久我山青光学園(視覚障害者支援学校)見学で知る“白杖の真相”

久我山青光学園(東京都世田谷区北烏山)の学校公開に行ってきました。同校は、我が国で初めて、視覚障害教育部門と知的障害教育部門を併置した特別支援学校として、平成22年に開校した新しい学校です。幼稚部、小学部、中学部が設置されています。先日ご紹介した志村学園とともに、障がい者療育を担う学校として期待と注目を集めています。

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今回は、支援学校見学第2弾です。
先日は、知的障害者のための就業技術科を設置した都立志村学園を見学しました。
⇒都立志村学園(知的障害特別支援学校)を見学しました
今回の久我山青光学園は、旧・久我山盲学校と旧・青鳥特別支援学校久我山分校が統合してできた都立の特別支援学校です。
世田谷区北烏山にあり、最寄り駅は井の頭線久我山駅ですが、駅からは10分ほど歩きます。
駅を出るとすぐに案内板があり、道順もわかりやすいため、初めてでも迷わずたどり着くことができました。

私が見学したのは視覚障害教育部門です。
視覚障害教育部門は、視覚障害のあるお子さんが通う、つまり盲学校です。
視力がおおむね0.3以下の弱視児と、盲児、視覚障害のほかにも障害のある重複障害児に指導を行っています。
盲学校は東京都内に5校しかなく、そのうち1校は高等部しかありません。
盲学校が設置されていない区のほうが圧倒的に多いのです。
このため、視覚障害教育部門は、通学地域を都内全域としています(知的障害教育部門は世田谷区のみ)。
そうなると、自宅から学校まで片道1時間以上かけて通学しなければならない場合もでてきます。
そうした児童・生徒のために、視覚障害教育部門には寄宿舎も設置されています。
寄宿舎といっても、正確には寄宿棟というか、学校と同じ建物内にあるので、通学の負担はゼロです。
久我山青光学園の視覚障害教育部門には、幼稚部、小学部、中学部があり、学校公開では小学部と中学部の授業を見せていただきました。
視覚障害教育部門は、普通学級と重度・重複学級とに別れています。
視覚障害自体は視覚「のみ」の障害ですから、知的水準は普通級とかわりありません。



以上、学校案内より
ただ、大きな画面で学習できるタッチパネル式の電子黒板や、紙を目の位置に近づけて読み書きができる書見台、文字や図が大きい教科書、点字タイプライターなど、教材に独自の工夫がされています。
私が見学したのは中学部1年の国語と2年の数学です。
国語は宮沢賢治の『注文の多い料理店』の読解、数学は一次関数でした。
ときには冗談を交わしながらの授業風景は、普通の学校と何ら変わるところはないように見受けられました。
授業の合間には、教材や教具、補助具をまとめて展示してある部屋もあったので、実際に触らせてもらいながら説明を受けました。
視覚障害者の教材など



