古賀千景参議院議員「自衛隊に行く子は経済的に厳しい」その真意は?

古賀千景参議院議員「自衛隊に行く子は経済的に厳しい」その真意は?

古賀千景参議院議員の、「自衛隊に行く子は経済的に厳しい」という発言が大問題になっています。古賀議員は、防衛省の子供向け防衛冊子が、近隣諸国の児童に与える影響を問題視したうえでの発言と釈明しましたが、小泉進次郎防衛相は「自衛官の子供たちへの配慮に欠ける」と即座に反論しました。

古賀議員は発言を撤回・謝罪したものの、日教組出身の議員による、自衛隊員への職業的偏見としてSNS上で強い批判を集めています

最初に問題提起すると、私はそこには留保をつけます

いえ、古賀議員が問題発言ではない、という意味ではありません。

ことさら「日教組出身(だから)」と強調する箇所です。私は違うと思うな。

日教組だろうが、全教(共産党系)だろうが、教育合同労組(社民党系)だろうが、ハチノアタマだろうが、だめなものはだめなのです。

日教組に入っているかどうかではなく、発言が問題なんでしょう。

それを「日教組の」とつけることで、日教組さえ叩けばいいという、たんなる政治闘争に矮小化してほしくないと思いました。

経済的階層で一括りにした「格付け」



結論から書きますが、今回の問題の本質は、

「自衛隊に経済的に厳しい家庭出身者が一定数いる」という事実の指摘自体ではなく、「自衛官という職業を経済的階層で一括りにし、志や多様な動機を無視した乱暴なステレオタイプ化」にあります。

歴史的に、自衛隊入隊者は東北・九州などの地方出身者や、所得が相対的に低い地域からの比率が高い傾向があり、「経済的徴兵制」的な指摘は昔からあるのは事実です。

佐藤正久さん(自衛隊出身の元参議院議員)のように、「経済的な理由で、(授業料のかかる)大学ではなく、(給料の出る)防衛大学校に行った」とカミングアウトしている人もいます。


つまり、「貧困家庭出身者」はたしかにいるのです

一方で、「東大・京大・一橋・早慶などの難関大学に通う学生の家庭は、一般的な家庭よりも世帯年収が高い(裕福である)」という傾向を示すデータも、明確に存在します。


特に、東京大学が隔年で実施している「学生生活実態調査」や、JASSO(日本学生支援機構)の調査、教育社会学の研究などで、この傾向は顕著に裏付けられています。

残念ながら、「ほしのもと」と「環境」が、その人の人生観についてまわることは否定できません。

ただし、だからといって単純に、金持ちは東大、貧乏人は自衛隊とはならず、むしろそれをバネにして、本人の頑張りや保護者や周囲の支援で、そうでない層が入学することもあります。

だから、人生は面白い。

統計的には、大別すると中間層が最多という分析もあります。

最低所得層は、そもそも健康・学力など入隊基準を満たしにくい構造もあるため、人口比を下回るケースも指摘されています。
rocket-boys.co.jp

私も中学卒業時に、海上自衛隊の試験を受けた経験がありますが、一緒に受けた同級生は不合格で、彼はそれでも都立高校の普通科に入ってましたよ。

だから、少なくとも私の頃(1970年代)は、自衛隊は低学力では入れないとわかりました。

防衛大学校は、学費無料+学生手当(月15万円超+ボーナス)が出るため、「親に負担をかけず大学に行ける」「給与をもらいながら安定した道を選べる」という合理的な選択をする人は、極貧層でなくても確かにいます。

高卒中心の一般曹候補生でも、就職難や求人倍率の低い地域では魅力的な選択肢になります。

普通の大学に行っている人だって、奨学金受けまくっているんですから、防衛大が逆に金をくれるというのは、貧困層でなくても魅力的にキマっているじゃないですか。

免許取得や、スキル習得を目的とする人も少なくありません。これらは「貧困だから仕方なく」というより、単純に「機会としての魅力」です。

国防意識、災害救助への憧れ、身体を動かす仕事、 camaraderie(仲間意識)、福利厚生など、積極的な動機は数知れません。

なのに、すべてを「貧困だから」で一元化するのは現実を歪めています

ま、これだけ書けば、古賀議員の発言が、いかに一面的であることは明らかでしょう。

で、問題は、なぜこの人がこんな事を言ったのか、という話です。

ここから先は、あくまで私のかなりの主観です。

私が認識した問題の核心


私の仮説は、教職に限ったことではなく、いつも書いているように、「何者かになりたかったけれど、何者にもなれなかった」ジェラシーとコンプレックスのなせる偏見ではないのかと思いました。

「教員になっているのに」と思われますか。

教員養成系は旧師範学校で、戦後になって「大学」に組み込まれました。

ですから、私が高校の頃も、同一大学各学部の中で、教育学部がもっとも入りやすかった(難易度が低かった)「事実」があります。

法学部にも理学部にも医学部にも入れないから、教育学部でも入るかということ。

一般の学部でも、上場企業もキャリア公務員も望むべくもないから、教員免許でもとるかということ。

これは、偏見とはいいきれません。デモシカ教師って言葉もあるぐらいです。

「デモシカ教師(でもしか先生)」とは、「教師にでもなるか」「教師にしかなれない」という消極的な動機で教職を選んだ人を指す言葉です。戦後から高度経済成長期にかけて教員が不足し、採用枠が急増した時代背景から生まれた皮肉まじりの俗語・スラングです。

