『突然、僕は殺人犯にされた』スマイリーキクチ中傷被害事件
『突然、僕は殺人犯にされた』(スマイリーキクチ著、竹書房)を読みました。タレントのスマイリーキクチが、自分のブログや2ちゃんねるなどで、10年間にわたって脅迫や誹謗中傷を受けたことを打ち明けた書籍です。誹謗中傷した連中はもとより、警察、検察、マスコミの対応も明らかになっています。
藤原紀香の「底辺コメント」が、今日の話題の芸能ニュースです。
今夏のドラマで、バスガイドを演じる藤原紀香がスポーツ紙の取材に、「本当にボロボロの女性です。底辺にいる藤原紀香が見られますよ」とコメントしたところ、「バスガイドに転職した女性が底辺ってこと?」「40歳で失業した独身女性を『底辺』って見下してるの」などと批判コメントが出たとか。
それに対して、藤原紀香が「書かれた見出しが一人歩きしている」と呆れたという話です。
言葉尻を取り上げて、歪曲や曲解、「肯定派」と「否定派」の対立などを楽しむネットらしい反応ですよね。
そもそも、出演番組についてのコメントなんて、プロモーションの一環じゃないですか。
その片言隻句だけ都合良く取り出し、ムキになって論じる人って、いったい何を楽しみに生きてるのだろう。人生で何を成し遂げたいのだろう。さぞかし奥深いだろう哲学や生き甲斐を聞いてみたくなります。
おそらくは、その程度のメンタリティから刑事事件を引き起こしたのが、スマイリーキクチ中傷被害事件なのだと思います。

スマイリーキクチが、足立区出身で不良であったというだけで、日本を震撼させた凶悪殺人事件の実行犯であると決めつけられた誹謗中傷、もしくは実力行使するかのような脅迫を10年にわたって、ネットの匿名書き込みによって受け続けました。
スマイリーキクチは、その背景として、日本を震撼させた凶悪殺人事件に異様なこだわりを持った人間がいることをあげています。
それは被害者を思うからではなく、悪を憎む自分に酔いしれたり、その残虐行為に心の何処かで憧れているような連中だそうです。
また、マスコミにすぐ騙されてしまうことの罪深さも背景にあります。
元警視庁刑事と称する者が、さもスマイリーキクチが犯人であったように自著で書いたために、それを根拠とした連中がいたというのです。
その書籍には、スマイリーキクチという名前が書かれていたわけではなく、そうイメージさせる記述があっただけです。
不特定多数の誹謗中傷が怒涛のごとく押し寄せたのは、誰かが書けば、「赤信号、みんなで渡れば……」で他の連中も安心して追従する、日本人的体質もあると思います。
それが10年間にもわたる言葉のリンチになったわけです。
その結果、ネット被害に理解のある東京・中野署刑事らの尽力によって、とくに悪質な19件の加害者が、一斉に摘発された日本で初めての事件です。
しかし、そこに行き着くまでは大変な苦労があったようです。
21世紀になって間もなくだったからかもしれませんが、警察関係者がネットに無知であったために、「嫌なら見なければいい」「ネットをやめればいい」と、もっぱら名誉感情のことしか問題せず、対外的名誉や脅迫に結びつくということが理解できなかったお粗末さが書かれています。
また、やっと割り出した被疑者の大学職員が、出頭を求められたにもかかわらず、懲りずに居直りの中傷を続けたことが一斉摘発につながったことも書かれています。
大衆は、考えも覚悟もなしに警察をなめたら、とんでもないことになるということです。
もっとも、検察もまたネットに無知で、かつ不起訴の方針ありきだったために、スマイリーキクチに対して、不遜で曖昧なやりとりしかしなかったことも書かれています。
ああ、小沢一郎事件や村木厚子事件は起こるべくして起こったんだな、ということがわかります。
一斉摘発の時、マスコミには一面で報じられました。
が、タレントへの誹謗中傷が一挙に名誉棄損罪と脅迫罪で立件された、というセンセーショナリズムだけが記事の主眼だったそうです。