以上、学校案内より
残念ながら校内はすべて撮影禁止なので、画像でご紹介はできないのですが、なるほどと思ったものがたくさんありました。
ブラックノート、シリコンノート
ブラックノートは、白い紙では眩しくて書かれた字が読めないので、黒い紙に白いペンで書くものです。
シリコンノートは、シリコンの上にトレーシングペーパーのような紙がかぶせてあり、文字を書くとその線が浮き出るので、触ってそのかたちがわかるようになっています。
固定されたそろばん玉
そろばんは玉が動いてしまわないように、固定できるようになっています。
これも触ることで数がわかります。
触って裏表がわかるオセロ
オセロは片方の面にでこぼこが刻んであり、触って裏表がわかるようになっています。
目が見えないのにオセロができるのかと聞くと、盤面がすべて頭の中に入っているらしく、支援学校合同のオセロ大会では、全盲の子が優勝することも珍しくないそうです。
色を音声で教えてくれるカラートーク
手に持てるサイズの機械で、モノの上に乗せるとその色を音声で教えてくれます。
これを見た参加者から「全盲の子にどうやって色を教えるのか」という質問が出ました。
たしかに、まったく見えなければ色もわかりませんよね。
答えは「言葉でイメージさせます」とのこと。
空の青、木の緑、夕焼けの赤、など言葉を尽くして、色のイメージを作り上げるのだそうです。
人間は情報の8割を視覚で取り込んでいるそうです。
その8割が失われた子に、どうやって情報を伝えていくか。
触覚、聴覚、嗅覚など、ありとあらゆる感覚を総動員して教育にあたるのだそうです。
「だからやりがいがある。教師を目指す方には盲学校をおすすめします」と、説明してくださった先生は笑っておられました。
白杖の真相
ところで、視覚障害者には不可欠な白杖。
先日、目の不自由な人が白杖を叩きながら歩く理由をご紹介しました。
階段では、白杖を前後に振ることで、前に段があるかどうかを確認して登るのだそうです。
音がしなければそこで階段は終わり、というわけです。
さらに、白杖を逆さまにして垂直に持つのはSOSのサインなのだと教わりました。
↑
匿名でクレームがついているので、同校に確認します
こういう人を見かけたら「何かお手伝いすることはありますか」と声をかけてほしいそうです。
まとめ
久我山青光学園の視覚障害教育部門には、通常の学校からの転籍者もいるそうです。
本人も周囲も見えにくさがあることに気づかず、学習が遅れがちで授業についていけなくなってきたのはなぜだろうと調べてみたら、実は視覚障害だった、という場合があるそうです。
本を読むときに行を読み飛ばしてしまったり、ボール遊びをしていてボールがどこからくるのかわからなかったりしたら、もしかしたら見え方に問題があるのかもしれません。
何がどう見えているのか、見えにくいのかといったことは本人でなければわからないので、もしやと思ったら早めに専門機関に相談すること。
「障がい者の学校なんて」などと偏見を持たずに、適切な支援を受けさせることそが、そのお子さんのためにもなるのです。
付記
SOSの件は、担当された方に問い合わせていますが、6日21時現在お答えをいただけていません。
私は白杖については全く知識がないので、もちろん創作や知ったかぶりではなく、たしかに記事の通りうかがったので、本当のところを知りたいのですが、学校からのお答えがない以上、現時点では訂正も出来ません。
学校側の回答を待って書き換えますが、せっかく視覚障害や視覚障害者について、知ったことをご紹介したいと思ったのに、何とも後味の悪い展開になってしまいました。
本来なら、このような曖昧な記事はもはや表に出すべきではないと思いますが、すでに多くの方のnice!をいただき、いまさら「非公開」にすることもどうかと思いますので、このままにしておくことにします。
どうもすみません。
それと、pnさんが書かれているとおり、「匿名でクレーム、ハンドルネームすら名乗らない」ことには、私も失望しています。
間違いの訂正なら有用なご意見・情報です。
正々堂々と通常のアカウントで書き込むか、個人的なメッセージで知らせるのが順当な対応であり、わざわざ匿名にするのは、何か含むところがあるのかと勘ぐらざるを得ません。
ネットは文字だけの世界ですから、無用な不信感を抱くようなふるまいはご容赦いただきたいものです。

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この記事へのコメント
小さい子が「自分に何か異常がある」と判ればいいのですが、小さいゆえにそれが分からずに「みんな自分と同じように見えている」と思ってしまっている場合があるところに、異常に気付きにくいところもあるかもしれませんね。
障がい者ご本人が何より大変ですし、教職員の方々にも頭が下がります。
ただただ感服。そして敬服です。
また、掲載されている写真の白杖は下肢障害の方が使われるサポートケーン白杖であって、盲人安全杖の白杖ではありませんよ。
※道交法的に「道路交通に著しい支障がある身障者」が白杖を持てます(身障者手帳相当の視覚障害者は義務です)。視覚障害者の独占物じゃありませんので、下肢障害用の白杖もあります。
SOSは聞いたことをそのまま書きました。
これは教わっていないとわからないです。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク
http://www.dialoginthedark.com/
と思ったりいたしました。
イメージ、本当に大切なんですね。
白杖を持った方が困っているような場面では躊躇することなく声掛けできたら・・・と思っています。
障害をお持ちの方々以外にも、弱者を大切に考える世の中になってほしいですね
覚えておけば、お手伝いできることもあるのでしょうね
もっと、広く伝わるといいのですが
あの薔薇の花は直径2・5cm位
ですよ。
孫が点字や英語が上手くなれば連れて歩いても便利に成ります。
悲しくなりました。
視覚障害のある人達の努力には
感涙してしまう私です・・・・
盲学校が設置されていない区の方が
圧倒的に多いとは悲しいを通り越して
情けない国政ですね~
最近は白杖を持った人を見ると
「私は足が不自由な障害者ですが
宜しかったらお手伝いしますよ~!」と
声を掛けて上げています。
got tһe courɑge to go ahead and give yߋu a shout out from Atascocita Texaѕ!
Just ᴡаnted to say keep up the gߋod work!