『2015年4月福島調査報告』福島県双葉郡楢葉町の民家と神社調査

『2015年4月福島調査報告』について書きます。福島県双葉郡楢葉町といえば、2011年3月の福島第1原発事故で毎日のように取り沙汰された地域です。安斎育郎氏ら福島プロジェクトチームは、前月4月も同地の民家や公道、神社など100箇所以上を観測し、『2015年4月福島調査報告』で明らかにしています。安斎育郎(放射線防護学、平和学)氏は、東大医学部助手だった1973年に、国会の参考人として日本の原子力行政を批判しました。
ところが、それ以来17年にわたって、ネグレクト(シカト)・排除・恫喝・罵倒・差別・嫌がらせ・尾行・密偵・懐柔など、私のような市井の凡人では想像を絶する、今や伝説となっているアカハラの経験をされました。
といっても、無原則に脱原発ならいい、という立場はとっていません。
なぜなら、実証性を無視した「放射能キケンコワイ」論は、科学的根拠のない福島(の人)の差別につながる反科学の立場だからです。
あくまでも、科学的・実証的に福島を見つめていこう、という立場から、福島第1原発事故以来、研究者、技術者数名と「福島プロジェクトチーム」を組織しました。
目的は、福島の放射能測定や、地元の方の除染の手伝い・アドバイスなどです。
『福島県下での放射能調査に取り組んで』安斎育郎氏が訴えることは?
定期的に福島の市町村に赴き、民家、公園、保育園、公道、林などの、放射能汚染や放射線被曝の実態調査を行い、『201×年×月福島調査報告』にまとめています。
今年に入ってこのブログでは、その報告をご紹介してきました。
・福島市と南相馬市の放射線確認『2015年3月福島調査報告』
・『2015年2月福島放射能調査報告書』樽葉町の水はセシウム不検出
その2015年4月の「報告」のうち、2軒の民家と神社の計測について今回はご紹介します。
福島プロジェクトチーム・安斎育郎氏による福島の写真
『2015年4月福島調査報告』によると、今回の調査は2015年4月23日~25日。

福島プロジェクトチームの活動については、2015年4月18日23時から1時間、NHKのETV特集「終りなき戦いーある福島プロジェクトの記録」で放送されたそうです。
以下、画像はすべて『2015年4月福島調査報告』のものです。
福島空港
福島空港に到着すると、国指定須賀川牡丹園の牡丹が展示されていたそうです。



250年前(明和3年)、薬種業の伊藤佑倫が苗木を摂津国(兵庫県)から持ち帰って栽培したものとか。
空港には、観光客の落書きか?

少なくとも、福島空港に来たから書ける落書きです。
事故以来、福島の避難区域ではなく東京在住なのに、さらに西の方に逃げて、そこから放射能を計測して「危ない危ない」と言っている人がいますが、それは、福島や福島の人はもちろん、福島を訪れた人をも差別する物言いであり行為です。
科学と向き合わない独自の「予防原則」は自由ですが、私が福島在住だったら、少なくともそんな人に福島のことは語ってほしくないですね。
だってその人達には「実証」がない。実証なき批判は科学的ではないから全く虚しい。
常磐線・木戸駅
福島県双葉郡楢葉町にある常磐線・木戸駅です。

双葉郡楢葉町といえば、原発事故でずいぶんマスコミにも注目されました。
2011年3月11日~2014年5月までは運転が休止されていましたが、6月1日から再開されています。
私は常磐線側の福島は実はよくわからないのですが、「汚染」という点では海側のほうが深刻といわれました。
でも、常磐線・木戸駅前は0.134μSv/hまで下がったそうです。

待合室の方が少し高く出ていますね。

いずれにしても、こうした計測が事故以来ずっと公に行われているということです。
今回の調査
画像の地図は、木戸駅が「休業中」になっていますが、現在は再開されています。

国道6号線(陸前浜街道)を沿いのある民家とその周辺、600メートル南下した神社、さらに450メートル南下したある民家とその周辺を4月23日に調べています。
民家1
その測定所見はこう書かれています。(民家のお名前は伏せます)
放射線レベルは、総じて非常に低かった。 末端が開放状態の雨樋の周辺も、屋根を拭き替えたためか、有意な 汚染が認められなかった。6号線の西側の歩道に面する斜面は除染した様子がなく、所によって地表面で0.5~0.6マイクロシーベルト/時のレベルが観察された。この地域の「次のステップの除染」では、それなりに高い優先順位が与えられることになろう。

除染済で数値も低かった雨樋
「次の除染の機会があれば、①土手、②(土手の汚染が雨で運ばれた)6号線の道端の放射能のたまり場、③汚染雨水が通った歩道、の除染が行われることが望ましい」と報告されています。

ここです
神社
東日本大震災では、社殿が傾き、石灯籠も倒れたそうです。

今も、裏からワイヤーで引っ張ったり、表側はつっかえ棒をしたりしているそうです。
境内は、除染の効果によって総じて低くなっているが、周辺には 0.3~0.5マイクロシーベルト/時程度の相対的に放射線量率が高い場所がある。次の除染の機会には、社殿の西南側を中心に表層土を除去することが望まれる。

測定しているところ
民家2
神社からさらに約400メートル南の民家も調べています。
住居の周辺および畑の放射線レベルは 0.1~0.2台で、低い。しかし、北西側を囲むタケとスギの林の中は未除染で、放射線レベルは1マイクロシーベルト/時近くに達する。広い面積の山林の除染は事実上極めて困難で、当面は、立ち入りの頻度を自主規制する以外にない。タケノコや山菜類の放射能汚染濃度は下がりつつあるが、もしも食用にする場合には、事前に測定して汚染の程度をチェックすることをお勧めする。必要なら調査チームにお申し出頂きたい。
と書かれています。
このほかに、私達にとっては気になる食材の計測報告も行われているのですが、すでに2000字を過ぎてしまったので、それはまた別の機会にさせていただきます。

食品検査機