人間は、自分にコンプレックスがあると、人間の格付けをして、自分の「下」をでっちあげたがるものです。

ですから、自衛隊に対する一面的な傾向を、さも自衛隊全てに一般化して、「下」を作りたかったんだろうなあと思いました。

もちろん、その一方で最初から前向きに、真面目に教師を目指す人もいます。

いずれにしても、それは個人の生き方の問題で、どの経済的階層が真面目な教員志望で、どの階層がデモシカ教師か、なんて括ることはできませんよね。

今回の自衛隊員についても同じです。勝手に括るなよ、ということです。

この千景議員、年齢から見ても、「デモシカ教師」世代の人でしょうね。

国会議員になったんだから、いい加減心を入れ替えたらいいのに。

私は、そんな矮小な先生に教わりたくないなと思いました。

これは私の主観ですよ。

古賀議員の発言、いかがお考えですか。

シン読解力: 学力と人生を決めるもうひとつの読み方 - 新井 紀子
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この記事へのコメント

2026年06月17日 23:06
人や生活環境への格付けは良いと思いません。
優越感がそこに在るからです。
自衛隊が軍隊になる事への心配が何処かに在ったのかも知れませんが・・・。
2026年06月17日 23:31
発言の是非はさておき、人を「階層」で括る心の癖こそ、苦しみの根と感じました。自衛官にも教師にも、さまざまな願いと縁があって今があります。固定観念で他者を裁くと、自らの心も曇るばかり。すべての人の歩みに敬意を向けたいものです。
2026年06月18日 00:12
この国が軍拡化しない限り1つの選択肢と思います
自衛隊でも警察でも
2026年06月18日 00:12
>教職に限ったことではなく、

つまり我々もやってるということですな。
職業や経済的階層で人を格付けすることを。
自分が嫌になってきました。
2026年06月18日 00:42
どんな経緯があれ、そんな発言をする国会議員がいることが、
おぞましいです。
知り合いの医者の息子さんが防衛大学に入学された例もあります。
2026年06月18日 01:47
防衛大、偏差値高いですよね
特に医学系
2026年06月18日 04:36
野党第一党が人権侵害的な発言をしてはいけませんね。
2026年06月18日 05:03
防衛大って、自衛官になりたいエリートの人が行く大学だと思ってました。
学費無料+学生手当が出るって事も知りませんでした。
以前の職場の先輩に、防衛大に受かりながらも別の大学に行ったという先輩がいました。
他の方たちが、防衛大に受かったのにもったいないよねって話してたのはこの事かなって思いました。
確かに経済的に厳しい方たちがいるのかもしれないけど、国会議員として固執した考えで発言するのは良くないと思います。
2026年06月18日 05:36
おはようございます!
nice!です☆
2026年06月18日 06:08
私の糖尿病内科の担当医は女性で防衛大学校出身です。きっとお金が掛からず医学部に入る方法を考え、ここに決めたんだろうな!と尊敬出来ました。そのために一生懸命勉強したんですよ。とても利口な選択だと私は思いました。
一番は、教師の目から見た少しのデータとひとくくりにしてしまう浅はかな発言ですよね。その人となりの見方、人間性が見えて来て、幻滅しますよね。
pn
2026年06月18日 06:15
心底そう思ってて反省なく撤回してるようにしか見えないからそんな人に教わった人ってどう育ったんだろうかと不安になったわ。
2026年06月18日 06:19
拝読させて頂きました。
2026年06月18日 06:23
この話については、淡く関心が有りました。「日本傾いてるのに。
日本の議員は、サロン社会の人間の集まりか」というのが、私の
やり取りを聞いたときの感想でした。
2026年06月18日 07:30

「失敗した」くらいの感覚でしょうね、議員さんは。
2026年06月18日 08:58
>勝手に括るなよ、

はい 全くその通りです。
2026年06月18日 09:53
こんにちは😃
今朝のラジオでもこの話題を取り上げていました。
2026年06月18日 14:30
しっかり考えて発言して欲しいと思いました。
「またか」の問題が多すぎる議員さん達。
2026年06月18日 14:39
拝読致しました
2026年06月18日 16:09
志願入隊した事情は様々、勝手に一緒くたに決めつける発言は駄目でしょう。
昔、甥っ子が受験の折、「全部落ちたら自衛隊ね」と親が言いました。
国民の間に偏見、偏ったイメージはあるみたいです。
bgatapapa
2026年06月18日 16:23
自衛官は風変わりな方も多いと思います。
2026年06月18日 21:09
拝読しました。大筋においては仰る通りと私も思います。
「職業への偏見」は明らかなNGと思います、同時に「防衛庁の子供向け冊子」の配布というのも右傾化への懸念が残ります。「平和の尊さ」を理解させることが子供への責務のように思えますが・・・
2026年06月18日 23:18
一言加えますが、「平和教育」と、今回の古賀議員の放言は文脈的に全く別の話です。
古賀氏の発言は、自衛隊員の経済的背景をステレオタイプ化した内容で、平和教育の内容(戦争の悲惨さ、憲法9条重視など)と直結しないからです。「教えた子が苦しんでいる」とする経験談から出た感情的な持論のように聞こえますが、いずれにしても国会での公的発言として不適切でした。
平和教育自体は多様な解釈がありますが(中立的な国防理解を促すもの vs. 自衛隊・軍事を強く忌避するもの)、今回の発言は自衛官を経済的に下に見る偏見として別問題です

そもそも、そんなネガティブキャンペーンで自衛隊の希望者が減ったら、いよいよ憲法改正⇒自衛隊明記⇒強制徴兵になるでしょう。そこまで考えて、左側こそ、この発言は戒めとすべきなのです。
koh925
2026年06月19日 11:35
元々、思想的な偏見が有る議員なんでしょう
私は、本音を言ったと思っています
2026年06月19日 18:33
拝読しました、難しい・心凍る思いで拝読を"(-""-)"