政治家と「方便」の虚実ーその言葉でごまかさないで

政治家と「方便」の虚実ーその言葉でごまかさないで

昨今、政界では学歴・経歴詐称疑惑が相次いで報じられています。東京都の小池百合子知事の「カイロ大学」問題に始まり、田久保真希前伊東市長の「東洋大卒業」騒動、高市早苗首相の「コングレッショナル・フェロー(連邦議会立法調査官)」をめぐる経歴の曖昧さ。

高市早苗総理の肩書については、現在は公式プロフィールでもより正確とされる「Congressional Fellow」に修正されており、公式の「立法調査官(Legislative Investigator / Researcher)」という正規職でないことは事実上ご自身が認めたと思える形になっています。


ところが、公人の中の公人である高市総理の経歴に「ほころび」が見えているにもかかわらず、なおも「信じたい」という声も根強いですね。

擁護論の中で、しばしば耳にするのが次のような釈明です。

「政治家なんて誰でも、大なり小なりスキャンダルや間違いはあるものだ。政策さえ良ければ、多少のことは方便として大目に見てもいいじゃないか。」

政策の是非はひとまず置くとして、はっきりさせておきたいのは、詐称は方便ではなく、ただの「ウソ」であることです。

騙す意図があろうがなかろうが、「立法調査官」を名乗ること自体に問題があるのです。

法案を通すための嘘や隠し事も方便といえるのか


経歴・学歴だけが問題ではありません。

たとえば、「選択的夫婦別姓」をめぐって、立憲民主党の辻元清美議員は、「国際基準である選択的夫婦別姓」と発信していますが、実はそのような「国際基準」など公式にはどこにも存在しません

つまり、これは事実に反する虚偽の主張です。

嘘で国民を動かそうとするのも「方便」と言えるのでしょうか。


また、社民党の福島みずほ議員は、そもそも「選択的」ではなく、婚姻は強制的に別姓であるべきという「絶対的夫婦別姓」が本音であることを自著で述べています(『結婚と家族――新しい関係に向けて』岩波書店)。

彼女にとっては、「選択的別姓」の実現は、あくまで最終目的への「一里塚」だということです。

すなわち「方便」にすぎないのでしょう。

しかし、本来の目的を隠して眼前の主張を進めるのは、フェアな姿勢とは言えません。

私が、家制度否定派なのに、この人たちと同じ旗を掲げる気になれない(両手を上げて選択的夫婦別姓に賛成できない)のは、ウソや隠し事をする人に共鳴はできない、信用すべきではないと思う気持ちもあるからです

騙す奴の批判に、右も左もないのです。

「方便」の本来の意味


「方便(ほうべん)」とは、ある目的を達成するための「巧みな手段」や「一時的な方策」を指す仏教用語です。

仏教の本来の狙いは、人々を真実の教えへ導くための、思いやりと知恵を込めた仮の手段という意味を持ちます。

しかし、政治家の詐称や言い訳の説明に、そうした「思いやり」や「知恵」を感じることはありません。

隠し、誤魔化し、煙に巻く。

それは国民を愚弄する行為にほかなりません。

仏教における「方便」の重みと教訓


仏教では、『法華経』というお経の「寿量品」において、お釈迦様が「人々を救うためなら、方便としてウソを言っても構わない」と言ったことになっています。

この考え方は、一見寛容に映りますが、歴史的に見れば危うさもはらんでいました。

戦時中、多くの仏教宗派は、「相手を救うためならルールを変えてもよい」という方便の論理を都合よく解釈し、戦時教学といって、国家権力や軍部の要請におもねる形で教義を歪曲し、戦争に協力しました。

そこで戦後、たとえば浄土真宗はその反省から、方便が暴走しないよう現代の私たちはどうブレーキをかけるべきかという議論を重ね、公式サイトでは公人の靖国参拝を批判するメッセージを掲げるに至っています


また、かつての一向一揆のように、権力者からの弾圧に対して、門徒たちが「信仰と共同体を守るため」に武力を取ったケースについては、今もなお評価が分かれ議論が重ねられています。

