学歴フィルター(福島直樹著、小学館)

学歴フィルター(福島直樹著、小学館)

学歴フィルター(福島直樹著、小学館)は、日本の就職活動における「学歴フィルター」の実態やその影響について分析した書籍です。少子化でまた有名大学志向に拍車がかかり、学歴フィルターは厳然と存在する、という身も蓋もない現実でも希望をもてる解説をしています。

ホリエモンのコメントが、また話題になっています。

内容は、炎上するようなことではありませんが、身に覚えのある一部の人からは、耳が痛かったのかも。


内容をまとめると、2月1日~4日ぐらいまで、首都圏の私立中学の入試があったんですが、受験勉強が苦痛の子に「お受験」させても、精神を病むだけだからやめさせろ、というもっともな話です。

受験勉強という、合格しなければ何もならない「賭け」に時間とエネルギーを、がんぜない我が子に注がせる。

落ちても親は何の責任も取らない

やっと受かっても、名門中学で上位に行くことは並大抵ではなく、集団の下の方にいることは苦痛である。

なのに、「未だに中学受験とかに血道を上げてる親ってほんとクソ笑」と、自分のブログに書いています。

ホリエモンは、昨年11月にもYouTube動画で、AI時代が到来し「頭が良いとか悪いとか、あんまり関係無くなる」と予想しており、「今の暗記偏重の受験で学んでいることは、100%意味が無くなる。無駄な時間なんですよ、それは断言します」と語っていました。

私は、そこだけは違う意見ですけどね。

たとえば現在だって、ChatGTPでレポートや小説を作れる人もいれば、自分の知りたいことの回答を満足に得られない人だっているじゃないですか。

AI時代になれば、AIをいかなる価値で使いこなすか、その知恵の差が生じることは明らかです。

それはともかくとして、たぶん小中のお受験に血道を上げる人は、学歴厨というだけでなく、ブランド厨も入っているのではないかと思います。

つまり、いい大学に進むためという以前に、中学や高校をも有名校卒にしたいという見栄や虚栄心。

いや、でも学歴って、どんな中高に入ろうが、結局は「最終」学歴が大事ですからね。

たとえば以前も書いたように、大學の銘柄で判断される面も否定はできません。


この記事を要約すると、上場企業の募集枠が、旧帝大一工、早慶上理、関関同立、GMARCHの卒業生でいっぱいになるから、日東駒専とか産近甲龍、もちろんそれ以下は書類選考でだめだと。

一芸入試とか、いろいろ工夫して、学歴格差をなくそうとしてきたはずなのに、少子化でまた有名大学志向に拍車がかかり、学歴フィルターは厳然と存在する、という現実を解説しているのが、本日ご紹介する『学歴フィルター』(福島直樹著、小学館)です。

「学歴フィルター」がどのように機能しているのか



本書では、日本企業の採用において「学歴フィルター」がどのように機能しているのかを説明し、その背景や問題点を掘り下げています。

いっときは、「面白い人」や「個性」が評価されることもありましたが、近年では企業側がデータを重視し、高学歴者を優先する傾向が強まっています。

また、本書では「学歴フィルター」が単なる企業の問題ではなく、教育格差や家庭環境の影響も大きいことを指摘しています。

見どころは、 企業がどのような基準で応募者を選別しているのかを、実例を交えながら解説。

また、学歴フィルターに苦しむ学生に向けて、どのように就活を進めればよいのかの具体的な戦略が提示されています。例えば、「会社説明会に予約できなくても直接訪れる」などの実践的なアドバイスも紹介されています。

受験と裁判は不毛な消耗


世の中の仕組みは厳然としています。「大学がなんだ」とか「学歴なんてくそくらえ」とまでは、私には書けません。

ただ、「いい大学」に入れる道は、本人の覚悟があれば、たとえ18歳でなくても、そして小中「お受験」以外にも開かれているということはいいたいですね。

たとえば、私の人生観に、大いなる影響を与えた松田聖子さんの進学。


彼女は、ずーっと芸能界で頑張ってきたんです。

で、還暦近くになって、中央大学の通信課程に入り、彼女は「中大法学部卒」になりました。

何もかも犠牲にして受験勉強に明け暮れる今の小学生のうち、中大法学部に入れる人ってどれぐらいいますか?

