効く健康法 効かない健康法(岡田正彦著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

効く健康法効かない健康法(岡田正彦著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、タイトル通り、巷間信じられている健康法を判定しています。健康情報は正反対のものもありますから、実践には慎重な検討が必要です。本書はそのヒントになるでしょう。

お正月は、お酒は召し上がりましたか。
三が日はちょっと呑みすぎたなあ。週末また飲むから、今日は休肝日にしよう、なんて思われている方もおられるのではないでしょうか。
実は、本書は「休肝日」を、「効かない健康法」と認定しています。
ストレスが原因で短命になることはない
著者の岡田正彦さん(新潟大学名誉教授)については、以前『東京スポーツ』(2015年9月25日付)でインタビューが掲載されたことをご紹介したことがあります。
さきほどの休肝日については、こう述べています。
休肝日という言葉は、私の大学の先輩教授が考案したものです。これをNHKの朝の番組で話したところ、あっという間に全国に広がりました。実はこの人はかなりの酒好きで、自分への戒めという意味も含めてこんなことを言ったのでしょう。
しかし、これには全く医学的根拠はありません。そもそも、人間の内臓が休むということはあり得ません。日本人にはアルコールに含まれるアセトアルデヒドという毒素を分解する酵素を持っていない人が多いのは事実ですが、肝臓は常に様々な毒素を分解しています。適量なら毎日飲んでも問題はなく、休肝日を作って、あとは大量飲酒というのが最悪のパターンです。
しかし、これには全く医学的根拠はありません。そもそも、人間の内臓が休むということはあり得ません。日本人にはアルコールに含まれるアセトアルデヒドという毒素を分解する酵素を持っていない人が多いのは事実ですが、肝臓は常に様々な毒素を分解しています。適量なら毎日飲んでも問題はなく、休肝日を作って、あとは大量飲酒というのが最悪のパターンです。
「飲むな」ということではないんですね。「休肝日」は大量飲酒のエクスキューズにはならない、という話ですね。
「水を飲んでも血液はサラサラにはならない」とも述べています。
水を1日2リットル飲むと健康に良い、血液がサラサラになると言われています。しかし、実際には血液が一瞬薄まるだけで、サラサラになることはありません。むしろ飲み過ぎると、塩分濃度が下がり、さらにけいれんなどを起こす危険性があります。水は喉が渇いた時に飲む。これが正解です。
これはもう、「効かない健康法」というより、やってはならない「健康法」と言うべきです。
そして、「体温が高くても免疫力は上がらない」と指摘もしています。
よく、体温が高いと免疫力が高いと言いませんか。
免疫力というのは非常に複雑で、「免疫力を数値化する方法」はないといいます。
冷えが体に良くないのは確かですが、では体温を上げれば免疫力がアップするという医学的根拠はありません。ましてや、がんになりにくいというのは言い過ぎでしょう。
欧米人は日本人より1度ほど平均体温が高いものの、平均寿命は日本人より短いことを論拠に挙げています。
もうひとつ、興味深いものとして、「ストレスが原因で短命になることはない」というのがあります。
これは新機軸ですね。
ストレスは万病のもと……世間的にこれは通説になっています。
しかし、ストレスが直接の原因でがんになるという説も今では否定されていることや、ストレスのない人は認知症になるリスクが高まることも示しています。
もちろん、解決できるストレスは解決した方がいいし、ストレスが原因で心筋梗塞や脳卒中になるリスクは高まるともいわれています。
要するに、「人間はほどほどのストレスと共存すること」がよいそうです。
「効く健康法」は大丈夫なのか?
本書は、否定だけしているわけではなく、既存の健康法に「○」、すなわち「効く健康法」もあるとしています。
ただ、これについては私は一部懐疑的です。
たとえば、「卵は1日1個にとどめておくべき……○」と書かれていますが、コレステロールの基準値については、2015年に厚生労働省が、日本人の食事摂取基準からコレステロールの上限値を撤廃しました。
卵黄に含まれるコレステロールは、体内で生成されるコレステロールの量に比べて非常に少なく、食事から摂取したコレステロールが血中コレステロール値に影響を与えることはないとされています。
もちろん、食べ過ぎによる肥満など生活習慣病のリスクはあり得るので、際限なくということではないと思いますが。
とにかく、今日の医学・栄養学では、「1日1個にとどめ」なくてもよくなっているのです。
「ワインのポリフェノールはがん予防になる……○」というのも、はたして言い切って良いのか。
赤ワインに多く含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールによってサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)が活性化されるという報告はたしかにありますが、そのためには人間の体重に置き換えると、1日にボトル100本前後飲まなくてはならない(Wikiより)ともいわれているし、そもそもポリフェノールによって活性化しないとする論文(Nature. 2011 Sep 21;477 (7365) :482-5)もあります。
疫学調査は、現在も多くの研究者によって広範に行われており、今こうしているうちにも、従来の説を覆す新しい報告が入ってきます。
コレステロール値も、「高いとだめ」⇒「悪玉が高いとだめ」⇒「高いことがだめな合理的根拠がない」と、常識がどんどん変わっていきました。
現在正しいことが、将来そうでなくなることもあるので、たとえば健康に良いと言われているからといって、「ばっかり食べ」を行うようなことは避けたほうがよいと思います。
今回の例で言えば、ワインを「健康にいい」と信じてたくさん飲むとかね。
私はお酒は飲まないのですが、卵は安価な栄養源なので、1日2個以上いただいております。
みなさんは、以上から、なにかご自身の飲食で思い当たることはありますか。

効く健康法 効かない健康法 - 岡田正彦
この記事へのコメント
すべての食べ物がほどほどに、を前提にしています。
卵黄にはルテインが含まれていて、ですから卵は目にも良いそうですね。
家内はとても健康には注意していました・・
私は40代から酒飲み午前様の生活・・・
なのに・・・健康法なんてあるんでしょうか!
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
世間様で言われている健康法は完全に無視でサプリメントは毒だと思っています
食べたいものを食べ飲みたいだけ飲み生きたいように生きる、これが一番です
これで父は93歳まで生きていました
お酒を浴びるほど飲んでいた父の背中を見て育ちました
最終的には医者が一番、食事バランスよくという結論にたどり着いてましたね。
様々な健康法が溢れていますね。
本年もよろしくお願いいたします。
健康法もいろいろありますね。
私は目下腰痛で悩んでいます。
効くも効かないも人によってまちまちなのかも。