AIのフェイクに二重に騙される例
私もAIはよく使いますが、最近はその技術を使ったフェイク動画が流行しています。つまり、現実には存在しない事故や緊張する場面を創作するのです。創作自体は「現実ではない」というだけで直接犯罪になるわけではありませんが、フェイク動画をどう見破るかは現代の課題であることを示しています。
元宝塚女優で、最近はインフルエンサーとしてXに盛んにポストされている毬谷友子さんが、フェイク動画に2重に騙されていました。
ドーベルマンが女性を事故から救ったというフェイク動画があります。
— X (@funnyvideostr) October 24, 2025
どなたかがファクトチェック(事実確認)を行い、AIのGrokによって、フェイク動画であることが指摘されました。
が、毬谷友子さんが、その動画を真に受けて感動してしまいます。
これ。。
— 毬谷友子 ?? TOMOKO MARIYA (@mariyatomoko) October 25, 2025
何回見ても、犬の持っている不思議な力を感じずにはいられない。?? pic.twitter.com/xYFxZLtnhI
それに対して、「いや、それはAIなんですよ」とコメントされたところ、それを聞き入れたくなかった毬谷友子さんは、Grokにファクトチェックして、「本物の動画」という回答を引き出してそれを示し、傷口を広げました。
いいえ、本物の動画のようです。2021年にペンシルベニアで起きた実際の出来事で、ViralHogがライセンスしたものです。フェイクを示す情報は見つかりませんでした。
— Grok (@grok) October 25, 2025
しかし、動画を冷静に見ればわかりますが、壁に激突した車はゴムのように跳ね返って無傷ですし、コーヒーカップも、皿とカップが一体になってくっついたまま落ちている不自然さも見逃せません。
これは、ちょっと観察眼のあるこどもが見てもわかるでしょう。
毬谷友子さんに恥をかかせる形になりましたが、大事なことはAIに何でも頼るのではなく、自分で判断できることと、AIに理解を助けてもらうことは、きちんと区別しなければならないということです。
AIが異なる回答をする場合
それにしても、最初に、これをフェイク動画であると指摘したのはGrokです。
では、なぜ、Grokはべつの質問では、「本物の動画」であると、違う答えを出したのでしょうか。
私がGrokに詰問した(笑)ところよると、「最初の質問では、AI生成の可能性を問う文脈だったのに対し、2番目の質問では、動画が実際の出来事かどうかを問う文脈だったため、異なる回答になったと考えられます。」と答えています。
つまり、動画全体としては創作ではあるけれども、たとえばドーベルマンと女性の動画は事実で、動画の作者は、「本物の動画」を組み合わせて「フェイク」作品を作った、とGrokは判断したようです。
つまり、ただ「フェイクですか」と質問したのはダメで、細かく、「車が壁に激突して、ドーベルマンが直感的に女性を救ったというシーン全体は本当の動画なのですか」と、質問しないとだめなのです。
AIの難しさがここにあります。
AIは成長途上ですが、人間の「言葉足らず」を、斟酌できないというのもそのひとつです。
「ああ、この人は〇〇と言ってるけど、意図としては△△を聞きたいんだな」ということまで理解せず、「〇〇」についてだけで答えを出してしまうということです。
日本語文化特有の、比喩とか皮肉なども、誤解される可能性があります。
指示代名詞や、主語の省略なども避けたほうがいいでしょう。
感動的な動画や衝撃的な映像に注意
私もブログ記事冒頭のイメージ画像を作るときに利用することがありますが、本来、AI技術の進歩は、すばらしいものがあります。
しかし、残念ながら、この世の中は「性善説」だけでは通用せず、こうしたフェイク動画作成技術を悪用することで、先日もご紹介した「政治のデマ」とか、「霊感商法」とか、人々を騙すことで利益をもたらすことに利用されてしまう可能性もあります。
とくに、強い感情(感動、怒り、驚きなど)を引き起こすコンテンツほど、一度立ち止まって考えることが重要です。
感情に訴えかける内容は、批判的思考を鈍らせる効果があるからです。
その意味で、ドーベルマンの救助動画がフェイクであったという事実は、私たちに多くのことを考えさせます。
みなさんは、フェイク動画をご覧になったことはありますか。

AIを使って考えるための全技術――「最高の発想」を一瞬で生み出す56の技法 - 石井 力重, 加藤 昌治
この記事へのコメント
人に迷惑をかけるような動画作る人いるしなぁ~
つうか、バカッターにも腹立ちますけど
それにしても情報の確からしさがどんどんわかりにくくなりました
クマに餌付けしてペット化、とか、
犬がクマと闘って追い払うとか。
監視カメラのように見せていて
だまされやすいです
nice!です。
しっかり見てれば、どこか変だ!という部分があるんですね。
これからは、どんな動画でも鵜呑みにしないようにしたいと思いました。
こういった技術を平和のために使ってほしいわ。
探した事も、あんまり無いですね。
見破れるかどうかを、知能テストや、
ボケテストに応用可能かもしれない
ですね。
AIはまだまだ発展途上で、
細かい質問をしないと答えが間違う事あるようですね。
最近のAIには底知れぬ怖さを感じます ❗
小熊がハロウィンお菓子食べに来たら人形が動いて気絶するフェイク動画あったんだけど説明読んでもフェイクの理由が見抜けなかった^^;
Grokを利用してのファクトチェックも、おっしゃるように質問の仕方で真逆の回答になることを忘れてはいけないと思います。
災害や事故の際に一気にフェイク動画が増えるのにはウンザリです。
と言うことが 今後はありうるかもしれませんね
難しい時代になりましたね
直ぐにフェイクと分かる物がありますが、しかしかなり迷惑な物も多く
罰せられないのが不思議に思います。
おバカさんのままでこの世を終わりたいです。
最新の世の中に取り残されゆく昭和生まれ"(-""-)"