ヒートショックプロテイン研究は伊藤要子博士の「個人の研究」「民間療法」か?
昨日のヒートショックプロテインの記事について、「それは伊藤要子個人の研究に過ぎない『民間療法』だから、自己責任でしとけ」と、私の記事に対して「科学的でない」と見なしたコメントがありましたので、補足も含めて科学的な回答を行っておきます。
つまり、今日は、特定のコメントに対する回答、という記事になってしまいますが、つまり大半の方には退屈な記事かもしれませんが、補足も含みますのでよろしくおねがいします。
コメントには、以下のことが書かれていました。
1.マイルド加温療法は「伊藤要子の個人研究」で「民間療法」のタグイである
2.「自己責任で」というコメントの背景
まず、「1」ですが、「伊藤要子博士の個人の研究」および「民間療法」という指摘は誤りです。
伊藤要子先生(名古屋市立大学名誉教授)ご自身のグループから論文・学会発表が多いのは事実ですし、もとより、「42度15分入浴」で、誰もが体温が必ず38.5度になるとは限りませんし、それに応じてヒートショックプロテインが最大限に産生されるとは断定もできません(つまり個人差はあります)。
しかし、ヒートショックプロテイン(HSP)と、マイルド加温療法(温熱療法、ハイパーサーミア)の関係については、多くの査読された論文が存在します。
HSPの誘導と細胞保護効果、がん治療における温熱療法とHSP(HSPの保護作用、HSPの免疫賦活作用)についての論文は、PubMed、Google Scholar、ResearchGateといった学術論文データベースで検索できます。
「mild hyperthermia and heat shock proteins」「hyperthermia cancer therapy and HSP」「heat shock protein therapy」といったキーワードで検索すると、多数の論文が見つかります。
「査読」というのは、学会誌や学術雑誌に、投稿された論文をそのまま載せるのではなく、同じ分野の他の研究者(著者とは無関係の人)が読み、内容が正しいか、新しくて価値があるか、論理に飛躍がないかなどを厳しく評価します。
伊藤要子説は、査読付き論文を、国際誌や国内誌で発表されている以上、学術的には「自己流の健康法」や「未検証の民間療法」などとは明確に区別され、学術的な価値を認められたことになります。
ですから、伊藤要子先生の研究は、もはや「伊藤要子個人の考え」ではありません。
こんなことは、論文を書いている学者なら初歩的な常識です。
ヒートショックプロテインの出方は個人差がある
「個人差」については、伊藤要子先生が被験者を使って調べてはいますが、人それぞれコンディションも違いますから、温度・時間・給水・個人差など条件依存で、ヒト血中eHSP70(ヒートショックプロテイン)がすべて等しく上がらない試験報告も、残念ながらあります。
ここが、疫学調査のむずかしいところで、100%例外なくそうなるものなどはなく、かならず例外はあります。
同じ本数のタバコをすっても、がんになる人もならない人もいるように、同じ温度で同じ時間、オフロに入っても、ヒートショックプロテインの出方に個人差があることは否定できません。
人間にとって、本当に間違いなく100%なのは、「生命には終りがある」ことぐらいです。
ですから、伊藤要子説が標準的に推奨されるには、具体的に、年齢や既往症などでさらに再現性あるレベルまで調べていく必要はあるだろうと思っています。
現時点の伊藤先生の説は、最大公約数的なめやすとして、42度のお風呂で15分間温まると、ヒートショックプロテインが最大限に産生される結果が多かった、という段階です。
まとめ
当該研究は、「伊藤要子の個人の研究」ではなく、正しくは「伊藤先生が中心となって発表した査読論文に基づく知見」であり、マイルド加温研究は、「個人的な思いつき」や「民間療法」とは異なります。
ただし、老若男女、例外なく誰でも42度15分入浴で、ヒートショックプロテイン産生がもっとも高くなるというところまでの学界的お墨付きはなく、「ひき続き研究する段階」であることも確かです。
もとより、高温入浴は、心疾患や高血圧がある方などのある方には注意が必要です。
しかし、ブログの書き手は、すべての読者のあり得る健康状態まで配慮していたら、何も書けなくなります。
さすれば、ブログ記事は、情報提供に過ぎず、それを実践するのは「読者の自己責任で」というのは、このことに限らず、ブログの一般的なお約束ごとのはずです。
「自己責任」は、いちいち断るまでもなく、アタリマエのことだということです。
にもかかわらず、コメント者が、ことさら「自己責任」を述べた背景には、「科学的でないことを書きやがって」という、私の記事に対する非難と警告の感情が含まれていると思われます。
しかし、以上のように、私は科学や医学を踏み外しているものを称賛したわけではありません。
反論やご批判については、ご自身の体験や個人的な感想ならともかくとして、科学的であるかどうかという本質的な評価に関わるものについては、ぜひ、いったん一次資料にあたってからお願いします。
それと、今後も、こうした健康情報の記事は書き続けますが、いちいち私が「自己責任で」などと書かなくても、読者リテラシーというのものもはたらかせていただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
Seesaaの読者の方々なら、そこまで書かなくても大丈夫、と私は判断しておりますが。
それとも、いちいち、記事の最後に、「これは自己責任でお願いします」と書かなければならないのでしょうか。

ヒートショックプロテイン 加温健康法 - 伊藤要子
この記事へのコメント
人に迷惑かけなければ宜しいかと!
やるもやらないもその人個人の判断ちですから・・・
私は冬になったら、試してみます。
露呈させ、つまりは、己の力の無さを公報していると思う。
匿名の悪意も含めていろいろな人がいることの証明ですね。
『読者のリテラシーに委ねる』
で、充分だと思います。
NICEです(^^)
湿布を貼っていますが、原因は高齢化
眼はぼやけ、耳は遠くなる一方、ショックで治ればいいのですが
枯れ枝には効果がないでしょうね
いつもお世話になっています。
勉強になりました。
冒頭に出て来るお嬢さん、いつも素敵だなあと思いながら
読みは決めてます 😀
>「これは自己責任でお願いします」
それは当たり前の事ですから、何でも自己責任です。
それでも文句言う人いますね、....
何かにつけて文句をつける人って一定数居ますね。
コメントした本人は論理的な積りなのかも知れませんが、この手の人は必要となる知識が無くて自分の知る範囲内でしか言わない(言えない)事が多く、第三者から見て「何言ってんの?」となる事も多々あります。
しかし、誰から何を言われても、当の本人は「自分が絶対正しい」と思い込んでるのかも知れません。
と思います、信じる者は救われる(*'▽')