『植木等とのぼせもん』ラクじゃねえな。でも、だからこそ面白い

『植木等とのぼせもん』というドラマが、現在8回の予定で毎週土曜日20時15分から放送されています。当時の付き人の小松政夫が見た、植木等、およびその家族やクレージーキャッツや一緒に仕事をした人々の話です。タイトルは、小松政夫の自伝からとっています。(上の画像は、NHKおよび『ニッポン無責任野郎』より)
すでに半分の4回を放送しました。
いつも、胸を打つ濃厚な30分です。
植木等(山本耕史)がギターを弾く時の喜びと誇らしさを表した表情、ハナ肇(山内圭哉)の強面、谷啓(浜野謙太)の瞬き、犬塚弘(深水元基)の大げさな手の動き、安田伸(西村ヒロチョ)が頭で重心とってサックスを演奏する姿……。
それらは、当時のテレビ番組や映画をかなり見た人でないとわからない特徴だと思うのですが、それは遅れてきたファンである私だからそう感じるのであって、当時を知っている世代の人は見慣れた光景かもしれません。
それはともかく、タイトルは、小松政夫の自伝『のぼせもんやけん2 植木等の付き人時代のこと』(竹書房)からとっています。
同書をもとにドラマは構成されています。
すでにこのブログでも同書はご紹介しました。
⇒『のぼせもんやけん2 植木等の付き人時代のこと』小松政夫の奮闘記
ドラマは、「原作」通りではなく、多少時系列やエピソードの入れ替えを行っていますが、まあ事実をもとに構成されていることに違いはないと思います。
先週の土曜日の第4回は、1965年のクレージーキャッツ結成10周年記念映画『大冒険』(東宝)の撮影エピソードが描かれていました。
『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.22)より
古澤憲吾監督(勝村政信)の演出はいつも破天荒です。
悪者に追われて、植木等が高層ビルの屋上から綱渡りで隣のビルに逃げるシーンがあり、スタントマンもたてなかったため、サーカス団員でもない植木等は案の定怪我をします。
付き人の小松政夫は、なんでそんなつらい仕事をするのだろうと、疑問を持ちます。
植木等の父親・徹誠(伊東四朗)は、「好きなことだけやって生きてる人間なんて誰もいないだろ」「やりたい仕事とやらなければならない仕事がある。今にお前さんにもわかる」と答えます。
植木等は、「自分がやらなかったら、スタッフの生活はどうなる」といい、綱渡りのシーンを何とか撮り終えると、「植木等もラクじゃねえな。でも、だからこそ面白いんだよな」と、悟ったように小松政夫に語ります。
「ラクじゃねえな。でも、だからこそ面白い」
この一言には、まさに人間の不幸や苦悩や苦労を救う重みを感じます。
クレージーの笑いは大人の笑いといわれましたが、私は「悟りの笑い」だと思っています。
⇒東宝クレージー映画はどうして明るく前向きな気持になれるのか
クレージー映画というと、根拠はないけど、見ると明るい気持ち、前向きな気持ちに、なるというのは、私だけでなくみなさんのほぼ共通した感想です。

でも、クレージー映画のストーリーは、よくよく見ると、挫折や失敗が多く、しかもそれは自分の力不足というより、他人に裏切られたり、足を引っ張られたりするシビアな展開です。
『クレージー作戦くたばれ!無責任』より
にもかかわらず、どうして明るい前向きな気持ちになれるのか。
クレージー映画の明るさは、無理に心がける、建前やキレイ事の明るさではなくて、人生のあらゆる出来事を真正面から受け止め、まあ人生そういうこともある。でも生きている限りは、道を探して前に進まなければならないんだと、粛々と切り替えていく強さであり、そこには哲学的な真実を感じるからだと思います。
10月3日に『大冒険』を放送
さて、その『大冒険』には、綱渡りではなく、悪者にビルの屋上から落とされるシーンがあります。
大型クレーンに丸太をつなぎ、その先にワイヤーで植木等を吊るしたそうです。
特撮だろうと思いながらも、思わず息をのんでしまう場面です。
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いずれも『大冒険』より
ドラマの進行に合わせて、プレミアムシネマ(NHK BSプレミアム) 枠では、来る10月3日に、その『大冒険』が放送されます。
シリーズ屈指のアクション映画です。
劇中では、ザ・ピーナッツが『あなたの胸に』を歌っています。
『大冒険』より
こちらも楽しみにしています。

