二重学籍はどうしていけないのか

二重学籍はどうしていけないのか

二重学籍ってご存知ですか、同時期に並行して2つの大学に在籍することです。残念ながら、多くの大学では学則で禁じられているのですが、決定的な理由がありません。一方、二重学籍以上に時間の拘束が厳しいと思われる、学籍と就労を並行する勤労学生については何の問題もないのです。



多くの大学は、二重学籍を学則として禁じています。

といっても、あくまで学則であり、法律で定められているわけではありません。

したがって、学則に定められていない大学は、二重学籍を問題にしません。

私が知っているところでは、放送大学、慶應義塾大学通信課程、立命館大学……数えるほどです。

ですが大半の大学は禁じられており、処分についても独自の学則で決められています。

見つかれば、学籍(取得単位)は過去に遡って無効、なんてことにもなりかねません。

それって、おかしいよねっという話題が、社会人学修者のコミュニティ、たとえばLINEのオプチャなどで、しばしば盛んになります。

勤労学生がOKで、二重学籍がどうしてNGなのかと。

18~9歳の「現役」世代でもそのような悩みがある人がいるかも知れませんが、歳を取ってから学業復帰し、時間が惜しい世代には、なおさら切実です。

「現役」世代には、2つの大学に合格したもののどちらかに決められず、しばらく両大学に通ってどちらにするか見極めたい、とする場合があるようです。

この場合は、いずれはどちらかに決めるためなので、それほど深刻ではないかも知れません。

一方、歳を取ってから学業復帰すると、卒業後に複数の知識や資格(たとえば教育学&心理学とか)を活かして働きたいという場合、2つの分野を順番に学修すると、それだけ年月がかかってしまいますから、並行して学修したい、という欲が出るのです。

また、複数の専攻を並行して学修することで、知識が重層的に広がり深まることもあります。

十分な学習時間が確保できないから?



文科省は、禁じているのではなく、あくまでも「現実問題として時間的に大変だから」という表現で、二重学籍が困難であることを述べています。

「学校教育法の修業年限の規定の趣旨に照らし、学生が二以上の大学の教育課程を同時に履修することは学生の十分な学習時間が確保できなくなると考えられるためです。」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakukan/1258058.htm

でも、これは、必ずしもそうとはいえないんですよね。

ダブルスクールは?


たとえば、大学生が、昼間は大学に通いながら、夜間には専門学校に通うダブルスクールなんてよくある話です。

なぜ、大学の二股は駄目で、専門学校との掛け持ちならいいのか。

早めに単位を取ったら?


規定の年限より前に卒業単位を満たしてしまったので、卒業までの残った時間は他の学校に通いたい、ということもあります。

つまり、3年までで120単位とったから、4年次は別の大学の科目を履修してもいいか、という話です。

これは、文科省の言う「二以上の大学の教育課程を同時に履修する」にも引っかからないケースです。

ですから、このケースは大学によってはOKということもあるらしいです。

ただ、すべての大学が許可するとは限りません。

不適切な単位や学位の取得につながるリスク


もうひとつ、二重学籍を禁じる大義としては、同時に2つの大学で学び、両方の大学で類似の科目を履修して単位を二重に取得するなど、不公平な学位取得が発生する可能性がある、というものです。

つまり、2つの大学で履修科目を重複させれば、1科目分の勉強時間で、2科目分の単位が取れるから不公平である、ということです。

これもねえ、替え玉使うわけではなく、あくまで本人が勉強して、リポートを書いたり試験を受けたりするわけですから、問題ないと思うのです。

そんなこと言ったら、専攻科目しか学修しない大学院などは、科目によって学修領域が重なる科目なんて当たり前のようにありますから、5科目分の勉強時間で、8科目分の単位が取れるなんてこともありますよ。

バレないようにすると無意味になる!?



で、実際のところ、二重学籍をヤッたとして、見つかる可能性はあるのでしょうか。

たぶん、本人が黙っていれば、わかりません。

事情を知っている友人が、学校に言いつけたとしても、学籍は個人情報なので、簡単に調べることはできないからです。

どこかの都知事が、それで選挙を2度も逃げ切っていますしね。

しかし、就活などで、履歴書に書けばもちろんバレます。

履歴書に書けないのなら、「学修」に意義はあっても、「学歴」としては意味がありません。

学歴として意味がないことに、時間とお金をかけるわけにはいかないでしょう。

ということで、やっぱり二重学籍はだめだ、という結論になるわけです。

ただ、少子化で、かつ各学問分野は学際化しているので、たぶん近い将来、二重学籍は認められる方向に行くのではないかと私は予想しているんですけどね。

いずれにしても、大抵の方は、「社会に出てから、2つの大学に並行して行きたいなんて、酔狂なことだ」と思われるかもしれませんね。

まあ、人生いろいろですから。

いかが思われますか。

大学院・通信制大学 2025 (AERAムック) - 朝日新聞出版
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この記事へのコメント

2025年03月10日 09:09
おはようございます!
二重学籍なんて知りませんでした。
一つの学籍でもアップアップしてました (´・ω・`)