横山ノックの観測気球は注目されなかった(2003,07,25) - 芸能資料館

横山ノックの観測気球は注目されなかった(2003,07,25)

横山ノックの観測気球は注目されなかった(2003,07,25)

横山ノック前大阪府知事。華々しい経歴だったが最期は惨めだった。2003年10月29日付『東京スポーツ』を見ると、横山ノック・前大阪府知事の顔写真が出ている。27日に開かれた「夢路いとしさんお別れ会」で、「芸能界復帰をブチ上げて関係者を驚かせた」記事が出ている。(以下敬称略)



それによると、「これからはライブの時代」と、テレビやラジオではなく、舞台での復帰を考えているという話である。

しかし、横山ノックは2003年7月24日、「今年は、大きな転機になる。老骨にむち打って、府民への裏切り行為について、罪滅ぼしをすることを考えていきたい。

大阪府の繁栄を祈ります」と、政界復帰宣言ともとれるスピーチを行ったばかりである(『サンスポ・コム』2003年7月25日更新)。

いったい本心は、政治なのか芸能界なのか、どっちなのか。 きっと、どちらでもいいのだろう。

それらの発言は、元政治家らしく、いろいろ観測気球を上げて世間の反応を確かめているのだ。そして感触のいい方に傾くのである。まるでやじろべえのように。

芸能界のカムバックについては、吉本興業の林裕章社長から、「タレントとして使う意思は全くございません。役員一同の意見です」(『日刊ゲンダイ』2000年6月30日付)と三くだり半を突き付けられ、個人事務所もすでに閉鎖している。

だから、「芸能界復帰」といっても「テレビやラジオではなく、舞台」しかないのである。

本来なら、ここまで追い込まれていれば、汚した晩節の傷口を広げぬように大人しく身を引くものだが、多額の借金を抱えているといわれており、とにかく何かをせざるを得ないのかも知れない。

しかし、例の「強制わいせつ事件」は、行為自体はもちろん、訴えられてからの経過についても、「権力犯罪」としての本質をもつ以上、そう簡単に水に流すことはできまい。

さらに付け加えれば、振り返るに、政治家としても、お笑い芸人としても、その姿勢に問題もあったのではないか。

最初の参議院選挙の時、横山ノックは、社会風刺ネタで一世を風靡する、ノック・フック・パンチの漫画トリオという人気トリオ漫才を率いるリーダーだった。

それがいきなりの出馬だったため、残されたトリオのフックやパンチらは、その後始末や以降の自分たちの仕事を軌道に乗せるために大変苦労したという。

6年後に横山ノックは1度落選しているが、当時はテレビのワイドショーの中で、横山ノックの「芸能界復帰パーティー」を行っている。

それで気をよくしたのか、横山ノックは身勝手にも、フックやパンチにトリオ復活を持ちかけている。

そうすれば、トリオ時代のギャラと名前ですんなり芸能界に復帰できるからだ。

自分の都合でトリオを捨てておきながらムシのいい話である。

いつもご都合主義の行動


ケースは違うが、元ドリフターズ・ドンキーカルテットの小野ヤスシが参議院選挙で落選したとき、「ぼくは芸能界を裏切った人間ですから、また復帰というのはムシが良すぎるかも知れませんが」と、奥ゆかしく芸能界復帰を望んだのとは偉い違いではないか。

案の定、これはうまくいかなかった。 フックは、青芝フック・キックという漫才を軌道に乗せつつあるときで、「キックに6年前の自分の苦労をさせられない」と、身勝手なトリオ復活には拒絶反応を示した。

パンチは上岡龍太郎としてすでに売れっ子になっていたが、彼らしく、自分の仕事優先で、余技としての「復活」には含みを残した。

結局、出馬前のような絶頂を取り戻せなかった横山ノックは、3年後に国会議員に復帰。以降、無所属、二院クラブ、革自連、民社党と、左右大小の会派をウロチョロし、結局これといった実績は残していない。

それでも、自転車を使った選挙運動や風呂に入って有権者の背中を流すなどのパフォーマンスなどで選挙には強く、計4期参議院議員をつとめている。

その後、政界再編と無党派ブームなるものに目をつけ、大阪府知事に転身するが、知事1期目の在任中も議会になめられていた。

しかし、それは逆に、「議会にいじめられながら耐える無党派知事」というギミックになり、人気が高まった。

結局、何一つ責任ある仕事を成し遂げることもないまま、笑いに寛容過ぎる大阪で庶民派を装って生き延びてきたわけだ。

だから横山ノックの知事2期目はほとんど無風選挙といわれた。その年の大阪府知事選は、有権者も既成党派もノックも、みなが緊張感が欠如していたと思われる。

例の事件は、そんな気のゆるみも一因ではなかったのか。

女子大生セクハラ事件の深層―横山ノックがやったこと

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  • 作者: 一ノ宮 美成
  • 出版社/メーカー: かもがわ出版
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