崎陽軒の「シウマイ」が商標登録できない理由?

崎陽軒の「シウマイ」が、商標登録できない理由はご存知ですか。それを解説する記事のOGPがXを流れていたので内容をシェアします。通常「シュウマイ」と書くところを、「シウマイ」と独自表記の崎陽軒。それでも商標登録はできないのです。

シュウマイは、今更ご説明の必要もない食品です。
中国発祥の蒸し餃子で、具材として豚挽肉やエビ、野菜などを使用し、皮で包んで蒸します。
日本では、中華料理店やスーパーマーケットで手軽に購入でき、お弁当やおつまみとしてもよく利用されます。
少なくとも私が、そこで真っ先にイメージするのは崎陽軒。
しかし、同社は「シュウマイ」ではなく、「シウマイ」という商品名で販売しています。
崎陽軒が「シウマイ」という表記を採用した背景には、創業者・野並茂吉氏の栃木訛りがあるといわれています。
中国語の「焼売(シューマイ)」を発音できず、「シィ―マイ」となったことがきっかけで、1908年の創業時から「シウマイ」の名称が定着したそうです。
しかし、そこはビジネスチャンスと捉え、他で使っていない名称だから、商標登録してはと思うのですが、残念ながらそれはできないそうです。
その理由や経緯を説明しているサイトのOGPが、Xで話題になっていたので、興味深く拝見しました。
楽陽食品のシウマイを食べてる投稿を見て,ふと崎陽軒のシウマイと何か関係があるのか気になって調べたところ,とても面白い記事に出会ってしまった。
— Fumy (@fumy71) July 13, 2024
崎陽軒が独占できない、「シウマイ」商標ブランディングのヒミツ ちざ散歩Vol.02 | Toreru Mediahttps://t.co/AN3AdYWQ7G
弁理士である著者が、まず疑ったのは、類似商品があることでした。
特許庁の判断と競合事例
1箱12個入り100円しない「#シウマイ」(#楽陽食品)買っています。最初は安すぎて大丈夫かと思いましたが、レビューの評価も上々なのでリピーターになりました。お弁当のおかず、1品足りない時などに便利です。ひょうちゃんのところとあまりにも似すぎているのですが、それも心配しています。 pic.twitter.com/JfsubQbtxH
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) February 2, 2022
庶民の見方、楽陽食品の「赤箱シウマイ」です。
2016年、楽陽食品が「赤箱シウマイ」のパッケージデザインを商標出願した際、崎陽軒は「自社商標との混同リスク」を理由に異議申立を行いました。
たしかに似てますよね、崎陽軒のシウマイに。
しかし、特許庁は、「シウマイは普通名称であり、龍の図柄も中華料理で一般的」として異議を却下しました。
この審決は、「シウマイ」が、特定企業の独占を許さない公共的な名称であることを示しています。
つまり、一般的な名称ということです。
特許庁の審査基準では、料理名や商品の普通名称を商標登録することは原則禁止されています。
例えば「あんぱん」や「さんぴん茶」が登録できないのと同じ原理です。
「しかし、シュウマイとシウマイでは表記が違うではないか」
特許庁の判断では、仮名表記を変えても「しゅうまい」の音韻的変形に過ぎず、「普通に用いられる表示方法」と判断したわけです。
商標審査基準では、ローマ字や仮名文字での普通名称表記は登録不可と明記されており、「シウマイ」も例外ではありませんでした。
崎陽軒の代替戦略:ブランディングの巧みさ
商標登録ができくなった崎陽軒はどうしたか。
崎陽軒が「シウマイ」で成功した理由は、頭を切り替えたブランディングを行ったことです。
パッケージデザインの商標化
龍と横浜のランドマークを組み合わせた独自デザインを登録(商標第503518号)。「シウマイ」の文字を外し、視覚的要素で模倣を防止しました。
派生商品名の登録
「シウマイまん」「横濱崎陽軒 シウマイBAR」など、名称に付加価値を加えた商標を取得したそうです。これにより、他社との差別化を図っています。商標登録自体は諦めていなかったんですね。
ローカルブランドの確立
全国展開を中止し、関東圏に集中。地域密着型の「横浜名物」として認知を強化し、「シウマイ=崎陽軒」の連想を定着させました。
商標制度の限界を逆手に取ったブランド戦略の成功例
「シウマイ」を普通名称として活用する利点は、市場全体の認知拡大にあります。
例えば「関西シウマイ弁当」のようなコラボ商品を通じ、地域特性を反映した新たなブランドを生み出すことで、逆に崎陽軒の知名度を高めています。今後も、デザインや体験価値を重視した「見えるブランディング」が鍵となるでしょう。
崎陽軒の事例は、商標制度の限界を逆手に取ったブランド戦略の成功例です。
名称の独占が不可能な状況下でも、品質と歴史の積み重ねで「シウマイ」の代名詞となり得ることを証明しています。
商標以外のブランディング、ひょうちゃん
ひょうちゃんは崎陽軒シウマイの「顔」 https://t.co/weHWn6iBoo #ひょうちゃん
— 戦後史の激動 (@blogsengoshi) May 7, 2025
シウマイが商標登録できなくても、崎陽軒にはもうひとつ、ブランディングを行っていました。
崎陽軒では、シウマイ弁当以外の商品のタレ瓶(たれびん)として、白い磁器で作ったひょうたんの形に、表情が書いてある、ひょうちゃんが入っています。
崎陽軒によると、毎日新聞で4コマまんが「フクちゃん」を描いていた漫画家の横山隆一さんが、目鼻をつけてあげようと何通りもの表情を描いて、「ひょうちゃん」と名付けられたとか。
「フクちゃん」の作者が描いたから「ひょうちゃん」だったんですね。
その何通りもある表情欲しさに、シウマイを買いまくる酔狂な人もいるのです。
それが、かつての私だったのですが(汗)
ひょうちゃんにはサイズで2通りあり、しょうゆが出る口が顔の上にある「大」と、顔の横にある「小」があります。
私は、「小」を集めていましたが、ヤフオクではよく売れるんですよ。
東北在住の知人が、「さきようけん」と読んでいましたが、知名度は全国区ではないのでしょうか。
崎陽軒、ご存知、ですよね。

