「島田紳助は106通ものメールを証拠として書本興業に査問され、芸能人をやめるか、山口組系極心連合会・橋本弘文会長と縁を切るかと迫られた。
紳助にとって「大恩」ある橋本会長への絶交宣言は橋本会長を敵に回すに等しく、考えるだに恐ろしい。縁を切るなどとは口が腐っても言えない。暴力団との交際をねちねち責め立てる吉本もうるさすぎる」
そんな現場認識のある島田紳助は、芸能界をとるか、橋本会長をとるか、という選択を吉本に迫られて、橋本弘文会長のほうを採った。少なくとも芸能界の方は捨てた。
その選択を島田紳助は正しいと考えているかもしれないが、それは錯誤である、と溝口敦氏は指摘する。
しかし、彼は飲食店等を持つ資産家ではないのか?
普通はそう思うだろう。
だが、溝口氏は言う。
「各店とも紳助のテレビ出演あってこその繁盛だったが、露出ゼロになる今後は徐々に客足が遠のいていく。店のテコ入れで金融機関から融資を受けたくても、各行とも暴力団に近いと知った紳助にカネは貸さない。新口座も開かせない。
暴力団排除条例の規制もあるし、警察の行政指導による業界基準もあるからだ。紳助がすでに融資を受けているのなら、逆に貸し剥がしに遭うだろう。不動産を賃貸借しているのなら、それも打ち切られる」
だが、島田紳助はこう思うかもしれない。何しろ自分の「ケツ持ち」は山口組の若頭補佐なのだ。山口組の次期会長はみなその地位を経験した。
ゆくゆくは、橋本会長が山口組のトップになるかもしれない。自分は会長を後ろ盾に復権できるかもしれない。
溝口氏は、それは「早とちり」であるとして、こう述べている。
「紳助は思うかもしれない。極心連合会・橋本会長は山口組の筆頭若頭補佐、組内第3位か4位だ。高山浩司若頭が恐喝容疑で今後数年間はシャバに出られない現状では、実質的に第2位の『若頭代行』に上る公算が強い。『親分』は前途洋々、わしも安泰だ、と。
が、これも錯誤とはいわないまでも、早とちりである。
山口組は現在6代を数えるが、6代の歴史を見るかぎり組長、若頭が在日だったことは一度としてない。そのため在日は組長、若頭になれないという不文律がある、とまことしやかに語られているからだ」
さらに「暴力団が持つ弱肉強食と共食いの習性がある。紳助の思惑が大きく外れるのはほば間違いない」としている。

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