ヘルペスウイルスをがん治療に用いる医療現場の話
ヘルペスウイルスといえば、帯状疱疹を引き起こす困ったウイルスです。しかし、それをがん治療に使う道筋がついに確立しました。2021年6月に日本で世界初の脳腫瘍治療薬として承認された治療薬は、ヘルペスウイルスを改変したものです。
石橋貴明さんの、がん闘病が話題です。
63歳かぁ・・・まだ若いのに重複癌とかもう無理やろ🥶
— 358ちゃん (@max358japan) September 13, 2025
二次化学療法拒否とか、よっぽど辛いんだろうなぁ。
年越せないかもね・・・。 pic.twitter.com/fUIcUMXEqN
がんは命を脅かす病気ですが、まれに自然退縮することがあります。
患者が高熱を出したり、感染症にかかったりなど、感染あるいは炎症による免疫系の変化に、そのような症例があるそうです。
たとえば、近年では、新型コロナウイルスに感染して、転移がんが自然に退縮したという症例が2例報告されています。
その原因はわかっていませんが、ウイルスそのものが、がんを倒したのか、ウイルスに対する宿主の免疫力ががんも倒したのか、単純に考えればどちらかになります。
さて、過去にかかった水痘(みずぼうそう)ウイルスが、再活性化して引き起こす帯状疱疹は、本来人間にとって困ったウイルスです。
帯状疱疹になった話 pic.twitter.com/czD6Pitn74
— うさぎのみみちゃん??9/7コミティアC46a (@usagitoseino) September 4, 2025
が、その再活性化ウイルスこと、ヘルペスウィルスが、実はがんを退治してくれるという研究が、25年前から行われていました。
そして、2021年、ついに脳腫瘍への適応がまず認められ、実用化されました。
手術、抗がん剤、放射線といった、侵襲性の強い、従来のがん治療の課題を補う新しい治療。
それが、がんのヘルペスウイルス療法、「G47Δ(テセルパツレブ、製品名デリタクト)」です。
人工的に改変されたウイルスでがん細胞を直接破壊
【ニュース】
— がんプラス (@cancer_QLife) July 9, 2021
世界初の脳腫瘍ウイルス療法薬デリタクト、悪性神経膠腫の適応で承認
全ての固形がんに同じメカニズムで作用、脳腫瘍以外のがんへの適応拡大にも期待 #テセルパツレブ #G47Δ https://t.co/LJ7ilV4tOe
ウイルス療法とは、がん細胞のみで増殖できるよう人工的に改変されたウイルスを使用して、がん細胞を直接破壊する新しい治療法です。
東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授らによって開発されたG47Δは、口唇ヘルペスの原因ウイルスとして知られる単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の、3つの遺伝子を人工的に改変した世界初のがん治療用ヘルペスウイルスです。
まず即時効果として、G47Δががん細胞に感染して直接的にがん細胞を破壊します。
続いて遅発効果として、破壊されたがん細胞から放出される抗原によって体内の免疫系が活性化され、特異的な抗腫瘍免疫が誘導されます。
それによって、遠隔のがん細胞に対しても免疫を介した治療効果が期待できるそうです。
重要なのは、G47Δは正常細胞では増殖しないよう設計されているため、正常組織にダメージを与えることなく治療できる点です。
また、抗ヘルペス薬が存在するため、必要時には治療を中断することも可能で、安全性が格段に向上しています。
G47Δの効果は、膠芽腫(グリオブラストーマ)という、再発後の1年生存率は従来14%程度とされていた最も悪性度の高い脳腫瘍で、従来治療の約6倍の生存率を記録しました。
G47Δ治療の副作用は比較的軽度で、臨床試験では発熱(89.5%)が最も頻度の高い副作用でしたが、これは体内の免疫系がウイルスに反応している証拠でもあります。
その他、嘔吐(57.9%)、悪心(52.6%)、リンパ球減少(47.4%)などが報告されていますが、深刻な長期的副作用は見られていません。
そこで、脳腫瘍に対して使われることが決まったわけですが、他のがんに対する適用拡大は当然期待されています。
4半世紀前から研究は続けられていた
この研究が始まった21世紀のはじめの頃から、私は画期的な治療法であると注目していたのですが、治験が行われる頃から、メディアでは報じられなくなったので、てっきり、治験でよい結果が出ずにポシャってしまったのかと思っていました。
ですから、実用化されていたことを知り、びっくりするとともに、素晴らしいことだと思いました。
これも、先日のハイパーサーミア同様、今は必要なくても、もし将来、不幸にも治療法を探す立場になったときのために、記憶の片隅においていただければと思います。
人生観はいろいろあるでしょうが、どうせいつかは死ぬからこそ、生きている間は、生きることを諦めない姿勢であった方が前向きではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

がん治療の現在 光免疫療法の衝撃 免疫チェックポイント阻害薬 CAR-T細胞療法 腫瘍溶解性ウイルス療法 ゲノム医療 (ディスカヴァー携書) - 永山 悦子
この記事へのコメント
小さい頃から、免疫力が下がると目の周りにヘルペスが出来て大変な思いをしてました。年を取ったら、目の角膜にヘルペスウィルスが入り、失明しかかりました。そのため一生目にこのヘルペスを防ぐための薬を付け続けないといけないのです。そればかりでなく、このおかげで視力が落ちて、運転ままならないのです。60歳の時には帯状疱疹で3か月痛さに悩まされました。
それだけに癌に効くの?と、悪さしかされてない私には信じられない気がしますが、反対に癌に悪さしてるのかもしれませんね。
生きているだけで丸儲けと言いたいところですが、凡人には難しそうです。
祖父が脳腫瘍で無くなったので、激しい頭痛があると脳神経外科で毎回MRI検査をする羽目に…
実用化されていることにうれしく思います。
病が見つかった時は人生の終わり時と思い暮らしています。
ネットの書き込みで見ました。
真偽は不詳です。
nice!です!
あきらめず!そうです。
スゴ~い技術があるのですね
ただ、国内の研究機関は即時性を求めて応用研究ばかりに走ってしまい、海外の色んな機関から「idiot」と揶揄される事も多いと聞いています。将来が心配です。
2人に1人はがんに罹ると言われる時代です。
がん細胞の弱みを見つけて、様々な角度から研究を重ねていただけるのは有難い限りです。
ガンは嫌ですね・・・
ここ1年で友人、従兄弟と続けて・・・😂
実現されると良いですね。
なんて素晴らしい~!
実用化できるようになりますように^^
がん細胞は自らの細胞が異常増殖する事で生まれる為区別が難しいが故の難治療ですが、今までの物理的攻撃や特定のマーカーに対して攻撃するタイプとは異なる点が体への負担も小さくなる可能性が有りますね。