昭和と師弟愛 植木等と歩いた43年 -
この記事へのコメント
なるほどです。いっぷく様ならではの深いお言葉、次回の鑑賞からはこのお言葉の観点からも観てみたいと思います。
わたしはクレージー映画を観始めたばかりなのでもっぱらその新鮮さに大きな愉しみを覚えています。「悟り」というお言葉は本当に示唆的なもので、「お笑い」というものはまず作り手の人生観が問題となりますよね。淀川長治さんがチャップリン映画の人生観について常々言っておられたのは、「チャップリンの映画には、人生は食べること、働くこと、そして愛することであるという人生観に貫かれている」という趣旨でした。チャップリンは元々は非常にダークでアイロニカルな作風だったのですが、そうした精神性を乗り越えた境地として、「愛を描く」ことができ始めたのだといいます。当然ながら、チャップリンが与えた影響は日本映画界にとっても大きく、クレージー作品などにもそうしたものが感じられるのではないかとも思っています。
『大冒険』は10月3日ですね。本当に愉しみです。こうした「高い場所のスリル」を描くのも映画の醍醐味の一つで、サイレント時代から、現在のアクションやコメディまで、この基本的シチュエーションは繰り返し、表現を工夫しながら取り入れられています。クレージー映画を観始めたばかりでまだまだ分からないことばかりですが、そのおもしろさの一端は、映画のよき伝統を当時の日本社会のディテールを交えながら表現している点もあるのだろうと感じています。そしてザ・ピーナッツの「あなたの胸に」も出るのですね!なにかワクワクしてきました。「あなたの胸に」という歌も知らなかったので、早速チェックしてみます。山田姉妹がいずれ歌いそうですね~(笑)。
内藤はなかなか頑張っていると思うんですが、自分の「一礼」が「謎」で、それを考えるのが「贅沢な時間」とは、図らずも今のプロレスラーの思考がいかにも小さいスケール化象徴する発言に聞こえました。ちなみに永田は苦手なレスラーでしたが、「白目」をするようになってから割と好きです(笑)。
大熊元司が猪木などと写っているお写真も見せていただきました。全日本プロレスからのプロレスファンであるわたしにとっては、この顔ぶれだけでも新鮮です。しかし猪木の顔のインパクトは他を圧倒してますね(笑)。この顔だけで、メキシコかアフリカのプリミティヴなお面みたいです。馬場と同様、この映像インパクトは、テレビ時代にスターになるべくしてなった感がますます強くなります。
坂口征二が全日へ行っていたら、新日はカード編成が大変だったでしょうね。猪木より背が高く、柔道日本一の坂口がいることが、新日初期のクオリティを担保していたようなものでしょうから。
『プロレス入門』的なものに載っていたアントニオがバスを引っ張る写真は日本プロレス史の「クラシック」と言うべきもので、ほとんど怪獣映画を見ているようなあの光景を子どもの頃に見てしまったら擦り込まれること間違いなしです(笑)。猪木戦を見た時は猪木の「公開処刑」に(すげえ~)とか、猪木ファンだったから思っていただけなのですが、後から映像を何度も見ると、(あれ?アントニオって、太ってるだけで、猪木と大きさ、そんなに変わらない・・・)と気づいたものです。まあバスを引っ張るプロモーションはとてつもない成功を生んだわけで、プロレスを超えた「事件」だったようですからね。
>カール・ゴッチがアントニオを生意気だとKO寸前まで痛めつけてしまったから、
プロレスファンは、こういうエピソードが大好きなんですよね~。こういうエピソードがプロレスの奥行きを深くし、ファンの想像力をどんどん膨らませてくれました。それが今のプロレスにはまったくなくて、想像力の入る余地がないんです。つまらないはずです。
猪木Vアントニオは、アントニオ来日前から「公開制裁」するつもりだったのであれば、猪木=新日のえげつなさがさらに際立ちますね(笑)。なにせ新日はえげつないやり方が多かったですから。それもまた、「謎が謎を生み」、幻想を膨らませてくれる要因だったのですが。一つ記憶に鮮明なのは、アントニオ戦、猪木が最初からもの凄く不機嫌そうに見えたことです。 RUKO
真面目で人間味のあるグループなんですね。
山本耕史さんの歌声が植木等さんとそっくりです。
口パクではないかと思うくらいですが、山本さんの声だそうですね。
バスターミナル、東京は土地がないからだと思います。
これは一度見てみたい。
たった一言ですが、苦悩と生き甲斐の2つを持ち合わせている、とても深い言葉だと感じました。
クレージーキャッツ楽しいグループでした・・
もう生きている方は犬塚さんだけかな?
分かっちゃいるけどやめられない と言うフレーズを思い出します ^ ^
ラクじゃねえな・・・で自分は止まってます。
まだまだですね・・・。
主人が別番組を見たり、忘れていたりです(^-^;
面白そうですね^^
させてくれます。
なので天国へ逝かれてしまったときは
悲しかったですしショックでした。
観たくても観れない・・・・
植木等の愉快なイメージが脳裏に浮かび
さぞかし楽しくて面白いのでしょうね~
そう言えば、写真業時代に「谷啓さん」と
会った事がありました・・。
殆ど記憶がありませんが、ビデオで観てみたいです。
小松政夫さんは大好きなコメディアンです(^^)
シャボン玉ホリデーは、小学生の高学年から見ていたので、ああ、そうだったと、毎回にやりとしますね。
このドラマ、植木等の父親である徹誠さんのこともきちんと触れられていて感心しました。
差別反対や戦争反対を訴えて治安維持法で検挙された徹誠さん。
名前に等とつけた下りなど、よくぞと思いました。
何と上手に声を作っているんだと感心しますね。
この時代のテレビはホントに良かったと思います(^^)
小浜の周辺には多くの寺社があります。
鯖街道の基点でもあります。
行基菩薩は全国に、多くのお寺を創建しました。
植木等のスーダラ節、学生時代に大流行、歌うだけでなく
植木等の動作までまで、まねしました。
植木等のテレビドラマですか、見そこなっています、
今度、チャンネルを合わして見ます。
番組は見ていなかったのですが 植木さんの笑顔や言葉に
元気が貰えそうです
だから面白い! なんだか人間的に成長できそうな言葉ですね
林家三平ものがたりの風間杜夫、とかサッチャーを演じたメリルストリープ以来です。(浅い見方ですが…)