崎陽軒 シウマイ 真空パック 15個入??3箱 焼売 中華 お土産ギフト
この記事へのコメント
出来ないんですね
崎陽軒も有名なので、さきようけんと読む人がいるんだと改めて漢字を見たら、たしかに読めるわ!と・・・
当たり前だと思っていたことがそうじゃないとわかるって、固定観念だった!と思い知らされますね。
だから「シュウマイ」ではなく「シウマイ」なのかなと。
タレ瓶、お弁当の時にお醤油入れとして使っていました^^
わざわざ『シウマイ』なんだからされてるものとばかり思っていましたが…
楽陽食品のチルドシウマイは、我が家でも良く買います。
お得だし、ちょっとした時に便利ですよね。
地元に、崎陽軒の店舗が出来てたのですが1年くらいで撤退してしまいました^^;
また、買う時は上野か浅草に行かなければと思っています。
シウマイ(シューマイ)といえばここと言えるほど有名でブランド戦略は成功していますね。
nice!です。
ソングの音の、個人的誤認識で記憶していた、私は大馬鹿者でした。
よく買いましたね。今でも買っています。
それにしても、値上がりしましたよねー^^;
たいしたもんですね!!羨ましい!!
畑は生きがいです。ご先祖守りでしていましたが、歳をとると「しあわせ」と思える場所になりました。いつも丁寧なコメントいただきありがとうございます。
企業努力が伝わってきて参考になりました。
崎陽軒のシウマイ、よく買いました。
ウラをとったわけではないので真偽のほどは定かではありませんが、時計のGショックはAショックからZショックまで商標登録していると聞いたことがあります。ブランドを守るって大変ですね。
かえりは駅前で崎陽軒のシュウマイを土産に買いましたが
今はどこでも売っていますね、最近も時々買います
奥深い、、、
関西なので、551のシュウマイも捨てがたい
読まさせて頂くまで・・・
崎陽軒のシュウマイだと思っていました。
特許や商標登録って難しい事や、時には邪魔されて早く登録する人も...
以前の会社でも、まず世に出る前に登録する事が多かったですね。
補足します。
楽陽食品は、文字を含むパッケージを商標登録しています。
「シウマイ」という表記は、崎陽軒を含めてどこも独占できていないということです。
コメントありがとうございました。
そういう理由までは知りませんでした。
いう歌が印象に残っています。東京在住でも「キヨウケンって何?」と
商品を知らない人もいて、ビックリしました。
いつも崎陽軒のシュウマイ弁当食べようって言ってました(笑)
激似の赤箱!!!間違って買ってしまいそうだが格安ですね!
商標登録も大変なんですね!
崎陽軒のシウマイ食べたくなりました♪