気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~(あさ出版)

気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~(あさ出版)をご紹介します。大乗仏教の真髄と言われる般若心経の意味を漫画で解説しています。私たちはいろいろなことを気にしすぎ。心を自在にしていきましょう、ということが説かれています。般若心経って、仏教に疎い方でも、名前ぐらいは聞いたことありますよね。
日本では、天台宗・真言宗・臨済宗・曹洞宗・浄土宗などの葬儀で広く読まれるお経です。
写経と言って、書き写すお経としても有名です。
般若心経は、紀元前後1世紀の大乗仏教の書物である『般若経』のエッセンスを、7世紀に玄奘三蔵が260文字でまとめて漢訳化したものだとされています。
「心経」というのは、「真髄をまとめたお経」という意味です。
ダイジェストですね。
ちなみに、玄奘三蔵は、西遊記の三蔵法師のモデルになった人物です。
内容は、舎利弗(シャーリプトラ)という弟子が、「悟りを得て、この世の苦しみから逃れるにはどうすれば良いでしょうか」と質問。
お釈迦様が、「この世のあらゆるものには実体がない。つまり本来は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、心といったものも存在しないのだ。だから物事に執着したり、ひとつの価値観に捉われてしまう必要はないのだよ」と答えているものです。
この世の中は実体なんてなにもないんだから、ないものに心配したり悩んだりしても仕方ない、というお経です。
それを、漫画にして紹介しているわけです。
般若心経は、新しい仏教運動から生まれた
仏教といいますと、一般には、お釈迦様が開祖で、インドから中国を経てやって来た、という認識でしょうか。
それとも、日本神道とともに、日本独自の宗教のように思われていますか。
仏教のおおもとである「お釈迦様の仏教」というのは、生きることに悩んでいる人が、出家して、修行したり、悟りの道の先輩であるお釈迦様の話を聞いたりすることで、心の中の迷いや煩悩や執着を断ち切り、いっさいの苦・束縛から解放される「さとり」を目指しています。
しかし、お釈迦様は食あたりで、80歳で亡くなってしまい、教えを説いてくれる人がいなくなってしまいました。
また、在家信者の中には、「私だって修行して悟りたいのに、家族と仕事があるから出家できないんだ」という人も大勢いました。
そこで、在家のままでも、みんな成仏できるやり方がある、という新しい解釈をする宗派がいくつも登場しました。
それらの宗派の総称が、大乗仏教といいます。
それらよると、お釈迦様は亡くなったけれど、実は宇宙のかなたに、仏国土という成仏するための国がたくさんあり、それぞれの仏国土には如来(悟った人)がおられる。そこに導いていただこう、というものです。
そのために、ある宗派は禅を組んだり、またある宗派は念仏を唱えたり、またある宗派はお経を読んだりして、さらに利他の善行を施そう、というものです。
日本の仏教各宗派は、大乗仏教です。
その大乗仏教のお経の一つが般若経で、さらにそのダイジェストが般若心経なのです。
「すべての基本的存在要素には、そもそも実体がないのだから、それが生まれたり消えたり、汚れたり、きれいになったり、増えたり、減ったりしている(ように見える)のもすべて錯覚である」(『別冊NHK100分de名著 集中講義 大乗仏教 こうしてブッダの教えは変容した Kindle版』佐々木閑著より)という考え方です。
「色即是空」を深く解説
「般若心経」の現代語訳が好きで、疲れたらたまに読み返してる pic.twitter.com/HL79t2bvpM
— トモ (@Tomooo1008) July 18, 2024
さて、本書は、若いサラリーマンが、若者たち数人とともに『般若心経』の文言について意味をを考え議論するという話です。
『般若心経』は、「色即是空空即是色」という一文から始まりますが、前述のように、この世のものは「空」であり実体のないものである、と解説されています。
そこに実体を求めると、「苦」が生じるというのです。
たとえば、人に裏切られたら、どう思いますか。
いやですよね。
筋が通らないことは許せないし、具体的にそれで損害が出たら、法的に措置もしますよね。
ただ、般若心経は、「そういうことはありうる」と常に心しておくことを唱えているといいます。
要するに、「気にしない」ことが大切だといいます。
般若心経はそもそも、「人間関係の根幹」自体を「空」と捉えているわけです。
人を信頼することは悪いことではないけれど、だからといって、人が自分を裏切らないとはいえない。
でも、そういうこともあると考えろ。
人の信頼に応えたいとは思うけれど、それに縛られると苦しくなる。
だからそういうことに思い悩むな、と言っているのです。
私たちは、いろいろなことを気にしすぎなのです。気にすれば、そこから離れられません。離れないと他にある素晴らしい世界を知ることは出来ません。心を自在にしていきなさい。
と、般若心経はいっています。
執念深い私とは、真逆の教えですね(汗)
嫌なこと、許せないことは、忘れて、次の一歩を踏み出せていますか。
そうでない悩み事がある方は、本書をご覧になってみるのもいいかもしれません。

気にしない技術 ~まんがで読み解く般若心経入門~ (Business ComicSeries) - 名取 芳彦
![気にしない技術 ?まんがで読み解く般若心経入門? (Business ComicSeries)【電子書籍】[ 名取芳彦 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/rakutenkobo-ebooks/cabinet/6320/2000004596320.jpg?_ex=128x128)
気にしない技術 ?まんがで読み解く般若心経入門? (Business ComicSeries)【電子書籍】[ 名取芳彦 ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
この記事へのコメント
子供のころ、若い頃から考えると、今のわたくしはかなり自分を自由にできるようになったとは思いますが、やはり完全にとは言えないです。
どこかで苦しみを持っている。
後になって考えると、相手の人間性の問題なのですよね。
亡くなった妻の兄は臨済宗で孫のA君(中学生)が仏壇の前で般若心経だけですが読んでくれます。
早く読めば5分もかからないですが偉い子です。
私は仏教の基本がここにあるように思っております。
少しは気にしてよと思いたくなる人が
回りには必ずいますね~ (^_^)
イヤな気持ちになるのがつらい(T_T)自分のことも嫌いになる。
「気にしない技術」読んでみたいです。
全ては空であるというのは理解できそうな気がします。
全く関係のない分野ですが、物理学の「ひも理論」では全ての物体は「ひも」が振動している姿であると言っているそうです。