戒律上「暴力」は許されないが、「自衛・利他のための方便」として許容されるのではないか。

これこそが、「方便」についての深い議論ではないでしょうか。

一方、政治家の「方便」とされる言い訳のなんと浅はかで、自己中心的であることか。

古賀千景議員の発言をめぐる「方便」のねじれ



先ごろ、古賀千景議員が「自衛隊は貧乏人が行くところ」と発言したことについて、古舘伊知郎氏は次のように擁護しました。

「切り取られたところだけで騒ぐな。彼女は平和教育に取り組んできた人物だ。全体を見れば、あの発言も思想の一部として理解できる。」

これもまた、「平和教育のための方便」というロジックです。

しかし、「自衛隊員=貧乏人」という発言が、どうしたって「平和教育」の文脈に結びつかないでしょう。

むしろ、それはネガティブ・キャンペーンとして機能し、自衛隊志願者の減少→憲法改正による自衛隊明記→強制的な「徴兵制」への道筋すら連想させます。

方便の皮をかぶったこじつけは、しばしば本質を見えにくくする良い例です。

私たちは「大目に見る」をやめられるか


私は、政治家の「方便」と称する言動から、好ましい結果が生まれた例を寡聞にして存じません。

だからこそ、「この人は日本を良くしようとしているのだから、細かいことは目をつぶろう」という擁護論もまた、危ういと思っています。

たとえ自分が支持する政治家であっても、おかしな点があれば「それは間違いだ」「そのやり方はおかしい」と指摘する。

その積み重ねが、政治家の質を変え、政治全体の透明性を高めるのではないでしょうか。

みなさんは、たとえそれがご贔屓の政党や政治家だったとしても、嘘は嘘と見抜く眼と、勇気と見識の声を、持ち続けていますか。

嘘つき人間学: 嘘も方便、バカはどっちだ (ワニ文庫 A- 21) - 増原 良彦
嘘つき人間学: 嘘も方便、バカはどっちだ (ワニ文庫 A- 21) - 増原 良彦

この記事へのコメント

2026年07月02日 22:30
「方便」という言葉が政治の場で軽々しく用いられてしまう危うさを、改めて考えさせられました。仏教における方便は、本来「真実へ導くための慈悲と智慧のはたらき」であり、決して自らの利益や立場を守るための“ごまかし”ではありません。そこを取り違えると、方便はたちまち「嘘」を覆い隠すための煙幕へと堕してしまうのだと痛感します。
戦時中の教学の歪みや、一向一揆をめぐる評価の揺らぎなど、記事が触れている歴史的事例は、仏教者にとって決して他人事ではありません。私たち自身が「方便」という言葉の危険性と可能性の両方を知っているからこそ、政治家がそれを免罪符のように使う姿には、どうしても違和感を覚えます。
政治家がどの立場であれ、誤りを誤りとして指摘することは、対立ではなく「関係性の健全化」につながるはずです。記事の最後の問いは、私たち一人ひとりに向けられた「智慧を働かせる勇気を持てるか」という呼びかけのように感じました。
2026年07月02日 23:12
方便というより、盲目的な信仰ですね。
自分のご贔屓は絶対に嘘も間違いもないという。
それはその人を信用するからじゃなくて、自分のご贔屓が間違ってたら自分を否定されるような気分になるのだと思う。
2026年07月02日 23:43
高市総理を支持しない理由として必ず入っているのが
「人間性が信用できない」
耳障りのいいことを言っていても、隠された意図があるのではとか
胡散臭いとか、一言でいうと誠実ではないと思わせるものがあるのでしょうね。
2026年07月02日 23:58
選挙では、色々公約を並べるのに実行できないでいることがほとんどですよね。
これも嘘をつかれてるのかな~って思ったりします。
kinoppe
2026年07月03日 01:24
ここで問題になっている議員て、みんな女性ですね。orz
2026年07月03日 03:57
蓮舫議員の二重国籍ってのもありましたね。
2026年07月03日 05:06
経歴詐称、このところ多いですね。
自身を大きく見せたいと言う心理も有るのでしょうが、今のご時世直ぐにバレてしまうのにバレないとでも思っているのかな?

政治家はなにかと断定的でない言葉で煙に巻くのが得意ですから、方便もその中の一手段なのでしょうね。
2026年07月03日 05:13
おはようございます!
nice!です☆
2026年07月03日 05:25
自分が系統してる党派議員であっても、間違っていると思ったら間違いだと言える自分でありたいと思います。方便という言葉をはき違えて利用しないで欲しいです。
pn
2026年07月03日 06:11
石破よかマシなんだけど物事の持って行き方がかえってえげつない時あるからなぁ、嘘つき早苗総理になりゃちったぁマシになるかと思ってたがf^_^;
2026年07月03日 06:22
ご訪問しました。
2026年07月03日 06:35
拝読させて頂きました。
2026年07月03日 06:36
政治家・・・少しでも世の中を良くして
くれる人たちの集団だと思っていましたが
年々失望しています。
最初政治家になろうとした動機は世の中を
良くしたい、人の為に働きたいだったのでは?
2026年07月03日 07:17
多分はいと答えられますが。「贔屓」が居無いので、私には
実証困難です。
2026年07月03日 07:50
人と人との関係はむつかしいです。
2026年07月03日 09:13
>詐称は方便ではなく、ただの「ウソ」である

それはその通りです。
2026年07月03日 11:24
詐称は方便ではなく、ただの「ウソ」、おっしゃる通りです。
学歴や資格など、調べればスグにわかるウソをつきたがる理由がわかりません。
たとえ支持している政治家や尊敬している経営者であっても、誤りは誤りとして声をあげる、その環境がないとどんどんおかしな方向へねじ曲がっていく気がします。
bgatapapa
2026年07月03日 16:16
高市総理は答弁書を作成するので睡眠時間が取れないと言いますが、言い訳や噓の言葉を考えるから時間が掛かるのであってありのままを話せばよく寝られると思います。(^^)
2026年07月03日 17:28
うそつきでも何でも、そういう人たちをみんなが選んでしまう。。。
2026年07月03日 19:18
こんばんは😃
卒業した最終学歴はどんな意味があるのか分かりません。
2026年07月03日 22:23
(。・ω・)ノ゙ Nice‼です♪