男系天皇根拠に「Y染色体」説、本当の話
皇族数の確保や男系継承の維持を目的として、旧宮家の男系男子を現皇族の養子として迎える案を、中道改革連合が容認したと話題になりました。
現行の皇室典範(第9条)では、天皇および皇族の養子縁組は、「皇統の混乱防止」を理由に一貫して禁止されています。
皇位継承に関する各党の見解も出揃っています。
読売新聞が各党の立場をまとめています pic.twitter.com/GBDi8ebIKC
— 宮本徹 (@miyamototooru) May 15, 2026
全国紙主要4紙の社説を見ても、旧宮家の男系男子の養子縁組には、否定的。むしろ、世論の多数がおす、女性・女系天皇についての検討を求めている。国会との乖離が大きい。
— 宮本徹 (@miyamototooru) May 13, 2026
要するに、養子案は、女性天皇に反対している人が持ち出した対案らしい、というのが、この問題を追う識者の共通した見方です。
どうしてそこまでして、「男性の天皇」にこだわるのでしょうか。
「万世一系」と養子縁組の矛盾
そもそも学問的には、「天皇が万世一系」と主張するにはかなりの無理があることは、すでに公然の事実で、以前もご紹介したとおりです。
しかしここでは、より単純な疑問を提示します。
直系の娘よりも血の遠い養子を跡取りにしたら、いよいよ「万世一系」に疑問符がつくのではないでしょうか。
ほかでもなく、先のツイートを投稿した宮本徹氏は、具体名を挙げて懸念を示しています。
旧宮家の男系男子を養子にすると言うのは、例えば、竹田恒泰氏が皇族になり、さらには天皇になる可能性もあると言うこと。多くの国民が心理的に受け入れるとは思えないのですが https://t.co/CewkQqcVpf
— 宮本徹 (@miyamototooru) May 8, 2026
あの竹田氏を、国民が受け入れるかどうかの議論はひとまず措くとして、竹田氏は明治天皇の玄孫と言われていますが、竹田氏の皇位継承資格について、血統の観点から解説している投稿がInstagramにあったのでシェアします。
Y染色体を受け継がない女系・女性天皇は認められない
この動画では、以下のように説明されています。
「Y染色体は父親からしか受け継がない。だから女系ではY染色体を受け継げない。すなわち女系・女性天皇は血統を継がない」
しかし、後述しますが、これは遺伝学的にも社会通念的にも、間違った説明です。
竹田恒泰氏の血筋を例に
動画で何を言っているかを、以下に要約します。
私ではなくて、動画(小坂達也さん)の説です。
竹田氏は「明治天皇の玄孫」とされることがありますが、厳密には明治天皇の男系の末裔ではありません。
竹田氏と明治天皇のつながりは、竹田氏の祖母が明治天皇の娘であるという「女系」の血筋です。
竹田氏の祖母(明治天皇の娘):XX(赤染色体)
祖父:XY(青)
→ 子(竹田氏の父):祖父からY(青)、祖母からX(赤) → 青Y・赤X
→ 竹田氏(男性)は父親から「青のY」を受け継ぐ。
竹田氏は、明治天皇の「赤のY染色体」を受け継いでいない。
だから「女系」はだめなんだ、というのです。。
一方、竹田氏の父方である「竹田」の家系を遡ると、ありとあらゆる皇族の源流といわれる伏見宮家に到達し、さらに第102代・後花園天皇の血統に連なっています。
竹田家は、後花園天皇から途切れることなく続く男系の血筋でもあるのです。
つまり、竹田氏は「後花園天皇のY染色体」を受け継いでいるので、天皇になる資格はある、という結論です。
結論として、「男系」にこだわるのは、Y染色体を継いでいるかどうかが判断の基準なのです。
Y染色体だけで「血統」は決まらない
しかし、「男系は染色体を引き継ぐが、女系は引き継がないから男系こそ正統」というのは、学問的におかしいのです。
・ヒトの染色体は通常46本(23対)
・男性の場合、Y染色体は父親から息子にしか伝わらない。
この限りでは、動画の話は事実です。
しかし、「血の繋がり」はY染色体が全てではありません。
ヒトの染色体で、父親から受け継ぐY染色体は46本中、わずか1本に過ぎません。
しかも、Y染色体はDNAのサイズが非常に小さく、
X染色体:約1億5千万塩基対
Y染色体:約5~6千万塩基対
程度しかありません。
ヒト全ゲノム(約32億塩基対)に対する割合でいうと、Y染色体はおおよそ1.5%前後しかないのです。
残りの98.5%は、両親から受け継ぎますから、「女系」で何代後だろうが、DNAを継承しない(血がつながっていない)ということにはならないのです。
ですから、遺伝学上は、男系なら血統を継ぎ、女性では血統を継がないということにはならないのです。
もとより、「末裔」という概念は、染色体で決まるわけではなく、あくまで家系で決まるものです。
Y染色体論は「錦の御旗」になり得ない
冒頭の議論に戻れば、皇位継承について、
・女性皇族に結婚後も皇族身分を保持させる
・旧宮家の男系男子を養子に迎える
・女性天皇の容認
どの案が良いか、いろいろ意見が分かれるのは悪いことではありません。
しかし、少なくとも、学問的に間違った前提を「錦の御旗」にして議論を誘導するのは、避けるべきだと私は考えます。
今回の動画を見て、「男子にこだわる根拠」がようやく理解できました。
もし、「Y染色体が血統正統性の根拠」と誤解されている方がいれば、この記事が少しでも考え直すきっかけになれば幸いです。

ヒトの遺伝子と細胞 (まなびのずかん) - 西村 尚子, 石浦 章一
この記事へのコメント
女性はそれでいいんだろうか。
でもせっかく生まれても病弱で早世しちゃったらそこで途絶えちゃいますね。
そんな脆いやり方でこれまで続いてきたとも思えませんけど。
だいたい今の天皇だって弟があのタイミングで生まれたのは不自然だとみんな思っているはず。
そうまでして男系にこだわる理由を知りたいです。
歴史を振り返ると、女系天皇もいたし
平安時代などではどんどん血が薄くなってるし
1人の人とし、ただその家に生まれたと考えた方がシンプルだと思います
でも、昔は女性の天皇もいたのに現代ではダメだなんて…
そこまでして、男性にこだわるのもどうかと思ってしまいますが…
昔は女性の天皇もいたんだから、いいじゃないですか!
nice!です。
も祈ります。
ならないのでしようけどシンプルに
女性天皇誕生も良いのではと思います。
世界でも女性天皇はいらっしゃるし
男子にこだわる時代ではないのではと。
過去には女性天皇が即位したこともありますのに、男系にこだわる必要はないと思います。
男性に拘る理由はないと思っています
変わったのでしょうね。
男系にこだわる意味わかりません。
歴史的にも女帝はある訳で愛子天皇ありきでしょう。
男性天皇に拘るのは時代的にも陳腐な認識だと思います。
女性で何の問題があるのでしょう。
皇族として育っていない男性を養子に持ってこようなんて、無理がありますよね。なりたい人、国民を納得させられる人、いないでしょう。
遺伝子を持ち出しても、理屈が通らないわけですね。
理屈じゃなくて、女系が嫌だと思う人がいるってことかしら??