お盆の由来と現代的な意義~先祖を想う心のルーツを探る
今年も「お盆」の季節がやってきました。今年(2025年)の新盆(新暦のお盆)は、7月13日(日)から7月16日(水)までの4日間です。7月がお盆の地域では、この期間に新盆を迎えます。主に東京や函館、金沢の旧市街地など、一部の地域で行われています。
一方、旧盆(きゅうぼん)は、8月15日を中心に行われるお盆のことです。
全国的に見ると、こちらの8月のお盆が主流で、企業や商店では8月の夏休みを「お盆休み」といいます。
「月遅れ盆」とも呼ばれます。
「新盆」と旧盆の違い
お盆休みは一般的に8月ですが、お盆は7月に行う地域もあります。
— 身延山久遠寺【オフィシャル】 (@kuonjiofficial) July 4, 2025
身延山久遠寺では7月13日~15日に塔婆回向(ご先祖供養)行い、https://t.co/Ijd8EUuwSC
7月16日には盂蘭盆施餓鬼会を行います。https://t.co/yhGZ4Eltvf
写真は2024年の盂蘭盆施餓鬼会の様子。#身延山 #久遠寺 #お盆休み #お盆 pic.twitter.com/I3JmVTEmrC
新盆は、「新暦のお盆」という意味と、「故人が初めて迎えるお盆」という2つの意味があります。
たいていは、「しんぼん」といえば「7月盆」、「にいぼん」が「亡くなった人の初めてのお盆」を指すことが多いですけどね。
「にいぼん」は、特に家族にとって特別な意味を持ち、故人を迎えるための準備が重要です。
これに対して、旧盆は多くの地域で伝統的に行われており、先祖を敬う行事として広く認識されています。
「臨終即往生(りんじゅうそくおうじょう)」の浄土真宗だけは、ご先祖を迎えるという概念がないため、お盆の時期を「歓喜会(かんぎえ)」と呼びます。
これは、ご先祖様や故人への感謝を伝えるとともに、阿弥陀如来の教えに触れ、自分自身を見つめ直す大切な機会とされています。
お盆の由来の「盂蘭盆」について
お盆の由来は、仏教の『盂蘭盆経』に出てくる盂蘭盆会(うらぼんえ)という行事です。
その由来を簡単に書きます。
『盂蘭盆経』によると、お釈迦様の弟子である目連の母親が、あの世で餓鬼として苦しんでいます。
目連が、母親に食べ物を与えようとしても、口に入れる前に飯は火と変わって燃え上がり、食べさせることができません。
お釈迦様は目連に対し、「あなたの母親は生前の罪根が深く、あなた一人の力ではどうすることもできない。しかし、7月15日(旧暦)の僧侶の安居(げあんご:夏の期間の修行)が終わる日に、多くの僧侶たちが集まる。その時に、たくさんの食べ物や飲み物、香油、灯燭(とうしょく)、寝具などを準備し、それらを僧侶たちに供養しなさい。その功徳によって、母親は餓鬼道の苦しみから救われるだろう」と教えます。
目蓮がその通りすると、母親は救われた、という話です。
僧侶たちは通常、定住地を持たず旅を続けますが、日本の梅雨の頃のインドは雨季に入り、僧侶が移動すると足元の虫や草木を傷つける恐れがあったため、一箇所に逗留します。それを安居といいます。
その最終日に、自恣といって、僧侶は互いに安居中の自分の行いを反省し、もし戒律に反する行いがあったなら、それを他の僧侶に正直に告白し、徹底した自己批判を行う行事があります
ですから、自分の間違いを認められない人、打たれ弱い人は、僧侶になれません(笑)
それはともかくとして、自己批判した僧侶たちは、きれいな心になるので、その日にお供えをすると、僧侶たちが媒介になって、あの世にお供えの功徳が届く、ということになっています。
それによって、目連の母親は救われたことになっています。
すなわち、僧団の自恣が、現在の「お盆」の原点になっています。
仏教は自分が成仏するための営みですから、ブッダが、弟子に「供養しろ」などと言ったとは考えにくいのですが、それもそのはずで、実はこれは中国で作られたお経、仏教学用語で偽経と言われています。