過去の殺人事件に未だに執着している者がいることや、元警視庁刑事と名乗る人物の本が原因になっていることや、日本を震撼させた凶悪殺人事件の犯人グループにスマイリーキクチの名前が書かれたことや、警察から出頭要請があった後でも中傷し続けた者がいた、といった事件の核心の部分は、いっさい書かれなかったといいます。
しかも、スマイリーキクチは10年苦しめられたのに、ニュースでは「ネットによる誹謗中傷は4ヶ月間」と誤報されたそうです。
それでは、何も知らない人には「この程度の中傷で訴えた」と思われかねないとスマイリーキクチは心配しています。
スマイリーキクチが、どうやって立件までたどりついたか、ということをきちんと報道すれば、ネットの誹謗中傷書き込みに悩む人のためにもなったでしょうに。
まあ、マスコミなんてそんなもんです。
しかし、この捕まった連中は、普段はエラソーにマスゴミなとど言いながら、そのマスゴミを鵜呑みにして犯罪者に転落したのですから、“ざまない”話です。
同書の最後には、スマイリーキクチが体験からまとめた「ネット中傷被害に遭った場合の対処マニュアル」も掲載されています。
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よく、凶悪事件などが起こると、「被害者の名前は出るのに加害者の名前は出ない」ことに文句をいう人がいます。
私も、個人的には「どうしてかなあ、間尺に合わないよなあ」と思うことがあります。
しかし、同書によると、被疑者が新たな被害者になってしまう可能性があるからだそうです。
スマイリーキクチを脅迫したり、誹謗中傷したりした今回の事件を知ると、それはあり得ると思います。
感情的な脅迫や名誉棄損の連鎖でしかないんですよね。
そして、時にはそれが本当の暴力行為になってしまうかもしれない……
「加害者の名前が出てこない」ことに憤っているあなた。
実はほかでもない、あなた自身のふるまいや了見に、その責任の一端があるかもしれないのです。
凶悪事件に悲しみ、憤ることが間違いということではありません。
ただ、人間は間違い得るものですから、いつ、何がきっかけで、自分が私刑される側になるかもしれません。
他人のことよりも、まず自分がちゃんとしているかかえりみよう、というのが、同書を読んて私が改めて考えたことです。

藤原紀香の「底辺コメント」が、今日の話題の芸能ニュースです。
今夏のドラマで、バスガイドを演じる藤原紀香がスポーツ紙の取材に、「本当にボロボロの女性です。底辺にいる藤原紀香が見られますよ」とコメントしたところ、「バスガイドに転職した女性が底辺ってこと?」「40歳で失業した独身女性を『底辺』って見下してるの」などと批判コメントが出たとか。
それに対して、藤原紀香が「書かれた見出しが一人歩きしている」と呆れたという話です。
言葉尻を取り上げて、歪曲や曲解、「肯定派」と「否定派」の対立などを楽しむネットらしい反応ですよね。
そもそも、出演番組についてのコメントなんて、プロモーションの一環じゃないですか。
その片言隻句だけ都合良く取り出し、ムキになって論じる人って、いったい何を楽しみに生きてるのだろう。人生で何を成し遂げたいのだろう。さぞかし奥深いだろう哲学や生き甲斐を聞いてみたくなります。
おそらくは、その程度のメンタリティから刑事事件を引き起こしたのが、スマイリーキクチ中傷被害事件なのだと思います。
スマイリーキクチ中傷被害事件とは……

スマイリーキクチが、足立区出身で不良であったというだけで、日本を震撼させた凶悪殺人事件の実行犯であると決めつけられた誹謗中傷、もしくは実力行使するかのような脅迫を10年にわたって、ネットの匿名書き込みによって受け続けました。
スマイリーキクチは、その背景として、日本を震撼させた凶悪殺人事件に異様なこだわりを持った人間がいることをあげています。
それは被害者を思うからではなく、悪を憎む自分に酔いしれたり、その残虐行為に心の何処かで憧れているような連中だそうです。
また、マスコミにすぐ騙されてしまうことの罪深さも背景にあります。