また、学歴ロンダリングとネットで言われていますが、大学は無名でも、大学院で有名大学入ることもできます。

大学院は、研究テーマや指導教官との関係が大切なので、無名大学から一発逆転ということはあります。

もとより、「学歴」評価なら、どこであろうが修士>学部、です。

中学受験で偏差値70の学校を目指して灰色の生活を送るよりは、大学のときに研究テーマをきちんと決めて、大学院で勝負するほうがいいのではないかと私は思いますけどね。

受験が好きな人もいるかも知れませんが、私は、受験と裁判ぐらい、人生における不毛な時間とエネルギーの消耗はないと思っています。

みなさんはお受験や学歴フィルターによる思い出やご経験はありますか。

学歴フィルター(小学館新書) - 福島直樹
学歴フィルター(小学館新書) - 福島直樹

この記事へのコメント

2025年02月07日 23:35
ホリエモンは、お受験してますけどな。
だからわかるということか。
2025年02月08日 00:00
ホリエモンの言葉通りに進んでいって学歴や地位が関係のない世界がやってくるような、、、もうAIに頼るもんねバカでも生き抜くもんね。
2025年02月08日 00:32
中学受験は苦い思い出が…。
同い年の松田聖子さん好きにはなれませんが凄いなと尊敬はしてます。
2025年02月08日 01:08
会社での教育も上手くいくからかな?
2025年02月08日 06:19
中学受験失敗して中学でグレちゃった同級生がいるので親は責任取らないって言葉が沁みすぎる。
2025年02月08日 07:28
頭がいい=仕事が出来る、とはいきませんが、フィルターやバイアスはかかりますよね。
2025年02月08日 08:27
多分、毎年渡ってくるんでしょうね、同じ鳥が。
2025年02月08日 10:45
Seesaaブログへのご訪問・コメント、ありがとうございます。
「風邪は万病のもと」と言いますから、無理をなさらず、お気を付けてくださいませ。
2025年02月08日 12:18
今までの入試は、記憶力を問うものが多すぎです。
おっしゃるように生成AI時代は、単純な記憶能力は
あまり意味がないと思います。
お受験で成長期の大事な時間を奪ってしまい、
社会経験の乏しい若者が出来上がる図式は、
どこかで転換しないと、闇バイトなどの若者の
思考の歪みに起因する悪を断ち切れないかと。
2025年02月08日 12:21
どこを卒業したか
ではなく
何を学んだか
これが重要ですよね。
2025年02月08日 12:46
こんにちは。
学歴が必要とする仕事は存在しますが、無くて成功している方は沢山いるので、今後も似た状況はありかな?また、生成AIの登場で人間しか出来ないエモーショナルなコトが求まれれると推測です。受験にいい思い出ないですが「争う場」は必要ですね!?(=^・ェ・^=)
2025年02月08日 14:06
仕事の取引先で総合商社、都市銀行の方たちとお付き合いがありました。皆さま、所謂一流大卒、学習に加え、スポーツ、サークルなどでも
活躍実績、それでも部長や役員になれるのはごく一部、
出世から零れ落ちると、関連会社へ飛ばされたり、早期退職。
家庭を顧みず遮二無二働き、稼げなくなると、妻子は出て行って離婚のケースも。。人生いろいろ、猫それぞれ、何をもって幸せ哉。。。
2025年02月08日 14:15
「不毛な時間と消耗は無駄」同感です。残念乍ら理不尽なフィルターが一杯の世の中、学歴フィルターにふるい落とされないようにするか、学歴フィルターのない分野を志すしかないでしょう。
少なくとも多様な選択肢がある世であって欲しいですね。
2025年02月08日 15:57
自分で決めた正解の人生は存在しません
一流大学卒でエリート街道まっしぐらでも病気になればそれまでです
大学は出ていなくてもその道一筋で幸せに一生を終える人もいます
あるがまま、何事にも拘らず、ありのままを受け入れて
これまで生きてきて、これからも生きていきます
今のところ幸せです
2025年02月09日 09:28
みなさん、コメントありがとうございます。

> だからわかるということか
経験者は語るというやつですか。

> 学歴や地位が関係のない世界がやってくるような
まったくなくなる、ということはないでしょうけれどね。

> 中学受験は苦い思い出が
経験者ですか。

> 会社での教育も上手くいくからかな
やはり学歴が高いほうが能力も高いとみなされるでしょうから。

> 中学受験失敗して中学でグレちゃった同級生がいる
それは気の毒なことをしました。

> 頭がいい=仕事が出来る、とはいきません
高学歴=頭がいいとは限りませんから。

> 毎年渡ってくるんでしょうね、同じ鳥が
迷子にならないのがすごいですね。

> 「風邪は万病のもと」と言いますから
ありがとうございます。そうですね、気をつけます。

> お受験で成長期の大事な時間を奪ってしまい
その年齢でしか経験できないこと、経験すべきことはあるでしょうね。

> どこを卒業したか
> ではなく
> 何を学んだか
学びたいことがあってその学校を選ぶ、というのが本来のあり方ですね。

> 「争う場」は必要
競争を勝ち抜く力というか集中力や根気強さなどは養われるのでは。

> 稼げなくなると、妻子は出て行って離婚のケースも
ドラマに出てきそうな話ですね。

> 多様な選択肢がある世であって欲しい
そうですね。

> 今のところ幸せです
それが一番ですね。