コロナ自粛期間で10代女性による妊娠相談が増えた原因は毒親という説

コロナ騒動による「自粛」以来、10代女性による「望まない妊娠」の相談が急増していると複数のメディアで報じられています。千葉県船橋では、医療機関が協力して出産・自立を支援するシェアハウスを作ったという話も。一部国民は「性の乱れ」を居丈高に叱り飛ばしますが、本当にそれが原因でしょうか。
望まない妊娠・出産を支援
10代の妊娠「1人で悩まないで」 出産・自立支援のシェアハウス船橋にオープン 全国から受け入れ(千葉日報オンライン) - Yahoo!ニュース#シェアハウス https://t.co/IkconPpbFg
— 市村彩/シェアハウスあるある (@ayi_tg) July 18, 2020
千葉日報が、10代での望まない妊娠をしている少女を受け入れ、出産・自立を支援するシェアハウス「かけはし」が千葉県船橋市内にオープンしたことを報じています。
NPO法人「ベビーブリッジ」(熊田ひとみ理事長)と産婦人科医院「愛育レディースクリニック」が協力して開設し、運営。
シェアハウスには社会福祉士や助産師らが常駐し、中絶可能期間を過ぎたケースに対応。
同法人は1人で悩まず相談するよう呼び掛けています。
これは「性知識」不足の問題か?
で、さっそく一部ネット民からは、ステレオタイプの批判が。
単なるアホ(笑)
— 惨型糊 ◆08il2G/IzA (@The_MuRaMaSa) July 9, 2020
教育の敗北ですな。
俺らは「責任取れないならセックスするな」という教育を受けてますから。
一発目で妊娠しても即時結婚できる相手としかしない…と考えてたワケですよ。
いつの間にか童貞がバカにされる文化で、世間の乱れが酷過ぎた。https://t.co/gvoYS6bdIq
私は、このツイートには懐疑的です。
>10代の女性が自粛期間中に望まぬ妊娠した⇒自粛せずに男のところに行き性行為に及んだ素行と性知識不足が悪い
善意からのこともありますが、こういう批判的見解を持たれる方は多いようです。
自粛期間ということも、印象を悪くしているのかもしれません。
でも、こんなにいろいろな情報が出ている現代で、男性と関係できる体格まで育っている女性が、どのような行為をしたら妊娠するかがわからないなんてあり得るでしょうか。
もちろん、妊娠のリスクを軽視した、という「過ち」はあるかもしれません。
コロナ自粛によるストレスもあったかもしれません。
でもそれは、「リスクのある行為であることはわかっていたが、自分がそうならないことを願って行ってしまった結果妊娠してしまった」ということです。
ではなぜ、そこまでして「10代の女性」(主に高校相当の年齢の女子)たちは、親が“ステイホーム”している自粛期間に家にいないでわざわざ出かけたんでしょう。
言い方は悪いかもしれませんが、たんに若気の至りなら問題は単純です。
私が気になるのは、その中の一定数は、居場所がなかったからではないかと思うのです。
つまり、毒親が嫌だからではないでしょうか。
だから、相手に自分の体を差し出すことになっても、居場所をほしかったんじゃないでしょうか。
ここには、毒親が原因と考えられるふたつの問題があります。
1.家にいられない、居場所がないという問題
2.行為による妊娠リスクがあっても拒絶できない問題
「1」はともかくとして、「2」までもが毒親のせいなのか、と思われますか。
今回書きたかったのは、実はここからなんです。
以前も書きましたが、毒親に人格をボロボロにされた子は、自己肯定感が低いために、学力や知識に関係なく自己意思決定の意欲や能力に欠ける憾みがあるのです。
これは、「毒」の内容が、ネグレクト、虐待、過干渉、いずれも共通しているように思います。
相手に避妊しないカラダを求められた⇒それはまずいんじゃないかと思う⇒でも自分の否定や懐疑の気持ちを貫く自信がない
という思考です。
いけないとわかっているのですよ。
でも、つねに自分の判断は間違ってるんじゃないか、という悪魔のささやきが何かを判断するときにいつも脳裏をよぎるのです。
精神が病んでいるのかもしれませんね。
毒親に思考システムを育ててもらえなかった、もしくは壊された子の思考なんです。
これは、女性だけでなく、相手の男性も実はそうかも知れません。
ですから、理屈では信じられない判断の狂いは、意思決定の歪みから来ており、単純に知識や道徳や学力の問題ではないというのが私の考察です。
毒親は今の日本では「合法」?
たとえば、旧オウム真理教の幹部は、理系の高学歴がズラッと並んでいました。
本来なら、科学教育を人並み以上に優秀な成績でおさめて学位までもっている人が、どうして科学と両立しない、しかもかなり幼稚な疑似科学にコロッと騙されたのでしょうか。
人間の意思決定能力の歪みは、知識(のなさ)だけでは説明がつかないことを、これほどはっきりと示している例はありません。
私の推理では、毒親から、一流大学に行くことだけを威圧的に押し付けられた「エリート」のオウム幹部たちは、暗記で体得した豊かな知識や結果としての高い学歴とは裏腹に、自己肯定感が非常に低い⇒自己意思決定能力が弱い⇒自分で判断するのが苦手、ということがあったのではないかと見ています。
高学歴者だけではありません。
国際的にも、日本人全体として自己肯定感が低い⇒自己意思決定能力が弱いことは、すでに調査で明らかです。
だから横並びの文化になってしまうのでしょう。
私は毒親問題の原因のひとつは、我が国には未だに家制度の因習を事実上残す目的で、子は親に無条件で従う奴隷であることを示す法律(民法第818条)があり、たとえば親であることをタテに子に特定の選択や価値観を強要する毒親は今の日本では虐待など違法行為が公然としたものでない限り「合法」になってしまうことにあると思っています。
まあ、ケースにより多少事情は異なるかもしれませんが、今回の問題の少なくとも一定数は、当事者の女性、もしくは相手の男性の「過ち」を責めたり性知識を疑ったりするよりも、根本的な問題は親にあるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

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この記事へのコメント
なるほど。オウムの高学歴者達はそこからコロっと洗脳されていったのだとすると納得できます。
即座に当人を責めるのは簡単なんだよね、事件の裏って果てしなく深いもんだよ。
これから答えが出てくるのではないかと考えてますが、押しつけは確かにあった気がします。
一見よさそうで、実は社会の発展を妨げる
「迷信」の教えって、実は結構多かったりしますよね。