元警視庁刑事と称する者が、さもスマイリーキクチが犯人であったように自著で書いたために、それを根拠とした連中がいたというのです。
その書籍には、スマイリーキクチという名前が書かれていたわけではなく、そうイメージさせる記述があっただけです。
不特定多数の誹謗中傷が怒涛のごとく押し寄せたのは、誰かが書けば、「赤信号、みんなで渡れば……」で他の連中も安心して追従する、日本人的体質もあると思います。
それが10年間にもわたる言葉のリンチになったわけです。
その結果、ネット被害に理解のある東京・中野署刑事らの尽力によって、とくに悪質な19件の加害者が、一斉に摘発された日本で初めての事件です。
決してハッピーエンドとはいえなかった
しかし、そこに行き着くまでは大変な苦労があったようです。
21世紀になって間もなくだったからかもしれませんが、警察関係者がネットに無知であったために、「嫌なら見なければいい」「ネットをやめればいい」と、もっぱら名誉感情のことしか問題せず、対外的名誉や脅迫に結びつくということが理解できなかったお粗末さが書かれています。
また、やっと割り出した被疑者の大学職員が、出頭を求められたにもかかわらず、懲りずに居直りの中傷を続けたことが一斉摘発につながったことも書かれています。
大衆は、考えも覚悟もなしに警察をなめたら、とんでもないことになるということです。
もっとも、検察もまたネットに無知で、かつ不起訴の方針ありきだったために、スマイリーキクチに対して、不遜で曖昧なやりとりしかしなかったことも書かれています。
ああ、小沢一郎事件や村木厚子事件は起こるべくして起こったんだな、ということがわかります。
一斉摘発の時、マスコミには一面で報じられました。
が、タレントへの誹謗中傷が一挙に名誉棄損罪と脅迫罪で立件された、というセンセーショナリズムだけが記事の主眼だったそうです。
過去の殺人事件に未だに執着している者がいることや、元警視庁刑事と名乗る人物の本が原因になっていることや、日本を震撼させた凶悪殺人事件の犯人グループにスマイリーキクチの名前が書かれたことや、警察から出頭要請があった後でも中傷し続けた者がいた、といった事件の核心の部分は、いっさい書かれなかったといいます。
しかも、スマイリーキクチは10年苦しめられたのに、ニュースでは「ネットによる誹謗中傷は4ヶ月間」と誤報されたそうです。
それでは、何も知らない人には「この程度の中傷で訴えた」と思われかねないとスマイリーキクチは心配しています。
スマイリーキクチが、どうやって立件までたどりついたか、ということをきちんと報道すれば、ネットの誹謗中傷書き込みに悩む人のためにもなったでしょうに。
まあ、マスコミなんてそんなもんです。
しかし、この捕まった連中は、普段はエラソーにマスゴミなとど言いながら、そのマスゴミを鵜呑みにして犯罪者に転落したのですから、“ざまない”話です。
同書の最後には、スマイリーキクチが体験からまとめた「ネット中傷被害に遭った場合の対処マニュアル」も掲載されています。
もう一言
よく、凶悪事件などが起こると、「被害者の名前は出るのに加害者の名前は出ない」ことに文句をいう人がいます。
私も、個人的には「どうしてかなあ、間尺に合わないよなあ」と思うことがあります。
しかし、同書によると、被疑者が新たな被害者になってしまう可能性があるからだそうです。
スマイリーキクチを脅迫したり、誹謗中傷したりした今回の事件を知ると、それはあり得ると思います。
感情的な脅迫や名誉棄損の連鎖でしかないんですよね。
そして、時にはそれが本当の暴力行為になってしまうかもしれない……
「加害者の名前が出てこない」ことに憤っているあなた。
実はほかでもない、あなた自身のふるまいや了見に、その責任の一端があるかもしれないのです。
凶悪事件に悲しみ、憤ることが間違いということではありません。
ただ、人間は間違い得るものですから、いつ、何がきっかけで、自分が私刑される側になるかもしれません。
他人のことよりも、まず自分がちゃんとしているかかえりみよう、というのが、同書を読んて私が改めて考えたことです。