偽経とは、中国の儒教や道教、民間信仰などの教えを、仏教の教えのように見せるためにお経に加えた、もしくはお経のように書き下ろしたものです。
7月15日は、中国の道教に由来する「中元日」でもあり、寺院では「お施餓鬼(施餓鬼会)」の行事も行われることなども、「お盆」が中国の祖霊信仰の影響を受けていることがわかります。
日本の仏教は、中国を介していますから、『盂蘭盆経』は早い時期に日本に伝わり、すでに『日本書紀』には「盂蘭盆会」という行事は見つけることができます。
盂蘭盆経の背景
「盂蘭盆」という言葉の意味については、仏教学界で長い間議論が続いています。
広辞苑などの辞典では、「盂蘭盆」は「逆さ吊りの苦しみ」を意味するとされています。
この説は、7世紀半ばに唐の初期に活躍した学者・玄応の説に基づいています。
しかし、1990年以降は、「盆棚」説や「お供えのご飯を含めた器」説など、さまざまな解釈が提唱されています。
お盆の行事と現代の意義
お盆の行事は、地域や家庭によって異なりますが、いずれにしても、先祖を敬う気持ちが根底にあります。
お盆の期間中には、墓参りをしたり、先祖の霊を迎えるための準備を行ったりします。また、家族が集まる機会でもあり、故人を偲ぶ時間を持つことができます。
現代社会では、忙しい日常生活の中でお盆の行事が忘れられがちですが、先祖を敬うことは私たちの文化やアイデンティティを再確認する大切な機会です。
お盆を通じて、家族や地域のつながりを深め、先祖の教えや思いを受け継いでいくことが求められています。
みなさんにとっての「お盆」は、7月の「新盆」ですか、8月の「旧盆」ですか。

お盆のお経: 仏説盂蘭盆経 - 藤井 正雄
この記事へのコメント
母が亡くなったので準備が色々
スーパーの入り口におはぎが山積み、なんだと思う間もなくおがらや盆菓子が並び、嫌でもわかります。
住宅街でも見かけたものですが、最近は見なくなりました。
相方の実家は7月
ただ、当地では迎え火などの風習はないです
お墓参りも7月に行っていましたが、最近は暑すぎるのでお彼岸の頃に行くことにしています。
それでも、暑さは変わりませんが…
横浜へ出てきたとき、今頃になると、茄子ときゅうりに割り箸を挿して
動物にしたものがあちこちの家の玄関にあって、
意味が分からず奇妙に思えました。
意味がわかったのは、3年くらい後の夏でした。
nice!です。
けど親父が帰って来ても色々困るからなぁ・・・
では、閏6月が挟まるので。旧暦の7月15日は、今年は、
現代暦の9月6日と遅~く、台風が来る頃になるらしいですね。
また、お盆の由来や意味がたいへん分かり易く、理解できました。
実家はもう誰もいないのですが、母は里芋の葉を敷いてナスとキュウリのうまとうしを。なすやきゅうりの刻んだご馳走を乗せて迎え火をたいて迎えていました。
お彼岸 お盆は やはり 特別な行事 お墓参りで 感謝を
伝えたいですね
みんな成仏しているからお盆に戻ってくることは無いというお話を子供の頃にお寺さんから聞いて、なるほど~と思った記憶があります^^
我が家の本家筋では8月がお盆です。
私たちは無宗教なので取り立ててなにもしませんが
墓参は欠かさずに行きます。
自宅の仏壇に読経を揚げに来られますが、固辞出来る事を聞き
お盆と‣命日以外をお断りしました。(自分が供養する事が1番ですね)
(月命日には近くなので納骨堂に参拝もしています)
俺の田舎の北海道は色々らしいですね。
この時期、お祭りもあり楽しい想い出でしたが、これからは
この行事も減ってしまうでしょう。寂しい限り。
法事には何度か参加した事が有りますが、お坊さんが来てお経をあげて少しお話をして帰っていき、あとは食事会して終わります。
どちらかと言うと皆が集まる為の口実に近いと言った所でしょうか…
私は盆休みと言う概念が無い職場なので有るのは正月休みだけ、土日祝も必ず休みと言う訳ではないので土日祝だから盆休みだから来れるよね?と言われても困ってしまいます。