるアニメのひとつだと思います。
声優さんが代わってからの「ドラえもん」は知らないので何とも言えませんが、「ドラえもん」と「キテレツ大百科」の比較でずっと気になっている点があります。
それは、「ドラえもん」では、しずかちゃんがジャイアンのことを「たけしさん」と呼ぶのに対して、「キテレツ大百科」では、みよちゃんはブタゴリラのことを「ブタゴリラくん」と呼びます。
この違いは何だろう?と、ずっと疑問に思っています。
乳がんだったということですが、女性には本当に気をつけて欲しい病気だと思います。
随分前の作品ですが、よく見ていたのに・・・。
この暮れにきて残念です。
年齢が近いだけにショックもあります。
ご冥福を祈りたいです。
>ガキ大将(ブタゴリラ)と、母親が「ざます」と話す金持ちの息子(トンガリ)と、主人公が密かに思う女の子(ミヨちゃん)が登場するのは、毎度おなじみのパターンです。
ネギ坊主=コロ助はすぐに思い出したけれど、他のキャラクター達は読んでいて、そうそう・・・と思い出しました。
「ドラえもん」ののび太の言動には共感できない、それは大人の目線で見ているからと考えているものの、子供にとっては都合の良いキャラなんでしょうか!?
今回の訃報でこの方がされてたんだと初めて知りました。
一休さんもされてたんですね。
よい新年をお迎えください^^
今年一年お世話になりました。
寒さが厳しい年越しとなりそうですが,どうぞご自愛くださいませ。