東京国際空港(羽田空港)へのアクセス、蒲蒲線(かまかません)計画
東京国際空港(羽田空港)へのアクセスに関わる、東急多摩川線の蒲田駅と京急本線の京急蒲田駅を直結する蒲蒲線(かまかません)計画が、しばしば話題になります。同計画については、2023年時点で具体的な進展はなく、事実上凍結状態となっています。
かなりローカルな話ですが、新空港線(蒲蒲線)計画というのは、ときどきニュースでもとりあげられるので、地元の方でなくてもご存知かもしれません。
東京から神奈川に向かって、JR東海道線(京浜東北線)と、私鉄の京急線は並行して走っているのですが、羽田空港に直結しているのが京急線です。
JR蒲田駅と、京急蒲田駅は800メートル離れていて、両駅を乗り継ぐにはその間は徒歩なのですが、埼玉の所沢や川越に直通の東急線(東横線+多摩川線)は、JR蒲田が終点です。
東急としては、さらに羽田までつなげたいという気持ちがあります。
そこで、東急線を京急蒲田駅につなげるために、JR蒲田と京急蒲田間、800メートルを地下で結ぶ新路線を作ろうというものです。
大田区まちづくり推進部都市計画課パンフレットより
計画では、それを第1期とし、さらに第2期として、下丸子ー大鳥居までの区間が対象になっていますが、それでも1.6キロです。
神奈川県川崎市の、横須賀線と南武線をつなぐ武蔵小杉駅の連絡通路は500メートルですから、うーん、わざわざ鉄道を敷設する必要があるのか疑問です。
しかも、東急と京急では線路の幅が違うので、相互乗り入れではなく、地下に新規の路線を作るわけですから、費用もかかりますし、現在の駅と計画されている地下駅との昇降距離もあります。
なぜ両駅をつなげたいかというと、京急蒲田駅から羽田空港線が出ているので、東急線利用者が羽田空港まで電車の乗り継ぎでアクセスできるようにするためです。
でもまあ、「つなげたい」と思っているのは東急側で、京急側はそうは思っていないと思うんですけどね。
経済効果はうたわれるがまだ「予定」の段階
今年に入って、2度報道がありました。これは4月の『日経』の記事です。
東急は渋谷再開発で大失敗してるのを反省もせずに「蒲蒲線」で多額の国税都税大田区税をムダにする 地下鉄なんて有り得ない。 僅か800m有料動く歩道が正解!
— maskメロン?? (@whomwhosewhom) July 5, 2025
新空港線「蒲蒲線」、国が東急の構想認定 今夏にも具体案 - 日本経済新聞 https://t.co/aJhEOrxqJe
内容は、「新空港線(蒲蒲線)」の建設に向けた進捗を報じています。
具体的には、国土交通省が東急電鉄などの整備・営業構想を認定したこと、そして2038年から2042年頃の開業を目指していることが述べられています。
記事では、総事業費が約1250億円と見込まれていることや、東急沿線だけでなく首都圏全体に及ぶ経済効果についても触れられています。
また、直通運転に関する技術的な課題や、今後の第2期区間の構想についても言及されており、このプロジェクトが日本の交通インフラに与える大きな影響が示唆されています。
華々しく書かれてはいますが、20年前からあった構想が、やっと国土交通省に認定されたこと。完成はさらに15~20年後の予定ということが書かれているだけです。
7月25日にはこんな記事も出ました。
沿線民だけど、メリット感は今ひとつ… → 東京副都心や埼玉から「羽田空港アクセス」改善なるか?東急が早くも新線の猛アピール開始! 開業はかなり先!? | 乗りものニュース https://t.co/3u1JK80lfF
— Kiyoshi (@Kiyoshileo) July 25, 2025
こちらも、多摩川線の蒲田駅から京急蒲田駅までを結ぶ約800mの新線が、2040年代の開業を目指して本格的に動き出したことが伝えられています。
この新線によって、東急線や地下鉄副都心線、さらには東武東上線や西武池袋線沿線から羽田空港へのアクセスが大幅に改善される見込みであり、東急電鉄がこのプロジェクトの認知度向上を図るため、各駅でPRポスターを掲出し始めた背景が説明されています。
しかし、現実に工事は全く行われていません。
要するに、いかにすばらしい計画なのかを啓蒙している段階にとどまっているのです。
盛り上がっていない地元民
地元大田区では、これが争点となっており、自民党は蒲蒲線推進、野党側は反対です。
地元民も、あまり歓迎という声は聞こえないような気がします。
1.地下化することで今より両駅の乗降が不便になる
2.今のままでも不便ではないのに、そんなことに大田区が巻き込まれて金を出すことへの抵抗感。
3.JR蒲田と京急蒲田間の商店街の反対
4.「大田区の江ノ電」だった羽田空港線の、さらなる変容の危機
「4」は、元地元民の私の強い思いでもあるんですけどね。
電車の窓から、沿線の家の洗濯物が取れるような至近距離を、引退直前の吊り掛け車輌がゴトゴト走っていた羽田空港線は、地元民に愛されてきた路線でしたが、13年前に高架化されてすっかり様がわりしてしまいました。
その上、よその路線が合流なんかしてもらわなくて結構、という気持ちは正直あります。
羽田空港を利用されるみなさんのご意見はいかがですか。

京急電鉄プロファイル ~京浜急行電鉄全線87.0km~ - 宮地正幸, 羽川英樹

たんけん絵本 羽田空港: 飛行機・働く車&人・旅・パノラマページつき! - 濱 美由紀
この記事へのコメント
蒲蒲線が特に必要だとは感じません。
でも、地元の人たちに歓迎されなければ、不平を生むばかりですよね。
不便がないなら今のままで十分だと思います。
線路幅規格が違うので同じ線路を走行できませんから、
なんで?! と疑問でした。
しかも東急線が地下を走行して京急蒲田で接続だと、
空港線は高架のホームなので、地下から乗り換えに
なってしまい、大きなキャスターバッグだと
エレベーター待ちになってしまって不便と思うのです。
利便性が、はなはだ疑問です。
20年後だと乗る事ないまま、人生を終わりそうで、私にとっては他人事ですね。
標準軌と狭軌の違いや18mと20mの車体長の違いも有りますから。
商店街の反対は最近話題に上がった西武鉄道 秋津・武蔵野線 新秋津との渡り線を使用した乗り入れも現在は臨時列車のみと言われていますが将来的に定期列車の運用も有るのではと商店街の方々は戦々恐々としているようです。
田舎者です!もう、電車にも乗れないな〜
羽田行くなら茨城空港へ行ってしまいますね
車生活です!
今回事実自体を初めて知り、興味深くかつ、勉強になりました。
繋げたいでしょうね
記事にもある通り東急が狭軌なのに対し京急は標準軌なので、
それほど単純な話しではないですよね。
京急線の相互乗り入れで東京メトロに乗り換えなので、
東急線と京急線の話は時々聞きますが、
そちらは使う事はないのでどうなんでしょうね。
本当に必要なの? 疑問が湧きます。
瀋陽から成田に帰国、さっぱりわからずすべて人便り??
親切な人たちのお陰で東京の(品川)長男の嫁に出会えましたが
もう今は無理(15年前の思い出話です)
元川崎市民としてはJR川崎駅から羽田まで京急バスで行けたので便利でした。